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October 27, 2005

JAILBREAK 3

 一晩中、眠れなかった。真夜中に、人数を数えてまわる看守を見た。こいつが責任を問われることになるだろう。もし、失敗したら、ぼくは、運動場で射殺されるな。なんとしても逃げきらなくては。囚人の中でいちばん脱獄したいのは、やっぱりピンプなんだ。もう、贅沢が身に染みちゃってるから。

 次の日、炭坑にタバコのケースをもってった。代わりに、配達をやってる奴からシャツとパンツを受け取った。ぼくは、いま着ている服の上に着た。その夜、監房でダミー人形を作った。キッドのベッドの下に隠し、真夜中まで奴のテンションをあげるようなことを言い続けた。外へ出ても連絡をとって、オマエが出てきたらピンプになれるよう、教育してやるよ、とすら言ってやった。

 炭坑での最後の一日は、永遠に終わらないような気がした。もし、いきなり監舎の検査とかが行われたら、オシャカになるから。だが、ついに行進する時刻になった。喉が渇き、ひざがふらふらした。そして、例の小屋の前まで来た。壁の看守は20歩くらい向こうに歩くと、やがて引き返して、こちらを向いて戻ってくるはず。

 向こうへ歩いていった隙を狙って、小屋に走り出すんだ。戻ってくるときには、小屋に到着していなくてはいけない。あいつに撃たれなかったとしても、運動場の看守どもがやって来て、ボッコボコにされる。しかも、炭坑の警備員が先頭にいた。こいつは、いつでも振り返ってチェックできる。このときほど、タイトに一瞬を狙わなくちゃいけないときは、なかった、マジで。行進の列にスパイがいる可能性もあったしさ。本当にそういうこともあり得るから。生まれつき心臓に欠陥があったら、あのとき死んでたと思う。いや、マジな話。

 さて、壁の看守が歩いていった。小屋は数マイルも離れているような気がした。ぼくは、行進の列からぬけ出し、ダッシュしはじめた。背中にエキサイトした他の囚人の囁き。小屋のドア・ノブに手がとどいた。一瞬、たじろいだ。鍵がかかってたら、終わりだから。汗べとべとの手で引いてみた。開いていたッ!

投稿者 Dada : October 27, 2005 06:00 PM