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October 19, 2005

AWAY FROM THE TRACK 5

 ぼくは、2度目のときと同じくらい、たくさん本を読んだ。精神医学、心理学、精神神経学・・・難しいのを読んだ。のちに、鉄の棺桶に閉じこめられて1年くらい白人たちに踏みつけられたとき、自分自身をカウンセリングするのに役立った。

 ついに、出所することになった。1947年の早春。ママのところに1週間くらいお世話になったあと、再び街へ戻った。

 60ドルと、刑務所でもらった服しかなかった。保釈中に買ったスーツはクリスにもっていかれた。たぶん、ポーターのダンナはぼくと同じサイズだったんだろう。スーツがないからって、《ディック・トレイシー》みたいな恰好はしなかった。

《スウィート》は、まだペントハウスに住んでいた。ホーは3人になっていた。《ポイズン》は、ベタな過ちを犯していた。カタギの白人女をホーにして、尻を蹴りまくっていたんだ。ダウンタウンのお偉方も、いい加減ブチ切れた。警察をクビになり、ホーはひとりになった。この女からだけ金をせびる、ダメピンプになった。

 ぼくは、1週間ごとに契約を更新するアパートを借りた。ビルの管理人にチクられ、そいつに金と服を全部パクられた部屋と同じスラムの区画だった。ぼくにはフラッシュもグラマーもなかった。ピンプとして全然イケてなかった。運に見放された負け犬ピンプ、それだけだった。ホーが欲しくて、欲しくて、しょうがなかった。

 ピンプの人生では、過去は何の価値もない。今日、何をしているのかがすべてだ。ピンプの名声なんて、たいまつの下の氷みたいにあっというまに溶けて失くなる。若くて美しいホーは、いま、輝いているピンプが好きなんだ。カッコつかないピンプなんて、相手にしてもらえない。ピンプのクローゼットは、スペクタクルでなきゃいけない。車は高級で、テカテカでなきゃいけない。ふたたびピンピンするために、ぼくは、そんなカマシ・アイテムを手に入れなくてはならなかった。

- つづく -

投稿者 Dada : October 19, 2005 06:00 PM