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June 13, 2005

THE JUNGLE FAUNA 7

 ここで、プレストンの親父は一息ついた。禿げあがった頭から大粒の汗が吹きだしている。《スウィート》の裏切りについて説明しながら、かれはそのときのことを生々しく追体験しているのだろう。

 ぼくは、辛いソースを手にのせて舐めた。べとべとした袋を丸めてソファのはしにある紙袋に放り投げた。ハンカチを取り出し、口や手を拭った。

 この店のサイコロには、仕掛けでもしてあるのだろうか。10分ごとに店の奥から憔悴しきった顔の客が姿をあらわし、とぼとぼと帰っていくのだった。

 ぼくは言った、「しかし、スウィートは、本当に狡猾で冷血な男だね。それからどうなったんだ・・?」

 プレストンは再び語りはじめた、「その一発で、体の熱も痛みもすべて消えていった。勿論、ジョー・ルイスと15ラウンド戦えるほどではなかったがな。だいぶ落ち着いた。スウィートは、部屋の真ん中に立って俺を見下ろしていた。俺は足が弱っていて、立つのにも時間がかかった。全裸だったよ。

 俺は言った、『スウィート、あんたが俺の女たちを盗んだことは知ってる。そして、俺自身、表彰されるくらいの大馬鹿だったってことも分かっている。仕方ない。悪いが、1000ドルほど都合してくれ。あんたにハメられたこの中毒から脱出しなくちゃならない。もう、迷惑はかけないから、金、貸してくれ・・』

 スウィートは、まるで黒い仏像のように黙っていた。そのとき、俺はやつに尻の穴を蹴られると思っていたよ。娼婦と同じようにさ。ところが、彼は微笑んでいた。ベッドの下に落ちていた俺のローブをひろい、肩にかけてくれた。

 そして言った、『友だちだろ、女を盗んでなんかいないよ。おまえがこんなことになってたから、おれが色々やってやらないと、あいつら、風に飛ばされて今ごろどっかに消えてたぜ。おまえのためを思ってやってたんだよ。おれがおまえの女みたいなもんなんだよ。どっかの男に女を盗られるよりも、おれが面倒みてた方がいいだろ? 金? 1000ドルくらい、勿論、払うよ。プラス、歯がでてる黄色いビッチ、返してやるよ。なあ、おまえに、しっかりしてもらいたいんだよね。愛してるんだよ、友だちだから』

 俺は言った、『スウィート、じゃあ、その金はいつもらえるんだ? しっかりと決めてくれよ。今、この場で決めておくのが大事なんだよ』

『えっとね、明日の朝にしよう。必ず払うよ。出っ歯のビッチも連れておまえの家へ行くよ。そのまえに、今日の昼250ドル送金する。そんなにビクビクしないでくれよ。スウィートは、おまえの味方なんだから、マイメン』

 そう言うと、俺のあごを撫でて帰っていった。その日の11時、パシリの男が250ドルもって来た。俺はまた、スウィートのことを信じはじめた。

 だが、正午にやって来たのは警官だった。俺はぶちギマッていた。当然だろ。パジャマ姿で、ふらふらになっていた。連中はさっさとヘロインを発見し、麻薬所持で現行犯逮捕された。それで終わりだよ。刑務所で矯正プログラムに入れられた。3年と9ヶ月も、ムショで過ごしたんだよ。

 髪の毛も歯も抜け、可愛かった面影はまったくなくなった。そして、他の受刑者におちんちんの尖端をカットされてしまった。だから、オシッコがまっすぐ飛ばないし、普通に歩けないんだよ。ホーもいない。わかっただろ」

投稿者 Dada : June 13, 2005 02:20 AM