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August 29, 2005

THE BUTTERFLY 7

 彼女は、ピンクの蝶が刺繍された黒のネグリジェを着ていた。太ももくらいの丈。薄い絹のむこうに白いパンティが透けていた。からだは、《プリティ・ガール》みたいになめらかな曲線を描いていた。黒い髪は、塔のようにまとめられている。中国の王様みたいに。ちょっと狂った微笑みが、メロンレッドの唇に浮かぶのを見た。もし、この娘にペニスが生えていたとしたら、ぼくは喜んでオカマのゲームに参加するだろう。

「ハイ、あたし、なんでここにいるんだろう?」

「ベイビー、パーティーのとき、そんな質問はしなてくいいよ。淫乱な遊びからは逃げられないよ。わかるでしょ、ベイビー、甘い電気ショックのせいで、農場の子どもは羊にキスするんだよ。同じパワーが、路地裏のネコにへんな鳴き声をさせるんだよ。わかるでしょ、じゃあ、リラックスして。これから極上のリーファーを巻いてあげるから。ベイビー、きみの運命は変わったんだよ。大当たりを引き当てたんだよ。ぼくをみつけたんだ。イェー、ぼくの名前はブラッド・・」

「ブラッド、はじめまして。あたしはクリスティン。クリスとよんで。長くは居られないよ。注意深くしないと。彼、嫉妬深いから」

「クリス、ぼくが、どれだけワイルドなのか、ちゃんと見ててよ。人生が1時間に思えるほどのスリルさ。理解しあうことが必要だろ、きみに必要なのは、本当の男」

 クリスの肩ごしに、窓からストリートのチビが見えた。こちらを見上げている。白人の客の車に乗り込んでいくところだった。深い紫色の闇が、昼間の光を掃き散らしていく。ベッドルームへいった。注射器を満たすと、針を尖らせたままポケットに入れた。ジョイントを2本巻いた。ひとつはピュア。もうひとつは煙草を混ぜた。親指でコカインを吸った。タオルをとって、入り口のドアの下の隙間に詰めた。お香を焚いた。

投稿者 Dada : August 29, 2005 06:00 PM