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August 01, 2005

GRINNING SLIM 7

 ぼくらは、東洋風の絨毯のほうへ下りていった。《スウィート》は、うす暗い部屋の反対側にある白いベロアのソファに腰かけていた。白のサテンで織られたスモーキン・ジャケットを着ている。ミルクの表面に浮かんだ巨大なハエのようだった。ミス・ピーチが、そばにまるまっている。絹製のターコイズ色の枕に黒い頭をもたれていた。《スウィート》がその背中を撫でている。彼女は、ゴロゴロと喉を鳴らし、黄色い瞳をぼくらにあわせていた。ロウな動物のような匂いがした。

《スウィート》が口をひらいた、「まあ、座れよ、おまえら、けっこう待たしてくれたな。どうしたんだ? ポンコツのキャデラックがぶっ壊れたか? それで、こいつがおまえのカタギの甥っ子というわけか?」

《トップ》は、ミス・ピーチのそばのソファに座った。ぼくは、《トップ》からさらに数ヤード離れた青いベロアの椅子に座った。《スウィート》の灰色の瞳が、ちらちらとぼくを見ている。かなり神経質になってしまった。それで、なんとなく笑いかけた。

 それから、目を壁に掛けられた大きな絵画へむけた。裸の白人女が、膝をかかえてうずくまっている。赤い舌を垂らしたグレート・デンが、彼女の背中におおいかぶさっていた。しっかりと乳房を掴んでいる。金髪の髪の毛を振り乱し、女は自分の背中を見ていた。青い瞳は、大きく見開かれていた。

《トップ》が口をひらいた、「メーン、キャデラックは飛行機じゃないんだ。できるだけ早く来たつもりさ。あんたにゲームを仕掛けたりしないよ、ハニー」

 ぼくも、口をひらいた、「ありがとうございます、ジョーンズさん、叔父さんといっしょに家へ招いてくださって、、」

 ぼくの声が、《悪魔のねぐら》での記憶をトリガーしてしまったようだ。彼は、体を硬直させると、こちらを睨みつけた。両手をぱんっと叩いた。銃弾が発射されたかのような音。ミス・ピーチがうなり声をあげた。

「おまえ、こないだ《ねぐら》でひともんちゃくあった鼻糞じゃねーか?」

「イェー、そうなんです。あの夜は、しょっぱかったです。お友だちの甥だってことを言えばよかったんですけど。ホント、気が利かないんです、ジョーンズさん。後になって、馬鹿をやらかしたことに気が付きました。すみません」

投稿者 Dada : August 1, 2005 06:00 PM