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July 26, 2005

GRINNING SLIM 2

 正面にに赤いキャデラック。ぼくを発見すると、《トップ》はホーンを鳴らした。乗りこむと同時に車が発進。たしかに彼は急いでいた。舗道と擦れて悲鳴をあげるタイヤの音。虹の花束を通り過ぎた。《ファン・ハウス》のサインが点滅している。メロディが、また例の《エンタシス》に野郎をひっかけようとしてるかも。

「ジャック、2、3日かかると思ってたよ、何かあったの?」

「今夜、ボクシングのでかい試合がある。そのあと、この国の偉大なピンプ、ホーが、全員《スウィート》の家に集まることになってる。パーティーだよ。シズルがしこたま必要だからさ。おれに2000〜3000ドルは入ってくる。
 あいつは試合観戦はしないんだけど。人が多いのが嫌いなんだ。あと、ミス・ピーチが出入り禁止になってるからさ。とにかく、ネタを待ってんだ。自分じゃヤらないんだけど。客のために、麻薬を一通りそろえておかないとなんだ・・」

「あのさ、ぼくのこと、なんか《スウィート》に言ってくれた?」

「キッド、おれは天才だぜ? 今日の朝、電話がかかってきたときに言っといたよ。カンザスシティから青二才の甥っ子が遊びに来てることにしといた。ピンプになりたい少年。地元に戻って普通のハスラーか職人になれって、おれがさんざん言い聞かせてるのに、馬鹿すぎて帰らない少年ってことにしてある。とにかくピンプになりたくてしょうがない奴ってことになってる。
《スウィート》の糞なら、10ヤードでも喜んで食べる男ってことにしてある。神だと思ってる。叔父さんが《スウィート》と友だちだと言っても、まったく信じようとしない。《グラス・トップ》にもメンツってもんがあるから、本当に《スウィート》に会わせてやりたい。大都会の本物のピンプ・シーンを目の当たりにすれば、少年もビビると思うし、カンザスに帰ってくれるのが一番だし・・みたいな話にしてあるよ。いいか、あいつの家で、余計な口をきくんじゃないぞ。《悪魔のねぐら》の一件を覚えてなかったら、それがいちばんいいんだから・・」

「わかったよ、《トップ》。へましないよ。この恩は絶対に忘れないよ、そのもっていき方、たしかにバッチリだね・・!」

投稿者 Dada : July 26, 2005 06:00 PM