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September 19, 2005

TO GAIN A STABLE 2

 ぼくは《スウィート》に電話して、チビのビッチが立ち直ったことを報告した。かれは、すぐに女の名前を使って自分宛に送金するよう言った。ヘイヴン・ホテルへ戻ると、サイラスに温かい食事をたのみ、ビッチの傷をみることにした。たしかに痛そうだった。

 彼女に飲ませた痛み止めのピルは切れていた。背中の手当をしているうちに、ビッチは寝てしまった。ぼくもごはんを食べて、昼寝することにした。その週の終わり頃には、ぼくはピンプになっていた。手元には、800ドルもの札束があったのだ。豚の貯金箱の中身は、もちろん勘定に入れていない。

 ある夜、9時頃、ぼくはフォードに乗って100マイル弱の距離にある小さなホーの町、テレ・ホートへ向かった。そこからホテルへ送金した。差出人は、クリスティンという名前にしておいた。

《トップ》が戻ってきていたから、帰り道に立ち寄って、コカイン、鎮静剤、あと覚醒剤を購入した。その朝、チビのビッチは4時くらいに帰ってきた。150ドルの収入。まさにスターになろうとしていた。ぼくは、ベッドの中で、こんな風に話を切りだした。

「ベイビー、まったく、風向きが変わってきたよ。なんと、ダディに新しいホーが誕生しそうなんだ。先週、バーでその女と会ったんだよ。
 ほんと、世の中は狭いよな。ちょっと前まで、このホテルに泊まってたんだってさ。俺に夢中になっちゃって。若くてめちゃくちゃかわいい女なんだ。テレ・ホートへ、いっしょに来て欲しいというんだよ。あそこのハウスで働いてるんだって。こう答えたんだ、最初の週の稼ぎをこっちに送金したら、行ってやるよって。電話番号をきいて、住所も渡しておいたのね。
 今夜、電話してみたんだ。したら、500ドルをもう送ったらしい。ベイビー、もし嘘をつかれてるとしても、俺たちは何にも損をしないぜ。本当だとしたら、けっこうな額だし、何よりダディは小さな《ステイブル》(ホーのチームのこと)を獲得することになる」

 フィリスは、「え、白人? どんな女?」

 ぼくは答えた、「ビッチ、ごちゃごちゃ聞くな、馬鹿。白人の女がふたりの黒人の男のために働いたっていいじゃないか。それに、違うし。黒人の女の子だよ。だれにも似てない。おまえの男に一目惚れして、バリバリ稼ぐ気のある女ってことよ、わかったか」

 郵便局員が引換票をもってきたのは、正午のことだった。ビッチはドアまで迎えに行き、そいつをベッドルームへ通した。

 開けてみた。郵便局までは半マイルほど。ビッチに外の空気が吸いたくないか、と聞いてみた。絶対いっしょに行くと言う。

 運転免許証を偽造しておいてよかった。じゃないと、面倒な手続きが必要になるところだった。いくらくらい送金されてると思うか、なんてことも質問されたが、なんとか現金化できた。

 帰り道、ビッチは黙りこくっていた。《スウィート》はやっぱり、どうやったらホーの頭蓋骨にプレッシャーをかけられるか、よく知ってるよ。次の2ヶ月のあいだに、ぼくは2回、テレ・ホートへ足を運んだ。2度も街を横断し、次の日の昼までホテルに泊まってから帰ってきた。ステイブルの女のところへ行ってるとばっちり信じこませたんだ。

投稿者 Dada : September 19, 2005 06:30 PM