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October 17, 2005

AWAY FROM THE TRACK 3

 囚人たちのクリックがたくさんあった。もっとも危険なクリックは、南部の囚人たちだった。とにかく黒人が嫌いなんだ!

 ぼくは、他の刑務所から来た囚人の情報も知っていた。ピンプ、麻薬の売人、強盗なんかが集まる場所によく顔をだしていた。

 夜の10時くらいまで、囚人たちのための新聞や雑誌なんかを、交換してまわるのが仕事だった。いつのまにか、6ヶ月がすぎていた。あるとき、ピンプの友人がいる監房のまえに立ち止まると、かれは鉄格子をつかんで興奮していた。《トップ》が黄色くなった感じの男だった。みんなは《ドール・ベイビー》と呼んでいた。

「バーグ、おまえ、あのかわいいビッチ、俺にはムリだって言っただろ。ところが、今朝、あいつが俺に話しかけてきたぜ? 靴の売り場にいるんだってよ。もうセックルする場所も見つけてある。
 だからいったろ、あの子と付きあってるお尻の四角いペッカーウッド野郎なんか、相手にならないんだよ。あのビッチ、400ドルはもってる。今週の配給で俺にいろいろ買ってくれるとさ。ストリートにいようが、ムショにいようが、《ドール・ベイビー》は同じようにピンピンしてますよ」

 このビッチは、ぼくも見たことがあった。かれは、ひょろ長い白人の少年。うるんだ青い瞳とブリーチされた絹のような髪。デブの赤ら顔の南部出身の奴が完全にホレていて、ときどき運動場でこの少年を抱きながら、ニキビをつんつんしていた。この男、みんなに怖れられていた。危ない南部の囚人たちのリーダーだったから。

「ドール、やめとけよ。あの彼氏、ミシシッピ出身だぜ。おまえ、運動場で心臓をえぐられるよ。悪いこといわないから、あと1年くらいで出所だろ」

 次に運動場で《ドール》とビッチをみたとき、かれらはお金をやりとりしながらクークー笑いあっていた。ドッジボールとかまったく見てないんだ。ゲームが終わると、デブの南部野郎と取り巻きが《ドール》のいちゃいちゃを邪悪な目でチェックしはじめた。そのとき、ぼくは50ヤード離れたところにいた。

 何百人もの囚人たちが洗濯場から行進してきて、運動場で遊ぼうとしていた。急に《ドール》が大きく手を広げ、叫び声をあげたと思ったら、消えた。灰色の影が動いた。見ると、3人の看守がかれを取り囲んでいる。うつ伏せに倒れ、口から血を吐いていた。ジャケットには、ぱっくりと赤い穴が空いていた。

 聞くところによると、奴は一命をとりとめたが、長いこと昏睡状態だったみたい。残りの刑期をビッチなしで過ごしたそうな。

 ぼくはといえば、クリスからの送金も連絡も途絶えていた。寝台列車のポーターと結婚したという噂をきいた。赤ちゃんもいるらしい。旦那になった男、あいつがどれだけのボス・ビッチだったか、絶対知らないんだろうな、と思った。

投稿者 Dada : October 17, 2005 06:00 PM