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November 15, 2005

STABLE MOVES 5

 しばらく、彼女を見下ろしていた。リーヴェンワース刑務所でのタフな日々。忘れてない。ここにいやがったか、フィリス。まさかの光景を目にして、発狂しはじめた。

 ドレッサーから、コロンの瓶をとり、キャップをはずした。ネタの入った袋をとりだし、純度20パーセントのヘロインを入れた。ジャンキーでも死ぬ量だ。彼女は、やったことないはず。

 床に、水の入ったボトルがあった。この水をキャップに注ぐと、マッチを擦った。その火で炙りながら、注射器で吸いとった。これで、復讐してやる。

 彼女のひざの裏の静脈に、注射器の針を刺した。血液が逆流してきた。あとはバルブを押しこむだけ。窓を見た。さっきのジョーカーが、通りを駆け足で横切るのが目に入った。トランクを抱えて、ホテルの玄関へむかっている。

 動きを止め、針をぬいた。しょうがないから、注射器の中身を靴の下にだした。ネタが入った袋を、ショーツの内側にピンで留めた。リビングルームのソファにぐったりと座りこんだとき、男が戻ってきた。なんだか、地獄のように汗をかいてしまった。それを見て、男は疑わしい目をした。目の片隅で、女も見ている。

 奴がいないあいだに、女とヤッてたと思ったんだろう。こいつら、どれくらい付き合ってるんだ、と考えていた。この男も、悪党だから。彼女の素性を理解したら、別れるだろう。遅かれ、早かれ、だれかが教えるな。で、チビのビッチのせいで、アイスバーグが刑務所にぶち込まれたことを知るはず。とりあえず、買い物をした。隙をみて、男はベッドルームにすべりこみ、フィリスがヤられてないか、確かめてた。

 さて、1ダースばかりいろいろ買って、おいとました。これからカリフォルニアで着ることになる服。男には、今後の予定を聞いておいた。何週間か、クリーヴランドにいると言っていた。じゃあ、ぼくはこの街を離れなくては。いま、すぐに。

 フィリスは、ぼくがいるという情報をすぐにゲットするはず。したら、警察に電話するためのコインを公衆電話に投入するのを、ためらわないはず。脱獄のことも知ってるな。車を飛ばした。あの女、へべれけになってるとき、ぼくとふたりきりだった、なんて聞かされたら、どんな顔をするだろう。

 夜、ロスアンジェルスへ飛んだ。ボトムのレイチェルがホーとお金を完璧に管理してくれてたのは、ファビュラスだった。見事に騙されてる彼女とぼくは、運命共同体。キャデラックにステイブルを乗せ、あとから追いつくことになっていた。

投稿者 Dada : November 15, 2005 06:00 PM