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October 28, 2005

JAILBREAK 4

 小屋の中へ飛び込む瞬間、壁の方向を見た。看守がこちらを見て突っ立っている。ドアを閉めた。見られただろうか。まわりを見まわした。隠れられるものはない。シャワールームから、囚人の声が聞こえてきた。夕食の準備ができたようだった。

 鉄製のドアは半分、開いていた。いつ看守が入ってきてもおかしくなかった。とにかく、隠れる場所がない。何にもない。ドアのほうから、声と足音がした。誰かが小屋に入ってくるんだ! 思わず、天井を見た。そして、ドアの上を見た。

 うす汚れた窓と同じくらいの高さに、1フィートほどの錆びついたバーがならんでいた。ジャンプして、ふたつのバーをつかんだ。足をスウィングして振りあげた瞬間、看守がドアに鍵をかけるために入ってきた。こいつの青いユニフォーム帽子の頭上、6インチのところに、ジャックナイフみたく折り畳んだぼくの足が浮かんでいた。蝙蝠みたいに宙吊りになっていた。息を止めた。下を通りすぎていく。バーから錆が剥がれて帽子に落ちていくのが見えた。腕と足が、かなりキツかった。

 やがて、ドアが閉まる衝撃音が聞こえた。ようやく呼吸ができる。また戻ってくるかもしれないから、しばらくぶらさがってから、麻痺していた足を降ろし、バーから手をはなした。石のステップに腰かけて、一息ついた。小屋は、まるで墓のように静かだった。心臓がスタッカートするのが聞こえる程だった。

 だが、まだ終わってない。「問題なし」のホイッスルが吹かれなくては。これが聞こえないと、奴らは武装して、ぼくを探しにくる可能性がある。ドアの隙間から外をのぞいてみた。耳を押し当ててみた。運動場には人っ子ひとりいない。遠くから、食堂のプレートをガチャガチャする音だけが聞こえた。だが、やがて完全なる静寂が訪れた。たぶん、囚人の数をカウントしているんだ。

「キッドが上手くやってくれたとしても、今夜に限ってカウント担当の看守がダミー人形を立ち上がらせようと突くかもしれない。糞、ホイッスルがならねー。もう、じゅうぶん経っただろ。あの冷血な糞野郎ども、すでに追跡を開始してるかも。ぼくはあいつらにストンプされてカタワになっちまうのか?」

投稿者 Dada : October 28, 2005 06:00 PM