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October 22, 2005

TRYING A NEW GAME 3

 彼女は、早足で駐車場に入ってきた。ライトブルーのシフォンのドレスが、四月の風になびいた。2ドルぽっきりの娼館で一晩じゅう働いていたホーみたいに、大股で歩いてくる。

 ぼくの足は、ビッチの前で怖じ気づいた犬のように、がたがたと震えていた。手のひらに握った財布に留めてあるバッジを見る。月明かりの下で、溶解した銀のように輝いている。汗ばんだ右手に32口径の拳銃。ずっしりと重く感じた。

 彼女は、キーホルダーをひらひらさせている。完全なる静寂の中で、チリンチリンと将軍の手錠みたいにひびいた。やがて、ドアに手をかけた。ぼくは、暗がりから踏みだした。《レッド・アイ》が後ろにいる。この女に、心臓の鼓動が聞こえないかしら。かれは、彼女の顔にライトを照らした。驚きとともに、黄色いひたいが閃いた。セクシーな口がひらく。ぼくは、彼女の手首を捕まえ、こちらに引き寄せようとした。

「警察だ、名前を言え、なぜ、こんなところをうろうろしてる?」

「グロリア・ジョーンズ、じぶんの車に乗るところ。いつも、ここに停めてるの。ちょっと、どいてよ。家に帰るんだから。この辺りを仕切ってるのは、あたしの夫の親密な知り合いなのよ」

《レッド・アイ》はライトを消し、彼女の後ろに回りこんだ。彼女はバッジを見ながら、手を振りほどこうとしている。

 ぼくは、低く重たい声で言った、「嘘つくな、麻薬の売人のビッチ、本当の呼び名はメイヴィス・シムズだろう。ダウンタウンから来たんだ。おまえの夫の友だちなんか、知らねえよ。逮捕させてもらうぜ、ビッチ。クロだと確信してるんだ。手荒な真似をされたくなかったら、ついてこい。うんこ臭いヘロインの売人が、いちばん嫌いなんだ」

 彼女を後部座席に押しこんだ。《レッド・アイ》が隣に座った。ぼくは、助手席に座って、後ろを監視した。ペリーが静かにアクセルを踏み、中央警察署へ走りはじめた。シムズ夫人はもがいていた。右手を後ろにまわして、もぞもぞしている。太ももに銃を隠しているんだった。

「アル、この女、挙動不審だぜ。取り調べろ。証拠を座席に隠してるのかもしれない」

《レッド・アイ》が、彼女を引っぱった。体を寄せると、彼女は反対側の窓を開けた。

「おまわりさん、あたしは無実よ。それぞれに50ドル払うわ。解放して。逮捕したって、1時間後には釈放よ。バーへ戻って。オーナーにいえば、150ドルでも払えるから」

「ダメだね、おねーさん。あんたを連行する命令が出てる。すまないが、女性を殴るようなことはしたくないんだ。そいつが身体検査をするから。ダウンタウンの署まで行く手間がはぶけるしさ。あんたが武装している可能性があるから、違法捜査にはならない」

 かれは、彼女の太ももの内側へ手をのばした。たしかに、ストッキングの上に22口径の自動拳銃があった。かれは、それを取りあげ、ポケットにしまった。胸の谷間、財布、靴、髪の毛の中を調べたが、銃の他には何もでてこなかった。

 ぼくは、かなり情けない気分になってきた。いったい何をしてるんだろう。《レッド・アイ》は、あごを引っ掻いている。この麻薬中毒者は、汚い指を彼女にはわせている。

 もう、解放したほうがいいと思えてきた。だが、ひらめいた。ストリートのホーは、どこに金を隠すだろう。そう、アソコだ。アソコだ! 他にどこがある? 駐車場で大股で歩いていたのが何よりの証拠だ。彼女は、体をかがめて、ペリーのまぬけ顔をのぞきこんでいる。

「おい、こいつのアソコを調べてみろよ。ビッチ、股をひらけ、こいつの膝に足を乗せるんだ」

「絶対、やんないわよ。あんたら、偽物のニガ警官ね。運転席の大っきなおにーさん、マリオの店でバウンスしてた奴だわ!」

投稿者 Dada : October 22, 2005 06:00 PM