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November 17, 2005

THE STEEL CASKET 1

 シアトルにも飽きた。1958年。継父は死んでしまい、ママはカリフォルニアにひとりぼっち。手紙は、悲しみと孤独に満ちていた。ホーは、レイチェルとエロい女だけだった。

 麻薬を止めてから、体重は50ポンド増えた。200ポンド以上になった。時の流れは、ぼくの前髪を禿げさせた。あの脱獄のときのマグ写真とは比べものにならなかった。

 大麻は少しだけ吸った。コカインも、ときどき。一度だけ、コカインといっしょにヘロインもイッたかな。やっぱり、スピードボールはよかった。完全に断つのは、無理だよ。

 40才になるころ、ぼくはピンプとして遺跡だった。高価なスーツに身を包んだアザラシ。長い年月の中で、初めて健康的な食欲があった。ぼくは、スローダウンしていた。ほとんどの時間を、ベッドで本を読んで過ごした。ピンピン・キャリアの終わりもすぐそこ。

 シカゴへ帰ることにした。ぼくの巣。ダウンタウンの近くで、2人のホーを働かせた。客のほとんどは白人。すぐそばにあるいい感じのホテルに宿泊した。女たちは、同居させた。3ヶ月後、火事がおきた。おかげで、ぼくのピンピンは、すっかり変化した。いろいろあって、結局、脱獄囚として逮捕されることになるんだけど。

 ある日、散歩をしていた。アパートメントの窓が燃えだしたから、立ち止まって眺めていた。隣で、茶色い髪の老人も見ていた。この男、ハスラーだった。博打をやりながら、10州に渡ってハウスを経営してた。火事見物が終わると、ぼくらは一杯、飲みにいった。意気投合して。翌月なんか、毎日会ってた。かれのハウスを見せてもらうために、足を運ぶようになった。

 ピンプとして、ハウスで働くホーのことは軽蔑していた。マダムに50パーセントももってかれるから。優れたホーは、ストリートで客を引くべき、というのが信念なんだ。オハイオでハウスをやってたときすら、通りで客引きさせたよ。

 怠け者の、中途半端なホーが、ハウスで働くんだ。客を待ってるだけ。ぼくの友人、《デカいほうに賭けろ》は、ハウスはぼくにうってつけだ、と説得してきた。「服(wear)も苦労(tear)もいらなくなるぜ」というのがポイントだった。ハウスの中は安全だし、マダムは脱走に気を配ってる。女のコたちも、ピンプとの面倒な関係を気にしなくていい。

 でも、ピンプの儲けは、50パーセントになるんだ。でも、かれの話だと、ぼくくらいの年齢のピンプだと、ハウスの方が稼げるっていうんだ。したら、じぶんでもオープンして、手広くやって、100才まで生活できるって。ストリートの激しさの下では、老人になるまで生きるのはムリだと思ってた。

 2ヶ月後、2人のホーをハウスに預けた。毎週月曜日に、書留めでお金が届くようになった。かれの言ったとおり、ピンピンが簡単になった。50パーセントは間違いなく、もらえたし。

 1、2ヶ月ごとに、女たちは戻ってきた。それ以外の時間、ぼくは《デカいほうに賭けろ》と遊んでいた。ホント、仲良くなったよ。あの人のアドバイスを聞かずに、59年型のキャデラックを買ったときなんか、カンカンになって怒ってた。

 父親のように慕っていた。博打のサイコロの目と同じくらい、人の心がよくわかってる人だった。友情と知恵に支えられて、ヘロインにも手を出さずにすんだんだ。かれがいなくて、刑務所にいかなかったら、絶対、またヤッてたな。じっさい、何度もヤろうとしてたから。

投稿者 Dada : November 17, 2005 04:15 PM