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June 08, 2005

THE JUNGLE FAUNA 3

 ぼくは言う、「ジム、今はギャンブルをやるような気分じゃないんだ。なあ、前に何処かで会ったことがないかい?」

 彼は一瞬、目をこらした。その目は、ぼくの肩を通り越して新しい獲物を求め通りを探っている。禿げあがった頭が、街灯の下で黄色い湖みたいに浮かんでいた。彼は言う、「ジャック、銃で脅して店に入れさせる訳にもいかねぇしな。無理矢理つれてって、さぁ金を賭けろなんてできないぜ。ボク、あんたの年で俺のことを知ってるはずないんだよ。噂なら別だが。俺は《かわいいプリストン》。ピンプだった。頂点に君臨していたころは、ビッチどもを毎晩ブルーにさせるほどピンピンしてた。お前こそ誰だ?」

 名前を聞いた瞬間に、鮮やかに記憶がよみがえった。この人はぴかぴかのラ・サールに乗ってたはずだ。クリーニング屋で働いていたころ、彼の靴を磨いたことがあった。あの時は、黄色いヴァレンティノみたいに色気があって、ハンサムだった。ダイアモンドを覚えている。彼の指、シャツのカフスできらきらと輝いていた。シャツの前にもダイヤが付いてた。ぼくは思った、「これが、あのダンディな彼? 本当に? この人にいったい、何が起こったというんだ?」

 ぼくは言った、「プリストン、知ってるよ。通りでよくあんたのステイシーを磨いてた子どもがぼくなんだよ。覚えてるかい? いま、ぼくもピンピンしてるんだよ。昔のあんたは、嵐のようにピンプ・アップしてたよね。何が起きたんだい? どうしてこんな賭博場で客引きなんかやってるんだ?」

 彼は気怠く、夢見るように、遠くを見ていた。おそらく過去のフラッシーなピンピンの日々を想い出しているのだった。やがてため息をつき、ぼくの肩に手をまわしてきた。ぼくは彼とともに店の中へ入って行った。

 ギャンブラーたちの汗の生々しい匂いが鼻孔を突いた。ほとんど真っ暗な賭博場の正面に置いてあるぼろぼろのソファに、ぼくらは腰をおろした。仕切りの向こうから銀色のコインをやりとりする音が聞こえてくる。人間どもの祈りを嘲笑するかのような、サイコロの無表情な音も。

投稿者 Dada : June 8, 2005 06:30 PM