« TO LOSE A WHORE 2 | メイン | TO LOSE A WHORE 4 »
September 15, 2005
TO LOSE A WHORE 3
蛇口をひねると、あたまの上のノズルから水が溢れでた。彼女は叫び声をあげた。バイパスをいじってシャワーからバスタブへ切り替えた。お湯が溜まりはじめた。その中へ消毒用のアルコールを1瓶、ぶちまけた。
ぼくは、ポケットから小さな錠剤のボトルを取り出した。二錠を手のひらに置いた。洗面台のグラスを手にとり、錠剤を彼女に渡した。飲み込んでいる。次に渡したグラスの水で、飲み干してしまった。
「フィリス、なんで優しいダディに意地悪をするんだい? あなたががんがってくれないと、ダディは小さな可愛いビッチをひとり殺さなくてはいけなくなる。才能をいかして、スターになろうよ。
ビッチ、しばらく湯船に浸かってな。そのあと、ストリートへ行くんだ。本当の意味でのお金をダディのところへもってきて。ここらのブロックにこだわる必要はない。きちんとした額のお金を稼ぐまで、歩き回るんだよ。逮捕されそうになっても、助けてやるから。警察だって電話くらいさせてくれる。外出してるときも、1時間ごとにフロントへ電話を入れるよ。ビッチ、大丈夫だ、きみならスターになれる。ダディを愛してるんだろ、だったら、愛してる男にリアルなお金を握らせようよ」
こう言い終わると、ベッドへいって座った。シーツは、まるで血まみれのシマウマが横になって、模様が写ってしまったみたいだった。お風呂からパシャパシャとやる音が聞こえてきた。さっき叩き割ったレコードの曲を歌っている。《スウィート》の錠剤がきいて、痛みがひいてるんだろう。
ホーなんて、おかしなもんだよな。髪をといて、化粧をしてるときは嘘みたいに大人しいんだから。赤いニットのスーツに着替えている。ぼくの前に立った。手を差し出してきた。ストッキングに黒いシミができていた。目をキラキラさせながら、
「ダディ、1セントももってないの。何ドルか、ちょうだい。心配しないで。ばっちり稼いで帰ってくるわ」
立ち上がり、5ドルを渡してやった。ドアまで見送った。きっぱりとこちらを見ている。ぼくは顔を寄せ、彼女の下唇を吸った。そのあと、つよく噛んだ。彼女はぼくの腕を掴みながら、ぼくの頬に歯をたてた。そして、廊下へ出て行った。
ドアを閉めると、窓辺へいった。頬から血が出てないか触ってみた。彼女は通りを横切り、コーナーへ向かっている。早歩きだった。ムチと錠剤のおかげで動きがよくなった。子供みたいなもんだ。小さくて、セクシーで、赤いスーツがばっちりキマッてる。帰ってくるだろうか? あいつ、このまま消えるかも。午後7時だった。
投稿者 Dada : September 15, 2005 06:50 PM