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July 07, 2005

DRILLING FOR OIL 15

 女は、ぼくらの服を両手にもち、部屋を横切るように置かれた巨大な椅子の手すりにかけた。もちろん、ぼくのお金にはいっさい手をつけなかった。隣に立っている。すると、テーブルのはしっこ、《トップ》の傍らの電話が鳴った。彼は受話器を手に取った。

「ハイ、こちら、《おたのしみの家》。何がお望みですか? ああ、アンジェロか。彼女ならここにいるよ。いや、全然しらふだよ、すぐ行かせるわ」

 電話を切って言った、「ビッチ! コートを着るんだ。すぐにフランクリン・アームズ・ホテルのベル・ボーイ長のところへ行け。ディンプルや他の女に処理しきれないくらい客が来てるらしいんだ。キャデラックの鍵を忘れるな、大急ぎで到着するんだ、いいな、ビッチ!」

 女は、3分もしないうちに飛び出して行った。じぶんの男に儲けさせてやりたい一心なのが、よく理解できた。フランクリンで待っている客たちのチンコは、じゅうぶんなサービスを受けることができるだろう。

 ぼくは思った、「うちのチビのマンコも、もっとカルティヴェイトして、あの女みたいな形にしてやらないとダメだな・・」

 彼は言った、「あれは、若くていいビッチだよ。1年前にハワイでコップしたんだ。いま、この街にはコンベンションか何かで2000人のカモが来ている。片手に20ドル、片手にチンコを握りしめた連中さ。
 レイデルは、もう36時間も眠っていない。俺の他のホーたちも、フランクリンで今日の早朝から働きっぱなしだ。この3日間で、5000ドルは堅いと思ってる。もちろん、アンジェロに30%ピンハネされるだろうが。あと、女ひとりにつきCノート1枚、警官へ《オイル》を渡さないといけない・・」

 そう言うと立ち上がり、ズボンからベルトを抜き取った。ぼくのベルトを、ぼくの腕のちょうど肘の上あたりに巻きつけている。

「なあ、トップ、ぼくだってカタギじゃないけどさ」ぼくは言った、「ヘロインはやらないんだ。コカインやるよ。そっちのほうが興味あるな」

「ボク、ミンクの次はテンだみたいな感じで、金玉つかんでムリヤリ強烈なネタをやらせようなんて思ってないから、安心しな。まあ、ヘロインよりもヤバイ飛び方するモノなんてないけどな。ゆっくり覚醒していくのもいいだろうし、好きにしなさい。あのな、ヘロインていうのは、ピンプのゲームに本物の《アイス》を注入してくれるんだ。わかんないだろうな・・」

 彼は、コカインのキャップを緩めてスプーンに入れ、目薬のスポイトを水槽に入れた。スポイトを水でいっぱいにし、全部スプーンに注いだ。黄色い台のテーブル・ライターを点火すると、スプーンの底面を近付けた。灰皿から小さなガーゼを拾い出している。それをスプーンの中に放り込み、スポイトの先に薄いセロファンを巻いた。針を取り付けている。針の先端をガーゼに刺し、スプーンの水をスポイトに吸いあげた。

 きつく巻かれたベルトの下で、血液が波打つのを感じていた。静脈にくぼみが生じているのがわかった。コカインの、鼻を突くような甘い匂いがする。手のひらに汗がべっとり。彼の右手に注射器。左手でぼくの二の腕を掴んだ。ぼくは顔をそむけ、目を閉じた。針の痛みを予感しながら、下唇を噛みしめた。

「うわ! おまえの静脈、きれいだな〜」

 針が刺されたとき、ぶるっと震えた。大きく目を見開いて見た。ぼくの血液がスポイトに吸い込まれていく。彼はぐんぐん押している。血の混じった液体がどんどん注入されていくのが見えた。それは、まるで数トンものニトロが体の内側で爆発するような感覚だった。心臓が大変なことになってる。喉がかきむしられるよう。頭のてっぺんから爪先の穴という穴にチンコをぶち込まれてるような感覚。それらがいっせいに射精するような感覚。

 ぼくは、初めてコカインを注射したショックで、電気椅子に座らされた死刑囚のようにしばらくは小刻みに震えていた。からからに乾いた口を開こうとする。けど、できない。ほとんど体が麻痺してるんだ。ぐるんぐるんに揺れている内臓から熱いゲロの塊がほとばしってくるのを感じた。臭い匂いの緑色のゲロがロープみたいに細いアーチを描いて、ゴミ箱の黒い口へと吸い込まれていくのが見えた。胸に冷たい金属が当たっている。と、思ったらマニキュアをした《トップ》の指先だった。

「1分もすれば落ち着くよ、ボク。この街で最高のネタがあるなんて、大嘘だったと思ってるな、まあ、しばらくじっとしてな」

投稿者 Dada : July 7, 2005 06:00 PM