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September 16, 2005

TO LOSE A WHORE 4

 ぼくは思っていた、「今夜は、この部屋に張り付いていたほうがいい。鞭でビッチをしばくのは、尻の穴に靴を突っ込むのとはわけがちがう。いやはや! あんなので尻をしばかれたら、ぼくだってその野郎を殺したくなるな。《スウィート》は正しかった。ビッチのやつ、ばっちりベッドから飛び起きたからな。この鞭、奴隷時代のピンプたちが発明したんだろうか。

 イヤ、ちがうな。《スウィート》が発明したんだ。さて、チビを待つとするか。あいつがそっと戻ってきて、服を盗んで逃げようとしたら、殺そう。しかし、クリスはなんで電話してこないんだ? 手の早いピンプが、すでに彼女を奪い去ったのかも。あるいは、リロイが怒って彼女を殺したのかも。
 あと、もしぼくがチビを失ったとして、《スウィート》がくれるホーはどんな女だろう? きっと最高の気分だろうな。本当にもらえるのか、分からないけど。《スウィート》が約束を守らず、ホーのいないぼくをストリートへ放り出しやがったらビッチだ。ああ、ハイになりたくなってきた。ギャングスターでちょっくら飛行しようかな。コカインをキメると、欲望が鋭くなるだけだから」

 ぼくは、シャワーを浴びた。バスタブから出ると、壁のラックからタオルをとった。ラックのそばに、赤い斑点がついていた。タオルで拭き取った。そして、ジャイアント・ボンバーを巻いた。汚れた枕の上に、新しいカバーを置いた。

 そして、ベッドにもたれた。根元までリーファーを吸いきった。ストリートを通過するタイヤの囁きのなかで、深い眠りに落ちた。

 目が覚めた。中途半端な感じでベッドにもたれていた。外は明るい。チビは帰ってきていない。ワイヤー・ハンガーのせいで、ひとりぼっちになったのか? 煙草に火を点けた。午前7時。《口づけ》の銅像を見ながら、ぼくは横になった。

「チビのおっぱいも、こんな感じだったな。ったく、エロい女だった。どっかのピンプがあいつを叩き直せば、いいホーになるだろう。あの小さなビッチ、ぼくのことを考えてるだろうか。あの女、絶対にぼくを忘れられないはず。
 糞、余計な心配してる場合じゃないや。昼まで待ってみよう。その上で、《スウィート》のお楽しみ袋を開ければいいんだ。いま思えば、おかまのメロディにはちょっと厳しくしすぎたかも。マジメに働くこと以外だったら、何でも試してみよう。まさか、ぼくが男とセックスするなんて、誰も想像できないだろう。
 ああ、クリスから電話こないかな。『あなたの部屋へ向かってます!』なんて言われたら、スリルだな。あの子をつなぎ止めるためなら、靴の錨以外は何でも食べるぞ。お腹が減ったわい。トラブルのおかげで、あたまと胃袋がおかしくなっちゃかなわない」

 サイラスに電話した。フライとソーセージを注文した。起きて、歯を磨いた。《トップ》が街へ帰ってきたら連絡を取ること、と頭蓋骨にノートした。あの人なら、誰がリロイのブッキングをしているのか、知っているだろう。そこからクリスを辿ればいい。プレストンの拳銃をもらって、リロイを脅そう。

 ぼくは、《ムード・インディゴ》をかけながら、チビのことを考えはじめた。窓辺で泣いているママを置き去りにして、飛びだした日のことを思いだした。

 角のフォードで待っているチビのところへダッシュしたなー。あのとき、彼女は金のなる木だと本気で思っていた。このタフなピンプ・ゲームの世界では、狸の皮算用は無意味だ。ホーをがっちり抱えていることは、水銀を手でつかむことにも等しい。

「可哀想なママ、電話も何もしてない。全てが上手くいったら、ママに電話しよう」

- つづく -

投稿者 Dada : September 16, 2005 06:30 PM