<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<rss version="2.0"
	xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
	xmlns:wfw="http://wellformedweb.org/CommentAPI/"
	xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
	xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom"
	xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/"
	xmlns:slash="http://purl.org/rss/1.0/modules/slash/"
		xmlns:xhtml="http://www.w3.org/1999/xhtml"
>

<channel>
	<title>GHETTO</title>
	<atom:link href="http://ghetto.jp/feed/" rel="self" type="application/rss+xml" />
	<link>http://ghetto.jp</link>
	<description>Push Button R.I.P. Publishing</description>
	<lastBuildDate>Sun, 11 Jul 2010 18:05:53 +0000</lastBuildDate>
	<generator>http://wordpress.org/?v=2.9.2</generator>
	<language>ja</language>
	<sy:updatePeriod>hourly</sy:updatePeriod>
	<sy:updateFrequency>1</sy:updateFrequency>
	<image>
  <link>http://ghetto.jp</link>
  <url>http://ghetto.jp/red.ico</url>
  <title>GHETTO</title>
</image>
<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/feed/" />
		<item>
		<title>Swimsuit Video Interval</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/06/17/swimsuit-video-interval/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/06/17/swimsuit-video-interval/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 17 Jun 2010 01:20:30 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[未分類]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=521</guid>
		<description><![CDATA[<object width="400" height="295" classid="clsid:D27CDB6E-AE6D-11cf-96B8-444553540000" id="ep"><param name="allowfullscreen" value="true" /><param name="allowscriptaccess" value="always" /><param name="movie" value="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#038;videoId=swimsuit/2010-julie-ordon" /><param name="bgcolor" value="#000000" /><embed src="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#038;videoId=swimsuit/2010-julie-ordon" type="application/x-shockwave-flash" bgcolor="#000000" allowfullscreen="true" allowscriptaccess="always" width="400" height="295"></embed></object>

<object id="ep" classid="clsid:d27cdb6e-ae6d-11cf-96b8-444553540000" width="400" height="295" codebase="http://download.macromedia.com/pub/shockwave/cabs/flash/swflash.cab#version=6,0,40,0"><param name="allowfullscreen" value="true" /><param name="allowscriptaccess" value="always" /><param name="bgcolor" value="#000000" /><param name="src" value="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#38;videoId=swimsuit/2010-hilary-rhoda" /><embed id="ep" type="application/x-shockwave-flash" width="400" height="295" src="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#38;videoId=swimsuit/2010-hilary-rhoda" bgcolor="#000000" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true"></embed></object>

<object id="ep" classid="clsid:d27cdb6e-ae6d-11cf-96b8-444553540000" width="400" height="295" codebase="http://download.macromedia.com/pub/shockwave/cabs/flash/swflash.cab#version=6,0,40,0"><param name="allowfullscreen" value="true" /><param name="allowscriptaccess" value="always" /><param name="bgcolor" value="#000000" /><param name="src" value="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#38;videoId=swimsuit/2010-christine-teigen" /><embed id="ep" type="application/x-shockwave-flash" width="400" height="295" src="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#38;videoId=swimsuit/2010-christine-teigen" bgcolor="#000000" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true"></embed></object>

<object width="400" height="295" classid="clsid:D27CDB6E-AE6D-11cf-96B8-444553540000" id="ep"><param name="allowfullscreen" value="true" /><param name="allowscriptaccess" value="always" /><param name="movie" value="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#038;videoId=swimsuit/2010-jessica-white" /><param name="bgcolor" value="#000000" /><embed src="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#038;videoId=swimsuit/2010-jessica-white" type="application/x-shockwave-flash" bgcolor="#000000" allowfullscreen="true" allowscriptaccess="always" width="400" height="295"></embed></object>

<object id="ep" classid="clsid:d27cdb6e-ae6d-11cf-96b8-444553540000" width="400" height="295" codebase="http://download.macromedia.com/pub/shockwave/cabs/flash/swflash.cab#version=6,0,40,0"><param name="allowfullscreen" value="true" /><param name="allowscriptaccess" value="always" /><param name="bgcolor" value="#000000" /><param name="src" value="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#38;videoId=swimsuit/2010-jessica-gomes" /><embed id="ep" type="application/x-shockwave-flash" width="400" height="295" src="http://i.cdn.turner.com/si/.element/swf/4.1/global/cvp/si_swim_embed.swf?context=swim10embed&#38;videoId=swimsuit/2010-jessica-gomes" bgcolor="#000000" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true"></embed></object>]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/06/17/swimsuit-video-interval/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/06/17/swimsuit-video-interval/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 30</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/06/10/ultimate-healing-30/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/06/10/ultimate-healing-30/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 10 Jun 2010 00:38:41 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=1036</guid>
		<description><![CDATA[　第三十話　ヒロ兄の誕生を祝福しよう

<img src="http://ghetto.jp/studyhard/wp-content/uploads/2010/06/4684748575_179789289d.jpg" alt="" title="Legony" width="400" height="500" class="aligncenter size-full wp-image-1037" />

<img src="http://ghetto.jp/studyhard/wp-content/uploads/2010/06/IMG_0128.jpg" alt="" title="Tamura" width="286" height="500" class="aligncenter size-full wp-image-1047" />

<img src="http://ghetto.jp/studyhard/wp-content/uploads/2010/06/IMG_0135-498x1024.jpg" alt="" title="Tamura" width="300" class="aligncenter size-large wp-image-1049" />]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/06/10/ultimate-healing-30/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/06/10/ultimate-healing-30/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 29</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/06/08/ultimate-healing-29/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/06/08/ultimate-healing-29/#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 08 Jun 2010 04:24:05 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=1011</guid>
		<description><![CDATA[ 　第二十九話　箱を開ける

　ああ、ここまで辿り着いたね。よかった。ノープランでヒロ兄のことだけ考えていたから。どうやって終わるかなんて、考えていなかった。けっこうしんどいときもあった。よくわからないことも書いたけど、そうして、ヒロ兄について思い出していた。今回くらいはリラックスしていいよね、アーイ。いや、いいや。そんなことは。いちいち冒頭の挨拶のようなのを書くから、どうやって繋がってるのか、わかりにくくなるんだよ。なんだっけ。前回、カスバのバーテンダー、カラビ＝ヤオ氏から、ぼくらは木の箱を受け取った。これだけでも、何の話だってかんじだけど。だれそれっていう。えーと、この箱は、五年前、田村くんがヒロ兄の指示で、東京駅でシチリアのマフィアから受け取るはずだった。しかし、あのころ、ヒロ兄は青いハチミツを舐めすぎていたため、ぼくは田村くんに「いかない方がいい」と助言した。それで、受け取ることはできなかった。われわれは、この箱の中に何が入っていたのか、何が入っているべきなのか、考えつづけていたんだと思う。それは、カラビ＝ヤオ氏が預かっていた。かれは、箱をぼくらに受け渡した。そして、「中身は二人で決めなよ」といった。箱は何もないぼくの家の空っぽの本棚にしばらく置いてあった。ぼくと田村くんはすぐに開封しなかったんだ。重さをたしかめて、何度か揺すってみたりして、そのまま、別れた。それから、一週間くらい何も話さなかった。ヒロ兄の弟、タケイ・グッドマン氏にも連絡をしなかった。なぜなら、かれならば、ぼくらがどんな結論を出したとしても、ただ受け入れてくれるだろうことは、わかっていたから。ぼくは、一人でずっと考えていた。じつは、一ヶ月近くも前からずっと考えていた。あるときは、「土」だと思った。また、あるときは、シチリアのマフィアからの「手紙」かなと思った。そこには、何かおもしろおかしいことが書いてあるのだ。それくらいは、ぼくにも書けそうだった。例えば、こんな書き出しはどうだろうか。『親愛なるビッグ・パパへ　いつも友情と東京の青いハチミツをありがとう、お陰で、ぼくたちは豚肉のように死んでいくことができます……』とかね。悪くないでしょ。それで、ヒロ兄の消滅について、小粋なタネ明かしのような文面が展開されるわけさ。どうだろう。ぼくは、このアイディアを、しばらく本筋として温めていた。ただ、なんとなく、違うのだ。なんとなく、そうじゃない気がしていた。ぼくはベンチャーキャピタルが、がみがみと口をだす会社にいるときも、心のどこかで箱の中身について思い巡らせていた。田村くんも似たような日々を過ごしていたと思う。あるとき、ぼくは家で洗濯物を干していた。あれは、午前十時だった。あれは、琥珀色をした陽光が差しているのに、木の実のような雨粒が空から落ちてくる、愉快な天気の日だった。ぼくは、居間と台所の境い目に渡した白い棒に洗濯物を干していった。ぼくはパンツが痛がるくらいにパンパンしてやった。シャツにも同じ仕打ちをしてやった。しかしシャツはしゃんとしたようだった。しゃんとしたら、また洗濯機へ戻り、次の獲物を取りだすのだった。このフローに入ったとき、ぼくはいちばん、自分が無心になっている気がする。面倒臭がり屋だけど、この作業はなぜかちゃんとやるのである。そのときに、箱の中身について、新しいイメージが湧いた。これでいいんじゃないか、という気がした。何より、自分にとって、それがいちばん嬉しいような気がした。どういうイメージかというと、つまり、箱の中には、ヒロ兄がいるのだ。小さいヒロ兄が。「ヒロ兄の縫いぐるみ」——これが、ぼくにとっていちばんしっくりくる結論だった。しかし、まったく、何が何だか、わからない。ヒロ兄が、わざわざシチリアのマフィアを経由して、田村くんに運んでもらい、ヒロ兄に、ヒロ兄の縫いぐるみを届けさせる？——しかし、なぜだろう、ぼくにはクリアに想像できた。それから、しばらくのあいだ、空っぽの本棚の木の箱を見つめていた。何日か経って、やはりぼくはそれでいいと思ったから、試しに田村くんにメールしてみた。昼下がりに、「何だと思う？」と一言だけ、英語でメールしておいた。夜は、涼しかった。通りは空っぽの洗濯機のようだった。くしゃみをしながら缶ビールを買ってきて、ぼくはオンラインになった。すると、田村くんがいた。グーグルトークのインジケータは緑だった。「ヤップ」「ヨザップ」と、われわれはいつものようにゲットーイングリッシュで話し始めた。田村くんはいった、「昼下がりにメールを貰ってから、また考えていたよ」と。「ふむふむ」とぼくは答えた。「カラビ＝ヤオさんから受け取った箱の内側は、カラビ＝ヤオ空間になっているはずだから……」と、かれはいった。田村くんは、次のように持論を述べた——「箱の中には、小さいヒロ兄がいたらいいんじゃないかな」——これを聞いたとき、掛け値なしで、ぼくは動揺した。こんなことがあっていいのだろうか。ヒロ兄にヒロ兄を届けるなんて、アブノーマルな発想に、別々に想像していていっしょに辿り着くなんてことが。気がつくと、ぼくは「君こそマイメンだ」と何度もタイプしていた。「君こそマイメンだ」と。田村くんは、次のようにいった、「ぼくはそう思ったんだ、だけど、これはループしてしまうことになるよ、それでもいいのかい？」と。「ぼくらは、ヒロ兄の思い出というトンネルから抜ける為にやってたんだよ、それが『アルティメット・ヒーリング（究極の癒し）』になるはずだったんだよ、トンネルが環状線のようにループしてしまうんだよ、それでもいいのかい？」と。「これは、愛らしい考え方だよ」とぼくはいった。「とても愛らしいよ」と。ヒロ兄をＲＩＰしようと思って書いてきた。ヒロ兄をしっかりと埋葬しようと。しかし、ヒロ兄とずっといっしょにいたいのだ。ヒロ兄は死なない。ヒロ兄は何度でも蘇る。これが、ぼくと田村くんの結論なのだ。愛らしいじゃないか。これが愛らしくなくて、何が愛らしいというのか。ぼくは興奮していた。動揺していた。そして、箱をもって小躍りした。ダンスした。中には小さいヒロ兄がいるんだ。ヒロ兄にまた会える。「じゃあ、週末、いっしょに開封しよう」とぼくはいった。「また生まれるんだ、ヒロ兄ったら、なんて素敵な日になるんでしょう、ああ、君こそマイメンだ！」——なんてね。さて、じつは、たった今、今しがた、われわれは、カラビ＝ヤオ氏の箱を開けた。まるでシュレーディンガーの猫。開けたら中身が決定する。金槌で蓋をぶっ壊した。すると、果たせるかな、そこにはヒロ兄がいたんだ！——小さいヒロ兄がいたんだ。ただ、読者のみなさんに、きちんと伝えておかなくてはいけないことがある。じつは、よく見たら、「ヒロ兄の縫いぐるみ」ではなかった。そうじゃなくて、箱に入っていたのは、「レゴで作ったそこそこ良くできたヒロ兄」だったんだ。つまり「レゴ兄」だったんだ。というわけで、次回、最終回です。]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/06/08/ultimate-healing-29/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/06/08/ultimate-healing-29/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 28</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/06/01/ultimate-healing-28/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/06/01/ultimate-healing-28/#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 01 Jun 2010 00:56:27 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=997</guid>
		<description><![CDATA[　第二十八話　箱を受け取る

　階段を下りると、リック・ロスにそっくりの黒人が寝ている。紅茶色の肌をしている。かれは、ヒロ兄が書いていた門番。まだ夕方だから、仮眠している。かれを起こさないよう、そっと乗り越えようとしたが、足を踏んづけてしまい「ヤアー」と声を上げた。しかし、また、すやすやと寝息を立てる。よく眠っている。扉を押すと開いた。そこは、何にでも変移しそうな立方体だった。カアバ神殿の中はきっとこんな風だろう。ずっと前、明治通りと表参道の交差点にこんなカフェーがあった。有袋類の巣のように黒く塗られていた。梟のいる森のように吹き抜けになっていた。あの大きなカフェーもこんな空間だったな。取り壊されてしまった。あそこからいろいろなことがはじまった。ヒロ兄と出会い、ヒロ兄との愉快な日々があり、ヒロ兄に「キミにはケレン味がある」といわれ、いまも考えつづけている。そして、ヒロ兄と別れた。ぼくと田村くんは、抽象的な黒い立方体へまたやって来た。背の低いテーブルの上にグラスへ入れた蝋燭が点っている。壁沿いに点々とつづいている。回廊の奥に、カラビ＝ヤオ氏が腰掛けていた。何度でも来ることができる。われわれは鹿のように歩み寄り、かれの向かいに座った。かれはオレンジジュースの入ったグラスを、蝋燭のグラスの隣りに並べて遊んでいた。シャーロック・ホウムズを思わせるわし鼻。肌が白人のように白い。太陽光を求めるシダ植物のように逆立ったモヒカンは金髪で、てっぺんだけ赤く染めてあった。斜に構えて、何かを考えるそぶりをしていた。鮮やかなハチミツの香りがした。かれは、カスタネットのような音を立てた。「なんでヒロ兄なの？」——歯を見せて、口をほとんど開かずに、質問するのだった。「オマエら、なんでそんなにヒロ兄なの？」——この質問を聞いて、ぼくと田村くんは噴き出してしまった。「ハハハッ」——カラビ＝ヤオ氏は、上機嫌なのだ。いや、けっこう、けっこう。「ビッグ・パパだっけ、やばいね、ビッグ・パパっていわれてたかも、この場所では、いや、もしくは——」と天板をノックするようにいい、「パパ・グランデ？」——われわれは、大笑いした。玩具のチンパンジーのような騒々しい笑いがカスバの黒い立方体に乱反射した。かれは青い目を光らせ、シダ植物の模様の麻布を巻いた首をかしげている。「バカだ、こいつら！」——われわれは、この男に「バカだ」といわれて狂喜した。かれはゴム引きジャケットからインスタント・カメラを取りだすと、猛禽類のような速度でぼくらを撮影した。閃光、閃光。「上にあった養蜂箱は、バシャールさんの作品ですか」とぼくは質問した。「そうだよ、よく知ってるね」——スプーンを銜えたまま喋るように、口を開かずにいう、「裾が短いでしょ、あいつ、オレらはバシャールなんていわないけど、バシャバシャって呼んでるけど」——ぼくと田村くんは水を浴びたように哄笑した。「やばいんだよ、あいつ、ハブられてる、かっこいいよ」と、かれは付け加えた。紅茶色をしたリック・ロス似の黒人給仕がやって来て、オレンジジュースの入ったグラスと青い皿を二つずつ置いていった。少量の青いハチミツが垂らしてあった。「お通し感覚で舐めてみて」とカラビ＝ヤオ氏はいった、「ピーナツぽいかんじで、スペツナズぽいかんじで！」。人差し指の先につけて舐めてみた。田村くんもつづいた。すると、これはまさに、美味であった。ハーゲンダッツのように官能的な甘みのレイヤーに、ドリルで削りだしたばかりの岩塩のクリスプさが統合されている。塩辛い粒子を舌でころがしたのち、ふたたび最前面のレイヤーへ帰還したなら、最初のセッションよりエロティックさを増したたくましいとろみが、口いっぱいにラスタライズされるよ。けっこう、けっこう。すると、カスバの立方体に、じわじわとクリームのような親密さの粒子が満ちてきた。われわれは引力を感じた。空気が重たくなり体温が上がった。どろどろとした友情の粘液が、風呂に水を張るように水位を上げていった。まるでハチミツの中にいるよう。べっとりとへばりつく。柔らかい服を着てくればよかったな、と、ぼくは考えていた。おかしなことが起きた。カラビ＝ヤオ氏が、物凄く邪悪な人間のように思えてきた。かれは青い目でこちらの様子を伺っていた。てっぺんだけ赤く染めた金髪が、シダ植物よろしくするすると天井へ伸びているような気がした。「ぐるぐる回ってるんだよ」とかれはいった。「ぐるぐる回ってるんだよ」と。「ヒロ兄、いいよね」とかれはいった。「ヒロ兄はぼくたちと仲良くしてくれて……」と田村くんがいった。この人がオレンジジュースのグラスを片手に平気で喋れるのが、ぼくには不思議だった。このべとべとのハチミツが充満した空間で、よく手が動かせたもんだ。「そのことを考えると、涙が止まらないんです」と田村くんはいった。「もういいんだよ」とカラビ＝ヤオ氏が答えた。はじめて気がついたのだが、かれはゴム引きコートの下に黒いシャツを着ているのだが、そこに無数のステッカーが貼ってあるのだった。なんて書いてあるのか、目を細めてみても、ぎりぎりの所で、読み取れないんだ。「ヒロ兄のことなんて忘れていいんだって、オマエらがぐるぐる回ってどうすんの？」とカラビ＝ヤオ氏はいった。「ちょっとトラブルがあって。青いハチミツを供給しすぎてて。完全に狙われてた。ロシア人に。シチリアのマフィアからも連絡来てて。青いハチミツが来ない、来ないって。どうなってるんだって。船は出発してるのかって。それで、オレがケツ拭いておいたんだ。全部払ってあるし、資金も回収してあるから、ヒロ兄のことなんてもう忘れていいんだよ、アーイ？」——と、かれはいうのだった。「ヒロ兄のことなんて忘れていい」とカラビ＝ヤオ氏はいう。「オレがケツ拭いておいた」とおっしゃる。ぼくはこれを聞いて、びっくりしてしまった。なぜなら、今回、いろいろな話を聞いてきて、「ヒロ兄のことなんて忘れていい」といった人は、この男が最初で最後だったからである。たしかに、あの人のことなんて忘れていいのかもしれない。ぼくは初めてそう思った。リック・ロス似の黒人がそこにいて、盆の上にのった小箱を差し出していた。田村くんが手を伸ばして受け取った。それは木の箱だった。誕生日ケーキくらいの大きさ。イタリア語で焼き印が押してあった。「中身は二人で決めなよ」とカスバのバーテンダーはいった。田村くんは左手で重みを確かめてから、ぼくにパスした。重いといえば重いのだが、軽いといえば軽かった。つまり、何かしっかりと物は入っているのだが、そこまで重い感じもしない。傾けると、何かが動くのだが、大きめの物がひとつという感覚で、カサカサといろいろ入っている訳ではないらしい。なんだろう。われわれはカラビ＝ヤオ氏に対して丁寧に礼を言ってから、まだ膝の下くらいまで浸かっている青いハチミツに足を取られながら、カスバを辞去したのである。]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/06/01/ultimate-healing-28/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/06/01/ultimate-healing-28/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 27</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/05/23/ultimate-healing-27/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/05/23/ultimate-healing-27/#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 23 May 2010 07:57:38 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=976</guid>
		<description><![CDATA[　第二十七話　またカスバへ

　一部のマニアのみなさん、こんにちは。今回もよろしくお願いいたします。前回、ぼくと田村くんは、ヒロ兄が詩に書いていたバー、カスバに到着。天気のよかった土曜日、ぼくは残りのエントリーを書き上げようと考えていた。つまり、カスバへ入って、カラビ＝ヤオという名前のバーテンダーと話し、恐らくはかれが預かっている、シチリアのマフィアがヒロ兄へ届けようとした小箱を受け取る。けだし、五年前、田村くんが東京駅で受け取るはずだった、あの小包である。これを持ち帰り、タケイ・グッドマン氏とともに開封すること。中身をこの目でたしかめること。これで、この「アルティメット・ヒーリング」は一応の終着点へ辿り着いたことになるだろう。ぼくはそう考えていた。そこで、早起きして、ひとまずブラウザを立ち上げ、ページズを立ち上げ、なんとなくカタカタとキーボードと戯れていると、田村くんが、グーグルトークで英語で話しかけてきた。「ぼくらは六本木へいくのかい」「六本木へいったんだよ、前回のエントリーでカスバに到着したでしょう」「きょうは天気がいいね」「いいね」「ぼくらは六本木いくのかい」「きょういくってこと？なんでまたいくの？」「いってないじゃん」「いったじゃん」「他の道もあるかもしれないよ、いこうよ」「いくよ」——という経緯で、われわれはもう一度、カスバへ他のいき方が存在しないか探索すべく、六本木へまたいくことになったのである。どうやら田村くんは、この書き物に最後までしっかりとコミットしようという意欲が、ハンパないようなのだ。ぼくが想像して書いたことの細部までシェアしようという気持ちが、いまだにふつふつと湧いているようなのだ。「十四時に原宿の蕎麦屋ね」——われわれは辛味大根おろし蕎麦とビールの昼食をそそくさと済ませ、表参道を歩きはじめた。「本当にまたいくのかい、江田くんが展示会やってるんだけど、そっちにしないかい」「カスバいってからバルいけばいいでしょ！」——田村くんの前向きな気持ちがハンパないのだ。これに引っ張られるように、ぼくらは青山通りを渡り、根津美術館へとまっつぐ歩いていく。歩きながら話したのは、なぜ、金持ちがやるパーティーの会費は高いのか、というテーマである。「お互い金持ってるんだから、タダにすりゃいいのにね」「お互い金を持ち続けてるか、確認し合ってるんじゃないの」「これくらいも払えないのかよ、オレたち金持ちだろ、払えよ、みたいな」「金持ち同士で金を循環させることに、意味はある」「ですな」——などとくっちゃべりながら、いたく広大な、まがまがしいほどに金を蓄えていると推察される、根津美術館の塀沿いに下っていくと、左手に異様な石碑があらわれた。いや、石碑ではない。石像だ。雨水の沁みたギリシア彫刻が、コロニアル風の破風を備えた古い一軒家の庭先に突き刺さっている。首と手足が失われてはいるが堂々たる体躯で、まがまがしいほどに露わになった陰嚢が、根津の塀に対して「かかってこいよ」とばかりに荒ぶる存在感を及ぼしている。この彫像を、われわれは「ヘロドトス」と命名し、カスバへ至る新たな道標とすることとした。曲がりくねった西麻布の小道を歩くこと数分、次に注意を引いたのは、丘の上にそびえる寺のシルエットであった。この寺を、われわれは「テラバース」と名付け、どうにかそこへいこうと苦心してみたが、見えてはいるのに、一向に辿り着かない。田村くんは、おしっこがしたくなったといい、邸宅を普請している工事の主任に一声かけると、簡易便所で用を足したが、このとき、泥濘でニューバランスのスニーカーを汚すという愚行を犯した。けれども、この現場の角を曲がると、ツツジの木が両側に植えられた、斜めに上がっていく細い坂が見つかった。上ると、香木の香り漂う、そこは見事なテラユニバースであった。大本山永平寺別院とある。「精神世界から最新のスピリチュアル・パッチをダウンロードしようぜ」とかなんとかいいながら、本堂に安置されたサーバの前に立ち、極楽浄土へしばしログインしたあと、ぼくと田村くんは、なんとなく観音堂なる背の高い建物へ入っていったが、そこで「あっ」と声を上げてしまった。三階建てのアパートと同じくらいの高さはあろうかと思われる、十一面観世音菩薩像。巨大な木像は左足をやや前に出し、纏った慈悲のエナジーは自ずと胸に沁みてくる。しかし、この温かさ。もしかして、ヒロ兄なのか——。この穏やかさは、ヒロ兄のものなのか。われわれは、しばし鑑賞の上、ありがたい木仏を「観音スキンのヒロ兄」と命名した。ここまでを整理しておこう。根津美術館の脇の道を西麻布方面へまっつぐいくと「ヘロドトスの陰嚢」が目に入る。次に細い坂を上がって「別院サーバのテラバース」へ入り、「観音スキンのヒロ兄」の微笑に浴すること。こうすることで、カスバへ至る、第二の道程のフラグが立つだろう。さて、六本木通りへでたわれわれは、とぼとぼと歩いていたが、いうまでもなく、大通りはつまらない。田村くんは「もっと裏の露地が見たい」といった。ぼくは「そうしようか」といった。裏の露地を見て歩く行為を、ぼくたちは「ウラジミール」と命名、ウラジミール・ナボコフの話など文学論争をしながら、存分にウラジミールするうちに、やがて、自動車の音は遠ざかり、静かで、角の垣根に立つ腐食したオレンジの反射鏡に行き当たった。チューブのように歪んだ姿をぼうっと眺めながら曲がると、道はやや広がり緩やかな下り坂になっていた。白い橋梁と風に凪ぐ東京湾が見える。無限に変化しながら砂のように輝いている。ぼくらは立ち止まってこれを見ていた。ぼくらはこれをどこかで見たことがあった。何万光年も先の宇宙のようだったし、午前三時にスイッチを入れたブラウン管のようでもあった。「この道、ヒロ兄っぽくない？」と田村くんがいった。「やっぱり、ここにでるんだね」とぼくは答えた。「ヒロ兄っぽい道を歩いていこうか」とかれは提案した。「ヒ」の字の三叉路、「ロ」の字の十字路——われわれは、一つ一つを丁寧に辿っていった。ヒロ兄にしっぽが生えたような猫がついてくる。紫のレンガ造りの建物が両側に立ち並んでいる。崩れ落ちそうなヤシの老木に寄り添うように、「兄」の字の養蜂箱があった。田村くんが中指でコツコツと叩く。すぐそこに青いネオンがまたたいている。カスバ。確認すると、しっかりと握手して、引き返すことにした。ここから先は、いつでもいけるから。記憶の深い底を辿れば、ここから先の光景はあるから。学芸大学へ引っ越したバルの新しいオフィスへいくと、かれらはあの「柔らかい素材」のワンピースを、この冬のコレクションに加えていた。魔法使いのようなフードのついた、いろいろな箇所が改良されたヒロ兄のためのアイテムだった。江田くんは「柔らかい素材にしておいたよ！」といった。ぼくと田村くんは、このウィザードの前で立ちすくんだ。涙が止まらなかった。ヘロドトスに着せてやりたかった。]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/05/23/ultimate-healing-27/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/05/23/ultimate-healing-27/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 26</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/05/14/ultimate-healing-26/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/05/14/ultimate-healing-26/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 13 May 2010 16:58:22 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=954</guid>
		<description><![CDATA[　第二十六話　カスバへ

　そろそろヒロ兄を終わらせようと思う。書きはじめたころは、ヒロ兄への重苦しいほどの思いがあった。しかし、さらさら書けるようになった。途中でわけの分からない話もでてきた。これが自分なのだ。前回のエントリーの冒頭、自分でも何を書いてるんだかさっぱり分からない。しかし、これはこれでいいだろう。問題は、そこから先である。書けていない。ナオヒロさんがまったく書けていない。或いは、じっさい、ぼくの部屋で話したことは確かなんだけれど、同じような描写がつづいてつまらない。大胆に場所を変えてしまえばよかった。こうして、くよくよと考えることがある。田村くんはこういう。ヒロ兄のために少しでもいい、興味深い絵をデリバリーしたいけれど、この思いが強すぎて、上手く描けないと。けれども、進んでいくことがだいじなのだと。ヒロ兄が好きだ。ぼくと田村くんは、ヒロ兄が好きすぎる。これだけやっておいて、何を今さらって話だが、このことに気がついた。ヒロ兄に会いたい。ヒロ兄を抱きしめたい。ヒロ兄の鼻をつまみたい。われわれは、カスバへいく。ヒロ兄が「アルティメット・ヒーリング」に書いていた、六本木にあるというバーへいこうと思う。タケイ・グッドマン氏と宇宙的な偶然で出会った夜、かれが口にしたのがこのバーだった。われわれは、ヒロ兄が遺した詩をすべてよんでみた。あらゆるデータが、ハードディスクに入れてあった。片方がクラッシュしたときの為に、二台に分けて保存してある——しかし、カスバの話は見つけることができなかった！——たぶん、中央情報局の人間に消されたのだ。「消された？」とぼくは聞いた。「消されてるね、間違いなく」と田村くんは答えた。こんなことがあるのだろうか。ヒロ兄が書いた詩の中でもっとも印象的なものの一つが、見当たらないなんてことが。タケイ氏にメールでこのことを報告すると、「スーン、消されてるよ、それ」とのこと。「ハッキングされてる、クラックされてる、どう考えても！」——外国人が日本人の女とブーガルーするバー、カスバ。どこにあるんだろう。ぼくと田村くんは、とりあえず、六本木の駅で下車した。どうすりゃいいのか。シルクヱビスを片手にぷらぷらと歩きはじめた。「ヒロ兄がさ」と田村くんがいう。「クラブの地下でさ、上半身裸になってさ、大きなハチミツの壺をもってたって話、したっけ」「いや、初めて聞いた」——「ヒロ兄のさ、ヒロ兄の父さんがさ」と、ぷらぷらと歩きながら、また話しかけてくる。「いきなり電話かけてきたのね」「へえ、息子のことで話がしたいって？」「いや、モデムのつなぎ方、教えてくれって」——なんだよ、それ。どんな家族だよ。もっと他に聞くことあるだろ。というか、どんだけタケイ家に入りこんでるんだよ、オマエは。しかも、こんなときになって、全然知らないヘンな話するな。まだまだでてくる、ヒロ兄の逸話。とりあえず、もういい。上半身裸でハチミツの壺もってたとか、いちいち掘り下げはじめたら、キリがない。いちいちありありと描写してたら、日が暮れるわいの。われわれは、六本木通りを並行移動していたが、やがて、足の向くままに、細い、苔の生えた、コケティッシュな露地へはいっていった。東京では、どこを歩いていたって、こんな道に迷いこむのは、造作もないことだ。われわれは、こんな道が好きだから、いつのまにか歩いている自分たちに気がつく。どこにいるんだか、まったくわからない。ヒロ兄のことが好きなのと、まるで同じなのだ。腐食したオレンジの反射鏡が立っている。背の低い垣根が道伝いにつづいている。チューブのように歪んだ姿をぼうっと眺めながら曲がると、道はやや広がり緩やかな下り坂になっていた。白い橋梁と風に凪ぐ東京湾が見える。無限に変化しながら砂のように輝いている。ぼくらは立ち止まってこれを見ていた。ぼくらはこれをどこかで見たことがあった。何万光年も先の宇宙のようだったし、午前三時にスイッチを入れたブラウン管のようでもあった。「この道、ヒロ兄っぽくない？」と田村くんがいった。「ヒロ兄っぽいね」とぼくは答えた。「ヒロ兄っぽい道を歩いていこうか」とかれは提案した。「書いていたでしょう、東京のあらゆる場所に、ヒロ兄の記憶は澱んでるって。ヒロ兄の思い出が、いつまでも通りを歩いてるって」「書いたけど、思いつきだよ」「いこうよ」——われわれは、ヒロ兄っぽい道を歩きはじめた。いっておくが、この道はグーグルマップには載っていない。しかし、読者のために、この世界でヒロ兄の痕跡を探そうという来るべき友人のために、ここからの道のりを、できるだけ詳しく記しておくことにする。まず、ヒロ兄っぽい緩やかな坂道を下っていくと、ヒロ兄っぽい駄菓子屋がある。ラムネを買って飲みながら、まっつぐいくと、「ヒ」の形をした三叉路にでるだろう。ただの分かれ道かと思ったら、左の道が、少しいった所でまた分岐しているので、気をつけて欲しい。分岐した方を右へいく。この方角は、ヒロ兄の故郷、富士山とほぼ一致するから、天気のいい日だったなら、霊峰が目印になるだろう。さて、いつかの選挙ポスターが、ヒロ兄っぽくへばりついた壁沿いに歩を進めたなら、中央に白いペンキで「ロ」と引かれている交差点に行き当たる。ぼくらのときは、ここで初めて、この道で合っていると自信をもった。「ロだね」「やっぱりあったね」。しかし、次のルートは難易度が高い。なにしろ、交差点。三つのオプションがあるでしょ。しかも、フェークが二つあるんだ。まず、まっつぐいくというオプション。目の前をよく見ると、かなりヒロ兄っぽい肉屋がある。これが罠。主人はヒロ兄に生き写しだし、女将もヒロ兄に生き写しなんだ。ふざけてるよ。まじで危なかった。このルートは絶対にいったらヤバイと思って、ぼくと田村くんは、逆に外したんだ。わかるだろう。で、右か左かって話なんだけど、右がフェークだから、気をつけてね。看板がでてるんだ。「ヒーロー・ニールズヤード」っていう、よくわかんないテーラード服の錆びた看板。「これかな？」「いや、探してるのは『兄』だぜ？」——こうして、ぼくたちは、左の道を選んだんだ。いつのまにか日は暮れかけていた。スニーカーの靴音、カレーの匂い、蝙蝠が羽ばたく音。側溝の蓋の上を、ヒロ兄にしっぽが生えたような猫がついてくる。紫のレンガ造りの建物が両側に立ち並んでいる。崩れ落ちそうなヤシの老木に寄り添うように、へんてこな形をしたオブジェが配置してあった。ブラウン管を思わせる木の箱に、先端がカーブした足が生えている。「兄」という字に見えなくもない。吸い寄せられるように近づくと、田村くんが中指でコツコツと叩いた。それは養蜂箱だった。「兄」の形をした養蜂箱——なぜだろう、ぼくは、これが裾の短い芸術家、バシャールの作品なのだと直感的に分かった。すぐそこに青いネオンがまたたいている。カスバ。ぼくと田村くんは、レンガに口を開けた地下へ通じる階段を下りていった。

<img src="http://ghetto.jp/studyhard/wp-content/uploads/2010/05/palm3.png" alt="" title="Tamura" width="200" height="305" class="aligncenter size-full wp-image-970" />]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/05/14/ultimate-healing-26/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/05/14/ultimate-healing-26/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 25</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/05/05/ultimate-healing-25/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/05/05/ultimate-healing-25/#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 05 May 2010 14:17:40 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=917</guid>
		<description><![CDATA[　第二十五話　リアル・ナオヒロック氏の訪問

<img src="http://ghetto.jp/studyhard/wp-content/uploads/2010/05/cap.png" alt="" title="Tamura" width="423" height="362" class="aligncenter size-full wp-image-968" />

　マンマミーア、膝の裏が痒いよ。ヘロドトスよ。汝は五月になつたら晴れるといつた。たしかに晴れたが、膝の裏も腫れた。古代ローマ帝国では、アトピーに苦しむ人はいたのだろうか。過ぎ去った春の嵐。あの愚かしい四月の天気のせいで、ぼくは痒い。痒いんだ、マンマミーア。おお、シチリアの鳥たちよ、あの黒々とした波頭と戯れる、キマイラの末裔よ。膝の裏を掻きしむれ。ついばめ。草木の汁よ。黄色い体液と血潮よ。書いて掻いて、書きむしるがいい。虫たちよ。囁きたまえ。ヒロ兄はあそこにいるよ、と。美しい鳥たちよ。ついばめ、イモ虫を。食べるがいい。ぼくたちは、綿密な調査を重ねてきた。想像力をたくましくした。水平線から少しずつ、この物語は姿を現した。さあ、もう一度、三月のあの夜に戻ろう。ああ、痒い。掻いてもいいなら、書いてもいいだろう。ほら、東横線の高架下を、まっ白な一本の人骨が、こちらへ向かってくる。骨が歩くだって！いや、骨じゃない。あれは、ロウソクだろう。消えかかった最後の炎をゆらゆらと灯した、まっ白な一本のロウソクが、こちらへ向かってくる。間違いない。リアル・ナオヒロック氏だ！目をまっ赤にしている。頬はこけている。蒼白。しかし、風に吹き消されようとするそのとき、二つの眼光はいよいよ妖しく発光する。もう、すぐそこまで来ている。凍えた猟犬のようだ。ぼくと田村くんは、じっと待っている。ああ、そうだ。リアル・ナオヒロック氏だ。かれは会釈をして、われわれの目を冷たく覗きこみ、いった。「もしかして、もういいかんじなの？」——返答に迷った。ついさっきまで、タケイ・グッドマン氏とドライブへいっていた。いいかんじといえば、いいかんじだが——「いや、いいかんじではないです」。目をまっ赤にして、つまらなそうに、「ふうん」——ぼくは酒屋へ駆けこみ、缶ビールを何本も買いこんだ。「さあ、ぼくの部屋へいきましょう、ヒロ兄のことを、話してくださいな！」——急行列車がよく見える窓辺のソファに腰掛けるなり、かれは黒い髪を掻きむしった。「逃げられなかったんだ、オレはいつも自分の店にいたから……逃げられなかったんだ！」——許してくれ、許してくれヒロ兄……と懇願し、かれは苦悩を隠そうとしなかった。「オレはヒロ兄に何もしてあげられなかった、だが、ヒロ兄はオレに何でもしてくれた！」——ああ、悪魔よ。ここにも友情は、青いハチミツという名の人間の善は存在しているぞ。「オレは商売をしていたから、気分が落ちこんでいるとき、あの人がいてくれた。くよくよしたってしょうがないぜ、遊びにいこうぜ、なんて、一言もいわなかった。ヒロ兄は、ただ、オレといっしょにいてれくた」——こういうと、黄金色の缶ビールを一息に飲み干した。「だが、度が過ぎるといけない、あの人はいつも、オレの店へ来るようになった。エマニエルという会社だったんだが……あるころから、ヒロ兄は、勤めていた会社のホワイトボードに、午後の予定は『エマニエル』と書いてあるだけだったらしい。同僚は首をかしげていたという！」——まくしたて、まるで一本の骨のように、強風に晒されるロウソクのように、がたがたと震えだした。田村くんが、新たに缶ビールの栓を開け、手渡す。「ぼくたちは、ヒロ兄ではなくなっていったヒロ兄については、いくつかの証言を集めてあります。これは、確認のために質問するんですが、何か、変化の兆しはありましたか？」——かれは、凍った大地の匂いを嗅ぐ猟犬のように俯き、よく考えてみてから、「素材が……服の素材が、柔らかくなっていったんだ！」と叫んだ。これを耳にして、ぼくと田村くんは、つい笑ってしまった。一晩に二回も、服が柔らかくなった人の話を聞くなんて、人生でよくあることではない。読者のみなさんも知っている通り、ヒロ兄は柔軟に、動きやすくなっていったのだ。けれども、ここから、われわれのインタビューは、急速に噛み合わなくなっていった。「東京に存在している友情から精製される、本物のハチミツを採取するために、あの人は柔らかい服を着るようになっていきました。かれは友情を青いハチミツとしてシチリアのマフィアへ売却し、多額の利益をさらに友人へ投資するという錬金術、永久機関を作り上げようとしていました。この組織ではビッグ・パパもしくはパパ・グランデと呼ばれており、まさにフィクサーだったんです。本物のハチミツについて、何か耳にしたことはありますか？」——ぼくは質問した。リアル・ナオヒロック氏は何が何だか、さっぱりわからないといった風で、二つの手の平で白い頬骨を撫でていたが、「ああ、本物のハチミツね……」といったん話を合わせようとしたあと、「え、なんの話？」と、切り返した。「本物のハチミツです」と田村くんが念を押すようにいった。「ただのハチミツじゃないんです、本物なんです。枕に垂らして眠るんです」。ぼくらは、二人で説得しようとした。「ヒロ兄が消滅した原因は、ここにあります。本物のハチミツが原因です」。リアル・ナオヒロック氏は、まっ赤な目でわれわれを交互に眺めていたが、やがて、「いや、知らない」といった。そこで、ぼくは次のように質問した。「じゃ、ナオヒロさんは、ヒロ兄の消滅の原因は、何だと思いますか？」——すると、リアル・ナオヒロック氏は、炎の点ったロウソクのような静謐さで思案したあと、「長男としてのプレッシャー」と断言した。ぼくらが難色を示すと、「あれ？ちがうの？」と付け加えた。「あれ、おかしいな……」——缶ビールを飲んで、「長男としてのプレッシャーから、わけわかんないモノに手ェだして、わけわかんなくなったんじゃないの？あれ？」——リアル・ナオヒロック氏は、名前の通り、とてもリアルな物の考え方をする。あくまで現実主義なのだ。ぼくたちは何とか、材料がないか、探した。ハチミツなんて知らないという。シチリアのマフィアは聞いたことがないという。裾の短い芸術家も、ハンマー投げのヤムジーも、勿論、会ったことなんてない、とおっしゃる。われわれは沈黙した。「『猫好きの紳士』なら、知ってる」——かれは、にっこりと微笑んだ。「妹のカナちゃんが描いた、ヒロ兄が主人公の絵本。知らない？ヒロ兄は、猫好きの紳士なんだよ」——猫好きの紳士、ヒロ兄！——これが、ぼくと田村くんが手に入れるべき、最後のピースなのだろうか。ハチミツが好きで、猫が好き。そんな男を、ぼくたちは、この広い世界で探すのか。ヘロドトスよ。歴史家よ。このあと、リアル・ナオヒロック氏は、クラブへいくときは、主にナンパが目的であること、某有名レーベルより、ラッパーとしてソロデビューする話があったことなどを語ってくれた。こうして、ヒロ兄まみれの三月の木曜の夜は、終わったのである。]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/05/05/ultimate-healing-25/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>1</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/05/05/ultimate-healing-25/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 24</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/04/27/ultimate-healing-24/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/04/27/ultimate-healing-24/#comments</comments>
		<pubDate>Mon, 26 Apr 2010 16:27:31 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=885</guid>
		<description><![CDATA[　第二十四話　マルガリータ

　タケイ・グッドマン氏とドライブした帰り道、われわれは目黒通りにあるリノベーションされたホテル、クラスカで降ろしてもらった。一階のカフェは午前二時まで開いている。ぼくと田村くんは赤ワインのグラスとシーザーサラダを注文して今夜のことについて話し合う。煙草をどうぞ、とポケットからインディアン印の煙草をとりだした田村。ぼくはマッチに火を点けた。狼煙のように煙りを上げて、われわれはしばらく黙っていた。背中の大きく開いたドレスの女を眺めていた。「ヒロ兄について、いろいろわかったね」とぼくはいった。田村くんは、足を組んで黙ったまま、答えなかった。「いろいろわかったよね、よかった」ともう一度いった。田村くんはフォークをくるくる回しながら、こういった。「グッドマンさんは、ゲットーをよんでいるのかな」——粉チーズをかけた菜っ葉を食べながら、思わせぶりにいうのだ。「あの人は、よんでいるんだろうか？」「よんでるよ、感謝してるよ、っていってたでしょう」——すると、深刻な顔つきになって、「どう思っているんだろうか、迷惑じゃないのかな、ぼくたちがこんなことを始めてさ、ヒロ兄のことばっかり、インターネットに書いたりしてさ」——かれはときどき、そのときに考えなくていいことを考えて不安になるのを得意としている。勿論、だれにでもあることだろう。「もう十分、書いたんじゃないかな。ヒロ兄、ヒロ兄、書きまくったんじゃないかな」——ぼくは嫌な感じがして、「さっさと終わらせたほうがいいってことかい？」「いや、ぼくはよみたい、ずっとよんでいたい」「じゃ、いいじゃないか」「グッドマンさんとか、周りの人は、どう思っているのかな、ハラハラしているんじゃないのかな」「知らないよ、そんなこと」——不機嫌になった。ぼくと田村くんは見つめ合った。「なんで聞いたことを、全部書いちゃうんだよ」「何でもかんでもじゃないよ」「なんでヒロ兄について、あることないこと書くんだよ」「知らないよ」「なんで書くんだよ、バカ」——背中の大きく開いた外国人の女が、こちらを見ていた。尖った傘におっぱいが生えたような女だった。「だったら、絵を描くなよ、バカ」と、ぼくはいい返してやった。赤ワインのグラスをもう一杯ずつ、注文した。「あーあ、舐めたい、舐めたい！」と田村くんはいった。「青いハチミツ、本物のハチミツ、舐めたい！」と、威勢よくいった。「あんまり舐めると、イルになるんだ」とぼくはいった。田村くんは、フォークで菜っ葉をむしゃむしゃと食べながら、兵隊のように叫んだ。「あーあ、舐めたい、舐めたい！」——このあと、代金を支払い、ぼくの部屋へ帰る道すがら、かれは小声で質問してきた。「今夜は、泊まってもいいかな」「いいよ」——こうして、われわれは二人で何回目かの＜マルガリータ＞をすることになったのである。地酒の瓶を中心にして、ぼくと田村くんは、頭のてっぺんをくっつけるようにして、床に横たわっていた。「あの木が育たないって、なんだろうね」と天井に向かって質問した。すると、声が聞こえてくる。「本物のハチミツを舐めてばかりいると、病んでくるでしょう、だから、木の実を食べて治す」「なんの木の実？」「占い師が庭に植えた木は、一年中、木の実が実りつづけるんだって、ラジオでいってた」「それ、なんの実？」——「なんの実？」——答えがない。かれは眠ってしまったんだ。「ねえ、なんの実だよ」と、ぼくは起き上がった。かれは、すやすやと寝息を立てていた。ぼくは電話についているカメラで、これを撮影することにした。六枚、いいやつを撮って、インターネットに送ってしまったところで、目を覚ました。「ほら」と、コンピューターの画面を鼻先につきつけて見せてやると、田村くんは悲しそうな顔をした。隕石の衝突を受け入れた初期のほ乳類のような顔をした。「いいのが撮れたねえ」とぼくは赤ちゃんをあやすようにいってやった。かれは、鼻を鳴らして、背中を向けて横になってしまった。こちらは、鼻歌を歌いながら、ソファで歌舞伎の本をよみはじめた。ぼくはだれかが部屋にいると、よく眠れない性質である。男であれ、女であれ、かれらが寝息を立てているときに、一人で起きて何かしているのが楽しい。しばらくすると、「消してよ」と声がした。田村である。背中を向けたまま、懇願している。ぼくは気づかないふりをして、ページをめくっていた。「消してよ」「…………」「消してよ」「やだね」——すると、かれは勢いよく立ち上がり、決然と、「イトウくん、消してくれ！勘ちがいされるよ！」——こうして、ぼくはしぶしぶ、消したのである。正確にいうと、プライバシー・セッティングを変更しただけで、写真は存在しているのである。しかし、これらが見られなくなったことを確かめると、田村くんはまたフローリングに横になり、ころころと壁のほうへころがっていった。壁と床の境界線に鼻をくっつっけて、くんくんと匂いを嗅いでいる。「シチリアのマフィアがヒロ兄に届けたかった箱の中身って、何だろうねえ、何にしようかなあ」と、ぼくはのん気なことを尋ねた。「なんだと思う？」「わかんないよ、なんだと思うの？」「……たぶん、土だと思う」とぼくはいった。本物の木の実を育てるために、本物の水を探していたヒロ兄にとって、あと足りないものといったら、土だろう。塩からいシチリアの乾いた土を、富士山のふもとにある、小さくてかわいらしい農園に蒔いている、あの人の姿を思い浮かべた。田村くんはくるりとこちらへ回転すると、「ぼくはいま、土にまつわる本をよんでる！」と適当なことを奇跡のようにいった。「じゃ、土かもしれないね」とぼくは返答した。「うん！」と気分良さそうに答えると、かれはまた、すやすやと眠りへ落ちていった——。そのとき、電話が鳴った。ケルト民族が踊りながら吹いている笛のような音は、ぼくの電話。「もしもし」「ああ、ナオヒロックです」「こんばんは……」「ヒロ兄を埋葬する儀式って、何のこと？やってるの？」「いや、延期になりました」「ああ、そうなんだ、いや、何かと思って、オレの名前も書いてあったから」「今夜はやってないです」「うん、ヒロ兄にはお世話になったから……ちょっと、いってもいい？」——というわけで、あの夜の二人目の来訪者、マルガリータの三枚目の花びら、リアル・ナオヒロック氏を、われわれは迎えることになった。ああ、あれは三月の木曜日の夜のことだ。こんなに時間が経ってしまった！次回は、記憶を辿りながら、リアル・ナオヒロック氏が話してくれたとてもリアルな証言について、何とか書いてみようと思う。四月なんて初めから存在しなかったような異常気象の下、ここまでよんでくれたゲットーポッシーたちに感謝する。]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/04/27/ultimate-healing-24/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/04/27/ultimate-healing-24/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 23</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/04/18/ultimate-healing-23/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/04/18/ultimate-healing-23/#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 18 Apr 2010 14:44:22 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=862</guid>
		<description><![CDATA[　第二十三話　何を見てもヒロ兄を思い出す Part 6

<img src="http://ghetto.jp/studyhard/wp-content/uploads/2010/04/uh-paper-a.png" alt="" title="Tamura" width="470" class="aligncenter size-full wp-image-881" />

　何を見てもヒロ兄を思い出す。バシャール氏の話はつづいた。青い樽のある集会所は、午前一時になってもトラックの地響きが鳴り止まない大通り沿いにある。点々と点った街灯と、閉店した家具屋が点けっぱなしにした灯りだけで、辺りはいつも仄暗い。「まるで目黒通りのような国道です」と裾の短い芸術家はいう。四階建ての郵便局を過ぎ、いくつかの古い家具屋を過ぎ、外国人ばかり泊まっているリノベーションされたホテルの前を、シチリアのマフィアは靴音を立てて通り過ぎる。コッポラ帽の陰で、かれらは笑っているという。鼻歌を歌う。青いペンキでべったりと塗られた樽は、白い壁の六階建てアパートの前に置かれていた。エレベーターをつかって、五階にあがっていく。「かつてマフィアたちは、みんなこのアパートに住んでいました」と裾の短い芸術家はいう。「扉に何人ものあだ名がハサミで彫りこまれた集会所で、マフィアたちは何年も寝泊まりしていました。隣りの部屋には、あたまを五分刈りにした職人気質の一人のマフィアが、何人もの女を取り替えながら、五年のあいだ、暮らしていたといいます」「かれは目が覚めたら、すぐに『スタジオ』へ顔を出したかったんですね。いつだって、だれかがいる。寝袋に入り絨毯の上に横たわっている。こいつを蹴っ飛ばして起こし、気の向くままに、本物のハチミツを舐めることができました。あのころは、好きなだけ手に入りました。わざわざ東京のビッグ・パパから仕入れる必要なんて、まったくなかったんです」——しかし、今はちがう。プッタネスカと寒ぶりのソテー。ほろほろ鳥のグリル。ジェラートをのせた、イチゴのマリネ。ある日の晩餐のメニュー。「かれらはテーブルを囲む前に、新聞の切り抜きを、壁に画鋲で留めていきます。所々が剥げ落ちた壁は、黄色く変色した切り抜きで、いっぱいになっています」「食事をしながら、にぎやかに議論をします。『墜落する飛行機の操縦士が気を失いそうになるのを、副操縦士が必死になって勇気づけたかもしれないぜ』」——食事を終えると、シチリアのマフィアたちは儀式をはじめる。冷蔵庫で冷やしてあった、本物のハチミツの入っている壺を取りだし、絨毯の上に置く。かれらはこれを取り囲んであぐらをかく。あぐらをかいて、昔の話に花を咲かせる。『こいつが車を運転していて、これから死んでもいい？といった。いいよっていったら、壁に向かって物凄い速度で走りはじめた。ぎりぎりでブレーキを踏んだけど、こいつの恥ずかしそうな顔といったらなかった』なんて小話をし終えると、小さじで本物のハチミツをそっと舐める。「青いハチミツです」と裾の短い芸術家はいう。「洞窟のように青いハチミツなんです」——小さな思い出が一つ、浮かび上がるたびに、小さじに一すくいの本物のハチミツがなくなっていく。ヒロ兄もこの集いに同席したことがあるという。シチリア島では、パパ・グランデと呼ばれていたという。夜が更けてくると、たいてい＜マルガリータ＞になるという。「友人と別れたくないんですね。いつまでもいっしょにいたいんですね。本物のハチミツが、この思いを強くします。本物のハチミツは、友情をぴったりと貼り合わせる糊のような存在なんです」——かれらは、壺を中心として放射状に寝ころがる。上から眺めたら、マーガレットの花のように映るだろう。だから、マルガリータ。シチリアのマフィアたちは、洒落ばっかりいっている。かれらに見えるのは、天井と木製の空調機だけ。しかし友人の声は聞こえる。『起きてるかい？』『起きてる』——本物のハチミツが舐めたくなったら、むっくりと起き上がり、そっと舐めて、また横になる。『起きてる？』『起きてるよ』——「こんな風にして、かれらは朝までぬくぬくしているといいます」「思えば、たいへんな一日でした。新聞を熟読しなくてはいけなかったし、昼寝の時間をきっちりと確保しなくてはいけなかった。タフな散歩でした。帰ってきたらすぐに、切り抜きの作業が待っている。合間を縫って、夜、どんな小話をするか考えなくてはいけない。シチリアのマフィアの一日はタフなんですね。ぼくには考えられないなあ」——裾の短い芸術家、バシャール・アル・バシャール氏は、こういうと立ち上がり、小魚の形をしたランプを点灯させた。扉の傍に立て掛けてあった、眼鏡橋で拾ってきた奇妙な形のステンレス棒を手にとる。外は暗くなっていた。三階の窓辺から見えるのは、火口から噴き上がるような水蒸気だけである。「血なまぐさい職人的な作業とは？」とぼくは質問した。同性愛的な友情と本物のハチミツは、しっかりと関係していた。では、もう一つはなんだろうか。「いいにくいんですが……」といいながら食器棚の下の扉をごそごそと漁り、ひょっこりと顔をだすと、「裏切り者のピーネを、ハサミで切り落とすんです」といった。「われわれの言語でいう、男性器です。イタリア語でピーネといいます。ハサミはフォルビッチです」——「ピーネ・タグリアート・ダ・フォルビッチ！」と、かれは歌うようにいった。しまってあった長靴と袋入りの土を、部屋のまん中へもってきって、何やら作業をはじめる。かれらは職人的にピーネを切断すると、裏切り者に女装をさせ、罪は許されるのだという。「四、五年ほど前から、女装をさせられるマフィアがじわじわと増えていきました。かれらは、本物のハチミツが足りていないからだと考えました。ビッグ・パパに、ビジネスの機会が訪れたんです」——裾の短い芸術家は、長靴の中へ、スコップでせっせと土を移していく。一杯になると、かれはステンレスの棒をぐさりと刺し、角度を調節し終えると、ズボンで手の埃を払った。ソファまでやって来て、隣りに腰掛けると、うっとりとオブジェを眺めている。「長靴で裾を覆い隠すってことかな」「ビッグ・パパはこういっていました、『オレたちには、船に積んで輸出するくらい、友情があり余っているんだから、何の心配もいらない』と」——しかし、ヒロ兄はじわじわと病んでいった。ぼくと田村くんは、はっきりとこれを知っている。あの人はこの男と同じように、われわれに投資したかったに違いない。だが、友情を売却して友情に投資するなんてことが、あっていいのだろうか。ぼくの目には、東京のあらゆるポイントに仕掛けた養蜂箱から、はりきって青いハチミツを採集しているヒロ兄の姿が浮かんでいた。バシャール氏は、また足をくるくると回していた。このとき、ぼくは初めて、かれが一言いってもらいたいことに気がついた。「いい靴下ですねえ、ヴィヴィアン・ウエストウッドでしょう？」——かれは、照れた。もじもじしながら、「生まれつき裾が短いから、できるおしゃれもあるんです」——こちらをちらちらと伺いながら、いうのだった——「人生をたのしまなくっちゃ」]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/04/18/ultimate-healing-23/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/04/18/ultimate-healing-23/" />
	</item>
		<item>
		<title>Ultimate Healing 22</title>
		<link>http://ghetto.jp/2010/04/16/ultimate-healing-22/</link>
		<comments>http://ghetto.jp/2010/04/16/ultimate-healing-22/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 16 Apr 2010 05:20:50 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Ultimate Healing]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://ghetto.jp/?p=842</guid>
		<description><![CDATA[　第二十二話　何を見てもヒロ兄を思い出す Part 5

<img src="http://ghetto.jp/studyhard/wp-content/uploads/2010/04/uh-paper4-b.png" alt="" title="Tamura" width="281" height="288" class="aligncenter size-full wp-image-879" />

　何を見てもヒロ兄を思い出す。犬が吠えている。窓辺に置いてあるソファに、ぼくは腰掛けている。裾の短い芸術家は、背伸びをして食器棚からカップを取ろうとしている。靴下がよく見える。かれは、浮いた足をぶらぶらとさせながら、ちらちらとこちらを振り返る。見下ろすと、薄汚れた白い毛に、青い斑点のある老犬が、こちらを見上げて吠えている。河原からついてきてしまったんだろうか。寒いんだろうか。三階へ上がってきて暖を取りたいのかしら。駅前通りを傘を差した人々が行き交っている。一階の八百屋のマダムは威勢のいい声を張り上げている。ここからでは意味をなさない音像となる。犬はまだ吠えている。地下鉄の昇降口の柵を窮屈そうに通り抜けた巨体の人影に、見覚えがあった。隆々とした右肩からピンクのエコ・バッグを下げている。二の腕に刺青が入っている。階段を思わせる筋の入った後頭部の肉に、雨水の膜が張りついている。傘は差していない。ああ、やっぱりそうだ。ヒロ兄からポートフォリオの指南を受けていた、ハンマー投げのヤムジーだ！階下の八百屋で足を止めた。水浴びしたラクダのような鈍重さ。猫と猫が殴り合いをしているアロハシャツ。二つの手をぐるぐると振り回し、何やらマダムと交渉している。青い斑点の老犬が、足元に馴れ馴れしく擦り寄る。商談が成立したのか、かれがピンクのエコ・バッグの口を開けて差し出すと、紐で結わえられたアスパラガスの束が、何束も放り込まれた。銀貨を何枚か支払い、通りを渡って煙草屋の角の露地へ入っていこうとする。歩調を早めて老犬がついていく。ぼくは急いで窓を開け、顔を突き出して叫んだ、「ヤムジー！」「おい！ヤムジー！」——びっくりしたように、汚い犬が首を曲げてこちらを見上げる。しかし男は無関心で歩き去ろうとする。「おーい！ヤムヤムジー！」——びっくりしたように、かれは回れ右をした。四月の雨に降られながら、訝しそうに八百屋の店先へ目線を送っている。「ヤムジー！ここだよ！」——かれは首をかしげ、何だかわからない、という顔をして、再び向き直っていこうとした。「ヤムヤムジー！こっち、こっち！」——すると、ヤムジーはこちらを見上げた。ぼくは嬉しくなって、手を振った。アスパラガスの穂先が覗いたエコ・バッグを掲げて、かれも手を振り返す。「裾の短い芸術家と、ヒロ兄の話をしているよー！」——階下のマダムが通りへ数歩、歩んできて、何事かと顔を上げる。ヤムヤムジーは口を尖らせ、「ヒロ兄ってだれー！？」「あなたが国債について相談をしていた、金満家の紳士だよ、熊のように大きな！」「ああ、ビッグ・パッパのことか！」——まとわりついてくる濡れた老犬を足蹴にしながら、「よろしくいっといてくださーい！」といって、ハンマー投げのヤムヤムジー氏は視界から消えてしまった。バイバイ。窓を閉めると、バシャール・アル・バシャール氏が、紅茶のポットと袋売りの人形クッキーが山盛りの皿、二つのカップをのせたプレートを手にして、小さな食卓の椅子へ腰掛けるところだった。「どこまでお話ししましたっけ？」——ぼくは改めて部屋を見回す。四十平米はあるがらんとした一間。白い漆喰の壁や木の板を並べた床に、絵の具の飛沫や彫刻刀で削ったような跡がある。キッチンと食器棚、窓辺にある古いソファ、一対のテーブルと椅子の他には何もない。「もっとエネルギッシュな作品が所狭しと置かれているのかと思いました」——裾の短い芸術家は、ぼくのカップにも紅茶を注ぎ終えると、クッキーをひとつまみ、「最初の顧客が、最後の顧客なんです」といった。「ビッグ・パパにこっぴどく叱られていたでしょう」——目を細め、胸を張り、「えへん、バシャール、本物の芸術家というのは、一つの作品が本当の価値を十分に理解され、しかるべき金貨が支払われるまでは、次なる作品に手を染めるべきではないんだぜ」と甲高い声でいい終えると、感想を求めるようにこちらを見た。「ビッグ・パパの物真似ですよ」「へへへ、バシャールううう、最初の作品は、いつも最後の作品なんだぜ」——ぼくはくすくす笑った。バシャール氏もくすくす笑った。「紅茶を飲んで下さいな、下の八百屋のマダムにいただいたものです」「シチリアのマフィアの話でしたね、かれらは昼寝をするんです。そして、タオルケットを蹴とばし、冷蔵庫を開け、クルミを剥いて食べながら水分を補給します」「ふむふむ」「午後二時半、シチリアのマフィアたちは散歩へ出掛けます。路上に渡されたワイヤーに洗濯物が揺れる細い通り、傾きかかった日差しがオレンジの皮を焦がす果物市場、石畳に工具が転がっている薄暗い自動車の修理工場、開店する前の、オレンジの傘付きランプだけが点った真っ暗なバール、縄張りのあらゆる所へ顔をだし、挨拶して回ります。『アルフレッド、皿洗い機の調子はどうだい』とかなんとか、いうんでしょう。『親指の先のように小さなマルコだと思っていたら、大きくなったマルコ』とかいいながら」——雨音に混じり、ポップコーンの爆ぜるような音、木造の柱がきしむ小さな音、雨樋から下水へ流れる雨水の水音が、ぱちぱちと響いている。像を結ばない曖昧な人の声や叫びが聞こえる。あたりは静かだった。「家へ帰ってくると、シチリアのマフィアはチーズケーキを食べながら、新聞の切り抜きをします。とりわけ情深い友情が存在していた記事に目を付けておいて、紙切りハサミで切り抜いていくんです」「ふむふむ」「これらをクリムゾンの牛革製の書類入れに保存してしまうと、夕方の五時です。かれらはシガリロの煙を吹かしたり、家具をつかって腹筋を鍛えたりしながら、一時間ほど、めいめい思い思いの自由時間を過ごします」——ぼくは日々、遠くシチリア島の何処かで行われているという、自分の人生と交錯するはずのない日課について想像していた。ヒロ兄はなんてラージな人だろう。引き替えに、何を取り引きしていたにせよ。「ここまで、カリカリに焼いたベーコンと溶かしたチョコレートをかけたアスパラガスとクルミとチーズケーキしか食べてませんね」「晩餐が豪勢です」と裾の短い芸術家が遮るようにいった。かれは一人で人形クッキーをほとんど食べてしまっていた。地下鉄の昇降口から、火口のように水蒸気が立ち上っている。「午後六時、男たちは身支度を調えます。胸ポケットから青い手拭いを垂らします。コッポラ帽子を目深に被ると、クリムゾンの書類入れのポケットに紙切りハサミを差し込み、これを小脇に抱えて家を出ます。青く塗られた樽が目印の集会所へ徒歩で向かいます。血なまぐさい職人的な作業と同性愛的な友情と本物のハチミツの夜がはじまります」]]></description>
		<wfw:commentRss>http://ghetto.jp/2010/04/16/ultimate-healing-22/feed/</wfw:commentRss>
		<slash:comments>0</slash:comments>
	<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://ghetto.jp/2010/04/16/ultimate-healing-22/" />
	</item>
	</channel>
</rss>
