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September 02, 2005

THE BUTTERFLY 11

 彼女は「いいよ、ひざの上にのせてくれるなら、話すよ」

 ぼくは肯き、クリスを膝の上にのせた。彼女は、首に腕をまわしてきた。耳元に頬が触れた。コカインで激しくなった心臓の鼓動が、胸から伝わってきた。視界のすみで、通りにいたビッチが食堂へ入っていくのを見た。ぼくは、たのむから部屋に電話しないように、と考えていた。クリスの説明を中断されたら困るから。

 クリスの風船のようなお尻が、ぼくの膨張した股間を刺激していた。まったく、こっちは必死になってピンプ・ゲームをしようとしているのに。《ミスター・スリラー》は分かってない。ただ、固くなに勃起するのが俺の仕事だと言わんばかり。馬鹿だから、さっさとベッドで女の餌食になりたがってる。しっかりと見張ってなかったら、あっという間にダメになる哀れな奴さ。(それがチンコさ)

「12才までは、いい想い出しかなかったの。それまで、パパは優しくて、いい人だった。働き者だったし。腕のいい大工だった。でも、ママが亡くなってから、変わった。
 あたしをベッドに押し倒した。あたしと一緒に寝たいというの。ずっとママと寝ていたから、寂しくて仕方がないって。最初は何も起きなかった。一ヶ月後のある夜、悪夢にうなされた。野獣に乳首を吸われているの。目を覚ましたら、パパだった。
 大声で叫んだ。すると、思いっきり平手打ちされた。パパの顔はねじれて、憎悪に満ちていた。会ったこともない狂人みたいに見えた。あたしは気を失った。気がつくと、パパは泣きながら、あたしに許しを請うていた。
 しばらく、あたしはただ横たわっていた。そして、無感覚な体をパパに任せるようになった。パパの体が憎かった。学校にいるとき、みんながあたしの体の恥と汚れを知っているような、怖ろしい感覚に囚われることがあった。15才になるころ、あたしは生きている骸骨のようになっていた。それまでに、ありとあらゆることをパパにされていたから。あんな男、死んで地獄に墜ちればいい。
 野獣のようなパパに、あたしは殺されかけていた。お皿も洗えないほどにナーバスになっていたの。何十枚も割ったわ。鳥も生きていけないような量しかものが食べられなかった。ある日、雑貨屋からの帰り道で倒れてしまった。目をあけると、病院だった。体はぼろぼろで、妊娠していた。1ヶ月ほど入院していたわ。退院してから1週間ほど、パパと暮らした。そして、彼が寝ているあいだに、金をくすね、洋服を背負ってウィチタの街から逃げだした。
 ここへやって来て、ウェイトレスの仕事をみつけた。すぐに《ダンディ・ルーイー》という名前の若いピンプが引っ掛けにきた。あたしは、彼が大金持ちだと思った。あたしにもお洒落をさせてくれて、ウェイトレスを辞めさせた。でも、彼は冷酷な黒い糞野郎でしかなかった。女を殴るのが好きだった。そして、とことん働かせた。彼は、ホーのひとりに経営させているハウスであたしを働かせることにした。しょっちゅう、お尻の穴に靴を突っ込まれていたわ。
 おかしなことに、お腹がふくらんできても、お金を稼ぐことができた。妊娠してる女の子とヤリたがる客はたくさんいるのよ。そうやっているうちに、流産してしまった。2ヶ月後、《ダンディ》は警察に捕まって懲役5年になった。
 それで、バーテンの仕事をしているときに、リロイと出会ったの。その店で演奏していたのよ。あたしは病気だった。バーに立っているときに、2回も気絶していた。医者は休養が必要だと言っていた。休まなければ、死ぬかもしれないとも。リロイが看病してくれたお陰で、あたしは回復することができたの。
 彼は、優しかった。あたしには、誰か世話をしてくれる人が必要だった。17才になる4ヶ月前、彼と結婚した。それから、バンドといっしょに中西部をまわった。ところが、オハイオのヤングタウンでバンドが解散してしまったの。あたしたちは行き詰まった。リロイはクリーニング工場で働きはじめた。2週目に、ボイラーが爆発した。彼はあんな顔になってしまった。弁護士は、1万ドルの示談金を請求できると言ってるんだけど。リロイは狂ったように嫉妬深くなったわ。
 あたし、ハッスルしてもいいよ。ブラッド、あなたの女になるよ。あなたについていくよ、ブラッド、わかってくれた? あたし、どうしたらいいんだろう?」

投稿者 Dada : September 2, 2005 06:50 PM