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September 14, 2005

TO LOSE A WHORE 2

 ガウンが、腰までめくれあがった。背中をあらわにして、ビッチはベッドの反対側へころがり逃げた。ぼくはベッドのまわりを移動して追いかけた。ビッチはベッドのまん中で丸くなった。仰向けになり、両足を折り曲げて抱えこんだ。

 眼球が発光していた。ヒュッという音をたてて、ぼくは鞭を振り下ろした。ビッチの骨に突き刺さる。新年おめでとうの挨拶みたいな叫び声があがった、

「うぅー、イェー! うぅー、イェー!」

 びくんと体をまっすぐにし、にぎりこぶしをこめかみにやった。下唇を噛みしめている。再び空気を切り裂く音。ダムダム弾が尻に炸裂したみたいな衝撃、

「うぃー、ローディ! うぃー、ローディ!」

 今度は腹ばいになった。ガウンを剥がした。素っ裸だった。狂信的なキリスト教徒みたいに両手を振り回している。ビッチの背中や尻に鞭を振り下ろすたびに、死への歌が口笛のように鳴った。黒いベルヴェットの肌に、みるみるみみず腫れができた。

 ぼくはストップし、彼女を仰向けにさせた。顔の上に枕をのせていたから、無理矢理とりあげて顔を出させた。何かが裂ける音。羽毛がビッチの涙や涎にひっついていた。枕を噛みしめていたんだ。足をバタつかせながら、もごもごと何か言っている。

 ビッチが咽び泣くごとに、胸が大きく波打っていた。ぼくを見つめながら、あたまを振った。その瞳には、十字架のキリスト画みたいな哀れみと悲しみがあった。唇が動いた。ぼくはベッドに座り、耳を近づけた。

「もうやめて。まいったよ、ダディ。あなたがボス。あたしはしょうもないビッチ。これで完全なるホーになりました。キスして、もう鞭で打たないで」

 なぜだろう、ぼくも泣けてきた。たぶん、こいつの心を壊したのが嬉しかったんだ。すまないことをしたな、と思った。もしかしたら、恋をしてしまうかも、とも思った。強く口づけしてやった。抱き上げて浴室へ運び、バスタブに優しく横たえた。

投稿者 Dada : September 14, 2005 06:25 PM