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November 09, 2005
THE ICE PICK 7
部屋で、コカインを吸った。2時間後、睡眠薬を飲んだ。ぼくは、眠りに落ちた。
正午に目をさました。「移動しなくては」と思った。レイチェルの両親に、復讐される。キムも、初心者ピンプのところへ逃げるかもしれない。キム以外のホーは、地元のコだった。さっさと町を離れないと、ピンピンしにくくなる。
ホーの地元から遠いほど、タイトにピンピンできる。よく知らない環境におかれた女は、いつもより男にたよる。アドバイスや、道しるべが欲しいと考える。小さな町でコップした女ほど、早く移動させるべきなんだ。
夜のうちに、オハイオへ行った。引っ越しのセッティングをした。2軒の家を借り、家具を完璧に揃えた。家賃は100ドル。警察に賄賂を渡すラインを確保した。で、ファミリーを移動させた。タイミングとしては、ぎりぎり。1ヶ月後、デトロイトから撤退した。
新しい町には、いいドープのコネクションがあった。ぼくは、ヘロインとコカインをカクテルしはじめた。いわゆる、スピードボール。キメて眠ると、ぐっすり。悪夢もみない。うん、ヘロイン中毒。でも、心配してなかった。大金、稼いでたし。
30才になっていた。ピンピン・キャリアの中で、2度目の成功といってよかった。まあまあ収入があったし、未来にも希望があった。まさか、象みたいなビッチ、セリーナが嫉妬するなんて。あいつが、ぶち壊すなんて。ぼくは、あとちょっとで殺人罪になるところさ。あの女が巨乳じゃなかったら、殺してた。
ハウスを開店してから1年、合衆国じゅうから客が来ていた。うちの若くて美味しいホーを味見しに。ここまでピンピンしたこと、なかったくらい。
ある日、ぼくは、いい感じのイキフンで、太陽の下を歩いていた。すると、セリーナが、むこうから来た。こいつ、ニューオリンズで2人、殺してるんだけど。ニコニコ笑ってる。いきなり、アイス・ピックをとりだし、ぼくの胸を突いた。一瞬、後ろにリープ。凶器は、空気を切り裂いた。どう考えても、正確に心臓を狙ってた。
このとき、ピストルをもってなかった。ハードウェア・ストアなら、どこでも買えた。さっそく、32口径と銃弾を50発、買った。家の台所で、セリーナにむけ、威嚇した。
「ダディ、なにすんの?」
「刺そうとしたビッチは、殺すから」
「ダディ、オカシクなってた、忘れて」
「忘れない。刺してくる奴は、ママだろうと殺す」
ある夜、女たちとキャバレーから帰ってきた。ドアに鍵をさし、開けると、〈タビュ〉のムッとする香り。セリーナだ。ためらいつつ、中へ入ると、目ん玉が飛びでた。リビングの片隅に、セリーナが、アイス・ピックを握りしめて立っていた。地下室の窓からレイチェルの家へ侵入したんだ。ぼくは、銃をかまえた。
「セリーナ!!」
「マザファカ、ホーもいっしょに殺してやる」
「こっちへ来たら、撃つ、マジ」
「やってみな」
あっさりと、こっちへ来た。撃った。このとき、彼女の命を守るものは、実際問題、46インチの巨乳だけ。致命的な距離からのダメージを、このオッパイが吸収した。
血しぶきが飛び散った。動脈に命中したんだ。ぼくの顔は血まみれ。彼女は全身。ジャノメチョウみたいに。燃えてるようだった。でも、象のようにタフなビッチは、生きていた。ぼくを掴んだ。アイス・ピックは、もう握っていない。
「ダディ、殺さないで!」
殺すつもりだった。頭を撃ち抜いて終わらせようとした。でも、やめた。理由は、4人のホーが目撃していたから、としか考えられない。セリーナは、ドアから通りへ這いでた。ぼくらは、全員でフリートウッドに乗り、何もかも捨てて町から逃げるしかなかった。
ママのもとへ急いだ。クリスマスから会ってない。髪の毛は真っ白だった。神様! 彼女は喜んでくれた。ぼくは何が起きたのかを説明した。ママは、友だちといっしょに町へ行ってくれた。服を全部、とってきてくれた。病院のセリーナを見舞ってくれた。
セリーナは、ぼくに帰ってくるよう、伝えた。警察に訴えないからと。じぶんの嫉妬のせいだと。でも、戻ったら、またナイフを振り回すことを、ぼくは知っていた。
- つづく -
投稿者 Dada : November 9, 2005 02:00 PM