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October 25, 2005

JAILBREAK 1

 拘留所に交渉人がやってきた。強盗容疑で懲役5〜10年になるのを、避けることができるという。ぼくたちは金を払い、労働だけですむよう取り計らってもらった。

 ワークハウスでの1年間の労働ということで、話がついた。まあ、刑務所と同じだよ。仕事はキツかった。汚職と不正だらけでラフな日常だった。金をもってる囚人だけが、人間らしく扱ってもらえた。壁は高かった。ほとんどの奴らは、30日か90日の短期労働の判決だった。

 まったく、不潔でしょうがなかった。食事ときたら最悪だった。ピンプは石炭を掘る係にされるという、ふざけた習慣があって。ぼくもやらされたよ。マジで、壁をよじのぼろうと考えていた。30フィートくらいなら、撃たれる前にイケるから。ホント、自暴自棄になっていたな。

 最初の1週間で、なんとかショックからは抜けだせたけど。それから、脱獄について冷静に考えるようになっていった。もうこれ以上、服役している自分をイメージできなくなっていた。出所してからすぐに逮捕されてたし。2週間目の中ごろには、1ダース以上のアイディアがでていた。けど、イマイチ確信がもてなかった。

 ぼくは、若い囚人と小さな部屋をシェアしていた。たったの18才の男。ぼくをアイドルみたいに思ってて。ストリートで噂を聞いていたらしい。おかげで、2段ベッドの上で寝ていたよ。一日に3回、点呼があったんだけど。朝、夜、そして、深夜。

 ある夜の点呼のとき、ぼくはドアの前に立つのを忘れてしまった。石炭を運ぶ重労働をやらされてたから、ベッドに倒れこんでいたのね。1時間後にようやく目がさめた。そのとき、アイディアが浮かんだ。ぼくは、頭蓋骨の中でキックし続けた。すべてのいいアイディアと同じように、それは心の中で成長し、叫び声をあげるようになった。

 ぼくは思った、「じっさいの話、点呼のとき、看守の奴らは、どれだけ俺たちを確認しているんだ?」、3回くらい試してみた。無視してベッドで寝ていたんだ。だが、毎回、見落としていた。3回目は気付いたけど、背中と尻しかチェックしてなかった。

 ぼくは興奮した。エクストラのパンツとシャツを置いとけばいいことになる。ダミーを用意するのは簡単だった。最初の問題は、石炭掘りの列から、どうやってバックレるかだった。

 2つ目の問題は、昼間のうちにダミーを置いておくことはできないということだった。同じ監舎の囚人とか看守に見つかるから。ぼくは、まず外での問題から片づけることにした。

 一日の終わりに、看守は点呼のために、石炭掘りの囚人を1列に並ばせる。そのあと、200ヤードくらい行進して食堂までいき、夕食をとるのだった。食べたら、また1列になって監舎へ戻ることになっていた。

 監舎はいくつかあった。すべての監舎で点呼をとり、事務所に電話を入れる。全体の囚人の数と一致したら終了で、大きな笛が吹かれ、早番の看守たちは家に帰れる。

 石炭の採掘場と食堂のあいだには、隠れる場所がなかった。行進の列と平行してそびえ立っている壁には、高性能のスコープがついたライフルをもった看守。ぼくは、希望を失った。でも、入所してから28日目、あることに気がついた。

投稿者 Dada : October 25, 2005 06:00 PM