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November 25, 2005

THE STEEL CASKET 8

 7ヶ月目、とても悲しい日があった。ニューヨークに到着して2日目で逮捕された泥棒が、上の階へ収監されたんだ。夜、同じ並びの囚人に呼ばれ、本を貸してやった。しばらくして、上からぼくの名前が聞こえた。次の朝、かれは、ぼくのところへ来た。

 本当にアイスバーグなら、パーティータイムを知っているか、と訊く。イエス、と答えた。黙りこんだあと、かれはときどき、ぼくの話をしていた、と言った。一緒にハッスルしてたガキが、アイスバーグていう有名なピンプになった、って。

 パーティーは刑務所で、美しい売人の女と知りあった。で、モノにした。女は、パーティーの刑期を代わりに引き受け、犯罪から足を洗い、カタギになるよう尽くした。

 ところが、パーティーは逆ギレして、彼女の腕をヘシ折ってしまった。2ヶ月後、ヘロインをコップした。じつは、このときの売人は、彼女の親友だった。ヘロインだと思って買ったモノには、電池のアシッドが混ぜてあった・・。これを聞いて、眠れなくなった。

 不安の中で、結論を下す時がきた。ぼくは、ピンピンと麻薬にまみれてきた。いままで、こんな場所からは出たいと、本気で望んだことがあっただろうか。刑務所に入っても、何も学んでこなかったんじゃないか。心のゲームを終わらせたとき、見えてきたものは、救いようのない人生のパターンだった。

 ママの状況と、残された刑期が、この考え方に強く影響していた。さらに、年齢と、失った時間。ピンピンなんて、若い男がやるクダラナイもんだって、やっと理解したんだ。

 ぼくは、人生の半分以上を、しょうもない、危険な職業に費やしてしまった。きちんと8年間、学校にいってれば、今ごろは医者か弁護士になってた。なのに、みてみろ、確かに抜け目ない(slick)男にはなったけど、全然、賢く(smart)ない。偽札みたいな栄光のなかで40年を過ごし、まともな職歴もなければ、未来もない。カタギの客なんかより、よっぽど大バカだ。あいつらは金を取られただけ。ぼくは、バーの向こう側にある、人生を台無しにするクラブに5回も参加してしまった。

 いいピンプは、プレッシャーを操る。だが、ある日、じぶんに跳ね返ってくる。そのとき、ピンプは犠牲者となる。ぼくは、ホーたちとの駆け引きや刑務所に、ウンザリしていた。

 9ヶ月目の終わりになっていた。オフィスに面談を申し入れた。釈放される日について、異議を唱えた。11ヶ月ということになってたから。

 ここにブチこまれる前に、州刑務所に30日間、拘留されてるんだ。このままだと、1年の刑期になる。法律は、ほとんど分からないけど。でも、面談では、ここに11ヶ月いろ、といわれた。だが、これ以上監禁されて、何もかもゲロッてしまうことすら、もう怖くなかった。頭蓋骨は、完全にコントロールできていた。

 ママは、カリフォルニアでいつ死んでもおかしくない。最期の時がくる前に、行ってあげなくちゃ。ママのことを愛してるって、母親として感謝してるって、きちんと伝えなくちゃ。もう、ホーなんかどうでもよかった。ママが大事だった。ぼく自身のためと同じくらい、ママのために出所したかった。

投稿者 Dada : November 25, 2005 06:00 PM