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September 21, 2005

TO GAIN A STABLE 4

 8月、誕生日の前の夜、ぼくはフィリスとオフェーリアのドレスを買うために、ウェストサイドへ行った。泥棒の家から出てきて、1ダース以上、いろいろ買い物したものをラサールのトランクにつめこみ、鍵をかけたときだった。

 突然、通りの先にあるキャバレーから、叫び声とスマッシュ音が響いたんだ。帽子もかぶらず、灰色の髪の毛をふりみだした男が、あわてふためいて舗道へ飛びだして来た。あたまを抱えている。あたまのよこがてかっていた。ぼくは、かれのほうへ近寄っていった。

 かれは、あたまに深い傷を負って血を流しているのだった。うなり声をあげながら、手で傷口をふさごうとしている。かれのうしろから、痩せ細った暗い人影があらわれた。その男は何か光るものを手にして、何度も何度も振りおろしている。

 さらに近付いた。痩せた男が、ピストルで老人を殴っているんだ。かれは、もはや膝をついていた。まるで、だれかに顔をペイントされたみたいに血まみれだった。

 痩せた男が、こちらを向いた瞬間、キャバレーのドアから漏れた明かりが照らした。リロイだった。あいつが、老人をめった打ちにしているんだ。20人くらいの客が出てきた。みんな、この殺戮を輪になって見物しはじめた。ぼくは、この輪からでた。

 そのとき、輪の反対側に、クリスがいるのを発見した。彼女は叫び声をあげながら、リロイの腕を止めようとしている。リロイは発狂してしまったみたいだ。

 ぼくは、輪を回ってクリスのほうへいった。彼女の背後に立った。ドレスの背中に、油っぽいしみがついていた。髪の毛もかび臭くて、ツヤがなかった。《スカーフェイス》の野郎が彼女を犬みたいにあつかっていることは間違いなかった。ブレーキのきしむ音がして、ふたりの白人の警官が駆けつけてきた。リロイは意識を失った老人に馬乗りになり、まだピストルで殴りつけている。

投稿者 Dada : September 21, 2005 06:45 PM