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August 30, 2005

THE BUTTERFLY 8

 ぼくは、クリスにリーファーを渡した。自分のやつにも火を点けた。彼女と同じものを吸ったら、ふらふらになる。目が覚めたら金を盗られてた、なんてことにならないように。グレタ・ガルボみたいな女の前でも、セックスの前にまず金のことを考えた。

 椅子をもうひとつ引っぱってきて、夕闇のなかで向かい合って腰掛けた。大麻が彼女のあたまの中に満ちていくのを待った。美しい指先にはさまれたリーファーは、残り少なかった。煙草を混ぜてあるほうも吸わせた。彼女の瞳が、とろんとしてきた。

「スウィートハート、ハイになっちゃった、ブラッド、笑われると思うけど、あなたがタオル1枚であらわれたとき、あたしがどう思っていたか、わかる?」

「たぶん、『えー? あそこがひくひくしちゃう、あのブラウンのかわいい男、ピンプみたい! あー、ホーをやっていればよかった、すぐにでも、タオルの下のスリラー・キラーをぺろぺろとしゃぶるのに!』 そんな感じだろ、エロいヒト」

 彼女は、くすくす笑って、椅子をぼくの膝にちかづけた。革の背もたれに大きくもたれかかった。ピンクのヒールを、ぼくの椅子に投げだしてきた。

 ぼくは、クリスの黄色い脚にサンドイッチされた。街灯が、彼女を照らしている。くすくす笑いは止まらなかった。ぼくは、ローブのポケットに入れてある準備万端の注射器をまさぐった。それを取り出し、椅子のそばに隠した。彼女の太ももの内側に、青い血管が脈を打っていた。

 コカインのせいで、冷たい緊張が体に走っていた。クリスの右足をもちあげると、頬ずりした。ひざ小僧に噛みついた。彼女がうめいた。瞳の奥をのぞきこむ。長い、絹のようなまつ毛に、真珠の涙がたまっていた。街灯の灯りの下で、まるで無垢な子鹿のようだった。ぼくは、自分が老人になったような気がした。

投稿者 Dada : August 30, 2005 06:45 PM