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July 15, 2005

MELODY OFF KEY 4

《フランケンシュタイン》のようなバーテンが言った

「ぜんぶ、イタズラですよ。だから《ファン・ハウス》なんです。ご注文は?」

 ぼくは無視した。スツールから下りた。よくみると、メタル製の脚は平たくなっていて、床にすえつけられている。たぶん、空気コンプレッサーか何かが仕掛けてあるんだろう。一歩ひいて、「コットン農夫」みたいな2人の客を眺めてみた。鼻をいじりながら。しげしげと見回した。そして、自分の中で反撃のボタンを押した。

 こいつらみたいな南部訛りで言ってやった、「ふざけんな、おっさんたち。臭いんだよ。おまえらの誰かのお尻が臭いんじゃないの。南部の糞ニガはウンコする場所も知らないのかな。まったく、醜いトイレ野郎ども」

《エイモス》と《アンディ》は、綿のプランテーションの小作人みたいに口をあんぐり開けている。困った表情でカウンターの向こうの白人に目をやった。ぼくは、そのままドアから出た。こっちのユーモアが全然、伝わらなかったみたいだ。

 いきなり、香水の匂いの中に突っ込んだ。反射的に、ぼくは柔らかに彼女の肩に腕をまわして抱きとめた。オリヴィア・デ・ハヴィランドによく似た完璧な顔立ち。彼女のほうが大きくて、可愛いと思った。黒い仕立てスーツのえりが、ぼくの指のあいだに挟まっていた。最後に映画館に行ったとき以来、こんな美女はみたことがない。ホーだろうか。話を切りだすことにした。

「ごめんね。ちょっとビッチな出会いだね。ていうか、カタギなのかな。まあ、初対面だし、こんな感じでもしょうがない。えーっと、シュガー、この浮浪者の溜まり場みたいな店に入るつもり? やめといたほうがいいよ、あなたみたいな女性が求めてるものは何もないから。ぼくも、電話をするために入っただけなんだ。ぼくの名前は《ブラッド》。きみの名前は?」

 彼女は、優雅な曲線を描く脚を大きく開いて立っていた。舗道に、美しいお尻のシルエットが落ちている。薄いオレンジのブラウスを透かして、牛乳のような肌のみぞおちにピンク色のあざが見えた。電灯のような青い瞳、黒い髪。きれいに並んだ歯はレアな陶磁器。キューピッドみたいな唇を赤い舌が舐めた。宦官でも勃起してしまう仕草!

投稿者 Dada : July 15, 2005 06:00 PM