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August 20, 2005

GRINNING SLIM 18

 ヘイヴン・ホテルの青いネオンが見えたとき、嬉しかった。《トップ》は通りの反対側に車を停めた。車から降り、通りの中ほどまで歩いたとき、彼がクラクションを鳴らした。ふりむくと、帽子と小さく折りたたんだ紙を手にしている。ぼくはもどって、それを受け取った。

「俺の電話番号を書いておいた。何かあったら電話しな。気がねしなくていい」

 ホテルへ入り、ロビーを横切った。エレベーターは4階に止まっていた。階段を駆けあがり、掃除用具入れからネタを回収した。最初のノックで、チビは部屋のドアを開けた。中へ入りながら、クローゼットにあるコートのポケットへネタを隠した。そして、糞臭い服を脱ぎはじめた。部屋の隅にどんどん投げていった。

「ダディ、ちょっと、ゴミ箱みたいな匂いがするんだけど、どうしたの?」

「ビッチ、さっき、白人の警官に捕まったんだよ。俺が街でピンピンしはじめてることをチェックしてたらしい。ゲロを吐くまで殴られたよ。ベイビー、あいつら、おまえのことを知りたがってる。おまえがどこで仕事をしているか知っておきたいんだ。ああ、勿論、喋らなかったよ。そんなにピュアじゃないよ。たいしたことじゃない、おまえも黙って仕事をしておくれ、いいかい?」

 ぼくは、おしっこをしてから、シャワーを浴びた。ビッチに険しい表情をした。すると、彼女はすぐにベッドへ入ってしまった。腕時計をはずすと、午前4時だった。タオルで体を拭いた。ドレッサーの上の金もチェックせずに、ベッドにぶっ倒れた。この街で生きていくには何をすべきかを考えながら、ぼくは眠りに落ちていった。
 
- つづく -

投稿者 Dada : August 20, 2005 06:00 PM