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October 10, 2005

IN A SEWER 3

 システムは単純で、しばらくのあいだ、効果的に作用した。クリスとぼくは廊下にでて、壁の電話のところへ行く。彼女がステイブルの部屋に電話する。だいたい、朝の3時か4時だった。

 女たちのひとりが電話にでる。クリスが、長距離電話のオペレーターのふりをした。彼女がそういう才能をもっていることは、偶然とはいえラッキーだった。女たちは気付かなかった。クリスとぼくは、ニューヨークやボストン、フィラデルフィアからの電話だと信じ込ませていた。

 電話にでると、ひとりひとりに話しかけた。四つのベッドルームすべてに回線を引いてあったから。一回の電話で全員と話し、ゲームをタイトにすることができた。

 たしか、最初の電話はニューヨークからということにした。全員が受話器を取るのに、1分ほどかかったと思う。

「えっと、ガールズ、ダディのことが恋しいのは知ってるよ。みんなこう思ってるんだね、ダディはいつ、この街に帰ってきてくれるのかしら? 神様! たまには自分の男と会いたいホーたちのことを、あの人は忘れてしまったの? いや、あたしたちは試されてるのよ。ストリートでとにかくハンプしなくちゃ。クリスにお金を渡して、かれにチェックしてもらうのよ。もう、ホーを無視することが、そんなに楽しいのかしら? なんてな。ガールズ、ダディは必ず戻ってくるよ。当たり前さ。100万ドルの秘密を教えてあげよう。口にボタンをかけてくれ」

 クリスがすかさず割り込んだ、

「3分経ちました、このまま話し続けるなら、プッシュしてください」

 ぼくはつづけた、

「チミたちは、世界でいちばん幸運なホーだ。ダディは、白人の彫金師と知り合ったんだ。かれは政府のために働いていた。じつは、仕上げたばかりのプレートを入手したんだ。そして、誰も見たことのない美しい100ドル札を300枚、偽造した。完璧だよ。政府でも見分けはつかない。
 いま、ある問題が発生してるけど、1年も経てば解決するよ。したら、政府のしらないところで紙幣を印刷する。その白人の友だちは、紙の作り方も知ってるから。クールにやる。旅をして、インクその他、必要なものも必ず手に入れるつもりさ。いくつかは入手困難だろうが、100万ドルのためなら、あきらめるわけないだろ? 紙ができ次第、数百万ドルくらいプリントします。
 そして、世界でただひとりの100万ドルの金持ちピンプになって、街へ凱旋するつもり。チミたちのために、ハワイにビーチとマンションを購入しよう。お金がなくなったら、また刷ればいいだけだから、心配しないで。
 だから、おとなしく留守番してね。そして、お金を稼いでね。そうだ、クリスは1時間ほど前にタクシーで空港へ向かったから、たぶん2、3時間でそっちへ帰る。彼女に、例の紙幣のサンプルを渡しておいたから、それぞれ好きに使ってくれ。どこで使ってもいい。銀行に預けてもいい。ダディを信じろ、完璧だよ」

 電話を切った。このストーリーで、全員を興奮させることに成功した。さよならのコーラスから、それを感じ取った。クリスに、白人の天才がシリアルナンバーを変える技術も開発した、と付け加えるよう言っておいた。刑事から追われないようになったら、この話をどう終わらせるのか、ぼくにはわかっていた。

 一生、ひっぱりつづけることもできる。天才が他の容疑で逮捕された、とか。あいつが出所するまで待たないとだから、とか。工場がどこにあるか、あいつだけが知ってるから、あいつが服役中に殺されてしまったから・・。

 翌日、クリスが電話してきた。ホーどもは浮き足だっていたらしい。一晩中、偽札の話でもちきりだったらしい。ぼくは、ずっとステイブルを抱えていられそうだった。天才だと思った。

 それから、ホーどもに電話するたびに、ぼくと白人の天才は偽札造りの重要なアイテムを入手していった。もうそれほど時間はかからないと言ってやった。《スウィート》が、ぼくは金持ちのカタギのビッチから大金をせしめて西海岸にいる、という噂をストリートに広めてくれた。

投稿者 Dada : October 10, 2005 06:00 PM