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August 22, 2005

THE BUTTERFLY 1

 眠りから覚めた。正午の太陽が照りつけていた。クローゼットの方向から、ネズミのような音がする。ふりむいて見ると、ビッチだった。クローゼットの中で膝をついて、スーツケースやら靴やらをひっくり返している。あたまの後ろの傷がずきずきした。触れてみると、こぶの上にかりかりのかさぶたがあった。

 チビの尻を見ながら考えた、「このバカ、何やってるんだ?」

「こら、ビッチ、うるさいんだよ。傷が痛むだろうが。目が覚めていちばん最初に、なんでおまえのケツを見なくちゃいけないんだよ。しかも、クローゼットをディグしてるし。もっといい感じで一日をはじめたかったよ、糞」

 彼女は、あたまをひねって、「大麻をさがしてるのよ、ちょっと今、ブルーなの。どこにあるの? 昨晩、帰ってきたときにはもうなかったし」

 ぼくは、起きあがり、クローゼットへ。コートのポケットへそっと手を入れた。自分用のコカインをよけて、大麻の缶を取りだし、渡してやった。ドレッサーの上には、20ドル札がたったの二枚。またベッドへ戻り、もぐりこんだ。

「ビッチ、部屋の外へ隠してあるんだよ。当たり前だろ。ある夜、帰ってきたら警官とばったり、なんてことになったらどうする。缶が見つかったら、逮捕されるだろ。
 ていうか、なんで昨晩の稼ぎがこれだけなんだよ。何が起きたんだ? ひとりの客とずっとべたべたしてたとか? 大麻の吸いすぎなんだよ、おまえみたいな若いビッチが一晩で40ドルなんて、あり得ないよ。白人の男と電話してたじゃん、あいつだけで40ドルいくだろう。そのあと何してたんだ? さぼってたのか、こら、ビッチ。たったの20ドルでひとりの客とやりたい放題とかだったら、殺すぞ」

 ビッチは、もう巻き終わったジョイントの片側をぺろぺろと舐めている。ベッドへ来てぼくの隣に腰かけた。いたずらっぽく大きな目をくるくると回している。

投稿者 Dada : August 22, 2005 06:00 PM