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July 23, 2005

MELODY OFF KEY 11

 ぼくは、なんで《エンタシス》がどうこうと心配してるのかな、と思っていた。毛が剃ってあるのはもう見たし。ベッドに膝をつき、彼女の腹へすり寄った。顔を近づけてみた。何かがある。肌と同じ色をしたベルトが、股間に巻きつけてある。お尻から、ベルトをひっぺがした! びっくりして、床に落ちて足をばたばたさせてしまった!

「この臭いチンコのついてるオカマ野郎!!!」

 この男のリアルな《エンタシス》は、ピンク色。かちんかちんに勃起していて、コブラみたいに太くて、30センチもの長さがあったんだ。

 こいつ、火のついたマッチを押しつけられたみたいに泣きだした。

「約束したのに! お願い、ブラッドったら、約束を守って! じつはすごくイイんだから! あなたが思ってるよりも美味しいのよ!」

「野郎、女と約束したんだよ。男じゃねえよ、馬鹿。おれはピンプなんだ。ウジ虫じゃない。こんな糞だめみたいな場所、さっさと出ていくよ。オカマだった迷惑代として、この豚の貯金箱をもらっとくわ」

「この、汚らしいニガの嘘つき野郎! 泥棒! 紐、ほどけよ! 糞ったれのニガ! 逆にてめえの黒いケツ縛って見てやるよ、こら!」

「メーン、おまえみたいに狡猾だったら、すぐほどけるだろ。まったくよ、その《エンタシス》で殺されるところだったよ、オカマ・・!」

 ぼくは、階段を下りていった。裏口から出た。通りまで歩いていく。住宅地を脱出するまで、1時間くらいかかったよ。高速のインターセクションまで来きたら、ちょうどタクシーが通ったのはラッキーだったな。

 ヘイヴン・ホテルまで戻ってくると、メーターは14ドル30セントだった。運転手に15ドル渡してやった。窓のほうを見た。チビのビッチがいた。午前2時だった。ハロウィーンの悪夢みたいだったよ。骨折り損のくたびれ儲けですよ。おまけに、すっかりシラフに戻っていた。

 エレベーターに乗ると、ある考えが襲ってきた。あの白人野郎、ぼくを逮捕させようとするかも。親が帰ってくるまでに、タオルがほどけなかったらどうなる? あいつ、証言をするだろう。ニガの強盗が襲ってきて、自分を縛りあげて金を奪ったというかもしれない。

 いずれにせよ、ヤバかった。5〜10年食らう、という考えが頭をぐるぐる回りだした。自分でほどいたとしても、ぼくを襲いに来るくらい怒ってるかも。ダランスキーとペッパーにハメられた件を思いだした。掃除用具入れから隠していた紙袋を取り出すときには、汗びっしょりになっていた。

 コカインを内ポケットにうつし、402号室をノックした。チビのビッチがドアを開けた。にやにやと笑っている。

「ハロー、ダディ、エンジェル〜! あなたの犬っころビッチ、今夜はお尻をしこたまふりましたわよ! あら、豚の貯金箱?」

「だから何だよ、ビッチ、ホーががんばったからってメダルでももらえると思ってんのか?」

 ビッチの質問には答えず、こいつに《エンタシス》が付いてないか、よーく見てみた。この女、素っ裸だった。中へ入り、ドアを閉めた。70ドルが棚の上に置いてある。ぼくは振り返り、ビッチに顔をちかづけた。あっちからキスしてきた。《口づけ》の銅像のところに、豚の貯金箱を置いた。

 ぼくは、大麻のカンをビッチに渡した。彼女はベッドに座り、いくらかをつまんで新聞の上にひろげた。ジョイントを巻きはじめた。ぼくは、服を脱ぎはじめた。バスルームへ行き、シャワーを浴びながら口についたオカマ味を洗い落とした。ギャングスターのいい香りが漂ってきて、鼻をついた。

 シャワーの水流の中で、ぼくは叫んだ、「ガール、ドアの下に隙間があるからさ! 雑巾かなんかでふさいどいて! あと、2本巻いといて!」

 体を拭きながら出てくると、シーツにもぐりこんでいる彼女の隣へ。ジョイントを受け取り、深々と吸いこんだ。タバコをとって、先から葉をほじくりだした。そこに大麻の吸い殻をまた詰めて、尖端をひねってから火を点けた。いい感じ、上物だった。

 うん、頭蓋骨が夢みたいに浮かぶ気持ち。次から次へといいアイディアが浮かんできた。問題は、ひとつひとつに鞍を取りつけて乗ろうとする直前に、どれも忘れてしまうことだった。たぶん、野生の馬を追いこもうとする、酔っぱらいのカーボーイみたいな気持ちなんだろうな。

 ギャングスターは、たしかにホーをハイにさせる。けれども、こいつは頭が混乱するから、ピンプには向いてないと思う。あの美しいオカマ野郎が、ぼくの胸の中にわけのわからない種を埋めていた。野生の花が、満開に咲いている。ぼくは、夢中でチビのビッチにむしゃぶりついた。温かく泡立ったトンネルの奥のほうへ、眠るように吸い込まれていった。今夜は、鎮静剤はいらなかった。

- つづく -

投稿者 Dada : July 23, 2005 06:00 PM