« JAILBREAK 1 | メイン | JAILBREAK 3 »

October 26, 2005

JAILBREAK 2

 あるとき、何かの配給を取りにいった。ちょうど夕食のまえだった。着替えとシャワーのための小屋を通りかかった。ドアが開いていた。のぞいてみた。奥のほうで、ひとりの看守が、裏口の木製のドアに鍵をかけている。

 ぼくは、靴ひもを結ぶふりをして立ち止まった。かれは、2、3段上がると、シャワー室の鉄製のドアを閉めた。そのあと、食堂へ行かせるため囚人たちを整列させはじめた。

 この小屋のことは前から知っていた。行進の列から30フィートくらいの距離にあった。ドアはいつも閉まっていた。いつも鍵がかかっているものだと思っていた。壁にライフルをもった看守がいたから、チェックしようがなかったんだ。

 その夜、ぼくはクリスマスの糞ガキみたいにはしゃいだ。

「たぶん、シャワーを浴びた看守は、たまにドアに鍵をかけるのを忘れるんじゃないの。翌日、あわてて鍵をかけるなんて日もありそうだ。小屋の中がどうなってんのか、よくわかんないけど。どうせ、古着とかがあって、隠れやすくなってるんだよ。よーし、脱獄するよ。もう、こんなところにいられるか。同じ部屋のキッドがダミーを置いてくれるといいんだが。チャンスはある。話してみよう。あいつが手伝ってくれたら、幻みたいに消えることができるぜ?」

 ベッドの枠ごしに下の少年を見た。こいつのガール・フレンドのために、何通かエロい手紙を書いてあげたことがあった。おかげで、彼女との文通はもりあがり、キャンディとかタバコとか金が送られてきた。なかなかいい奴だった。見どころがあった。

「ショーティ、俺が脱獄するつったらどうする?」

「アイスバーグ先輩、マジっすか。ムリっすよ。ストリートとここのあいだには、5つの鉄製の門があるんス。どうするンすか」

「キッド、おまえが手伝ってくれりゃ、できるんだよ。こんな感じ」

 説明してやった。最初は、不安そうなイキフンだったが、とにかくベッドの下にダミーを隠しとけ、と言った。で、ぼくのベッドに置けって。笛が吹かれたら、シャツとパンツを着せて、毛布をかけろって。あとは夜とかに、適当に外に捨てとけって。

 真夜中にすべてが行われれば、かれが疑われることはない。だれもこいつがダミーを処分しただなんて、思わないだろう。ぼくは、かれに親戚の住所とかを教えてくれ、と言った。またピンピンしはじめたら、その人に速攻、100ドル送るからって。

 こうして、キッドと約束を取りつけた。1時間後、囚人のおっさんにタバコを2箱わたし、エクストラの毛布をもらった。シャツとパンツを脱ぎ、ためしにダミー作りをやってみた。キッドはドアの側に立ち、鏡をみて通路をチェックしていた。20分後、ポジションを確認し終えた。

投稿者 Dada : October 26, 2005 06:00 PM