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June 15, 2005

THE JUNGLE FAUNA 9

 彼は、そこで《ラップ》するのを止めた。そして、今すぐドアを開けて出て行けと言わんばかりに、ぼくを見つめていた。完全にこっちをビビらせたと思ってるようだった。冷やかされたぼくは、マスケット銃のように怒っていた。

 こう考えた、「この、ぴょこぴょこ歩きの糞ジジイ、ぼくが何のためにこの街へ来たと思ってるんだ? まだまだだってことくらい、分かってるよ。そうしたくてそうなってる訳じゃないんだよ。もう、こっちはボス・ピンプ、《スウィート》と同じくらい頭のキレるピンプになるって決めているんだ。それに、女を奪われたとしても、別に世界の終わりじゃない。この、めそめそしたジジイ、自分から《スウィート》の罠にハマッといて、調子乗んなよ・・」

 ぼくは言った、「なあ、プレストン。ぼくはヘタレじゃない。プッシーでもない。刑務所に二回もぶちこまれてるんだ。タフな経験をたっぷりとしたけれど、挫けたことは一度もない。ぼくのビッチは、ぼくのことをあり得ないくらい愛している。間違いない。完全にぼくの虜になってるんだ。

 もし、それが間違っていて、彼女が逃げたとして、だから何だ? 何が起きてもあきらめないさ。目が見えなくなったって、ピンプになるよ。足を切断されても、ワゴンに乗って運転して、女を探して、ピンピンしてやるつもりだよ。ピンプになれないなんて、死んだ方がましなんだよ・・。

 ぼくは、この白人の世の中で、絶対に負け犬になりたくない。この街でピンピンするななどと、ぼくを説得することは不可能だよ。女が体で稼いだお金をシェアして生きていくんだ。知らないことは、これからコップしていけば、問題ないさ。《スウィート》なんて怖くない。必ず、そいつと友だちになる。そして、乾いた砂が水を吸うように、ピンピン技術をピックしてやる〜!」

 そのとき、大きなギリシア人の男がドアから入ってきた。抜け目ない顔つきをしている。ぼくは、口をつぐんだ。彼は、ぼくらのすぐ側を通り、仕切り板に取り付けられた小さな扉から、奥へと入っていった。プレストンは、靴をはきはじめている。ナーヴァスになってるみたいだった。

「あの大男はだれだい? 警官?」

「ここのオーナーさ。金を回収しに来たんだよ」

「ああ、あんたと友だちは、あのギリシア人の下で働いてるのか・・?」

 答えるまえに、ギリシア人が出てきた。プレストンは、コートにさっと手を通している。男が立ち止まり、彼を睨みつけた。

「こんなところに座ってくっちゃっべってもらうために、金を払ってるわけじゃないんだよ。この仕事に代わりは何人でもいるんだ。それも若い連中だよ。働かねーと路地裏に放り投げる。さっさと通りへ出て、カモを捕まえてこい」

 プレストンは、「はい、はい、ニックさん、でも、ここに座ったのは、ほんの一分前なんですよ。もー、俺より客引きが上手い奴なんて、そうはいないってこと、旦那だって、ご存知でしょ、、へへ、、へへへ、、」

 二人で外へ出たとき、彼の目を見ることができなかった。どんな顔をしてるのか想像できたし、すまない気がした。ぼくは、ポケットから10ドル札を取り出すと、折りたたんで彼のコートのポケットに入れてやった。

 彼は言った、「ありがとよ、ブラッド。たぶん、俺が間違ってるんだよ。もしかしたら、おまえには、最後までピンピンする、ガッツがあるのかもしれない。さあ、知りたいことは教えてやった。幸運を祈るぜ、ボク」

 ぼくは言った、「プレストン、話をしてくれてありがとう。6ヶ月で、目ん玉ひっくり返るくらい、ビックリさせてやるよ。明日の夜から、ここでピンピンすることにした。もう止められないよ。止まらないよ。あのギリシア人に追い出されても、心配しないで。ぼくが、部屋を世話してあげるから・・」

投稿者 Dada : June 15, 2005 02:25 AM