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June 20, 2005

THE JUNGLE FAUNA 13

 午前4時だった。車を止め、ホテルの上の階へと上がっていった。高架を列車が通るたびに、階段はがたがたと揺れた。影が2階の窓から飛びこみ、物凄いスピードで跳ねまわる幽霊のように壁を横断していった。

 左へ曲がり、20号室へ。鍵を開け、部屋の中へ踏みこんだ。ビャッチは目をみひらき、ベッドから飛び起きた。ベイビードールの赤いパジャマを着ている。体を強くぼくに押し付けてきた。1年間も会えなかったみたいに。

「ダディ、、戻って来ないかと思った、、すごい心配だったよ、、どこ行ってたの? あたしと同じくらい、あたしのこと愛してる、、? 寂しがってると思わなかったの、、? もし、ダディに何かあったら、死んじゃうよ、、」

 そのとき、心臓を締めつけるようなモンタージュが、ぼくの頭蓋骨の中で嵐のように巻き起こった。ぎりぎりと歯を噛みしめた。指の爪がアイスピックのように、手のひらに突き刺さるのを感じた。彼女の愛が、過去のやるせないシーンを甦らせたんだ。そこに、ヘンリーの姿があった。

 彼は膝をついてママにすがりつき、泣きじゃくっていた。お願いだからハートをブレイクしないでくれとママに懇願する哀しい瞳があった。

 そして、彼の腕を振りほどき、自由になろうとキックするママの姿。その顔には激しいあざけりと勝利があった。ヘンリーの孤独な墓の底で、彼の肉をむさぼり食っている蛆虫のビジョンが意識を直撃した。

 ぼくは、ぶるぶる震えだした。全身の力を込めてビャッチの左のこめかみをパンチした。その衝撃で、針のような痛みが肘を貫いた。彼女はうめきながらベッドへ仰向けに倒れた。トランポリンみたいにバウンスし、ガチャンと重たい音がした。ベッドの鉄製の角に顔がクラッシュしたんだ。

 激しく息をしてぶっ倒れている。ベッドの足下へ駆けよった。彼女の髪の毛を鷲づかみにし、こちらへ向けた。目を閉じている。右眉の上のあたりから血が流れていた。ぼくは、洗面器を取ってきて冷たい水をはり、彼女の顔をつけた。すると、目をぱちくりさせた。そのまま、こちらを見上げている。

 赤いしずくが頬からあごへ流れた。血がでているのを知ると、彼女の目は満月のようになった。口をひらいた。ぼくは、突っ立ってそれを眺めていた。陰嚢の中で金玉がねじれていく。ペニスの根っこから煮えたぎるようなエナジーがほとばしってくるのを、ビンビンに感じていたんだ。

 ビャッチは叫んだ、「なんで!? 殴られるようなこと言った!? シラフじゃないの!? なんか食べてんの!?」

 ぼくは、「ビッチ! これから百年間付き合ったとしても、俺がどこに行ってたかなんて質問するな。愛してるとか言うのも止めろ。いいか、俺たちは四角い人間じゃないんだ。カタギじゃないんだ。俺は、ピンプなんだ。おまえは、ホーなんだ。さあ、起きあがるんだ。冷たいタオルで、眉毛でも冷やしなさい」

 すると、彼女は体をおこし、洗面台の前で眉毛を洗いはじめた。大きな目で鏡に映ったぼくを見ている。このとき、必ずぼくに復讐してやると心に誓っていることなど、知るよしもなかった。(7年後、この女は計画通り、ぼくを刑務所にぶち込むことに成功する・・・)

 彼女は、ベッドに腰かけて、傷口にタオルを当てていた。ぼくは、服を脱いでシーツへもぐりこんだ。15分もすると血は止まった。小さなしわしわのかすり傷になった。彼女は、ぼくのとなりに体をよせてきた。そして耳たぶをニブルしはじめた。トカゲのように舌をはわせてぴちゃぴちゃと音がした。やがて大胆に旅行しはじめた。ぼくは、ただ黙って横たわっていた。そして、この女を殴ってしまった本当の理由を探していた。でも、答えはみつからない。

 ビャッチが囁いた、「ダディ、してくれないの? おちんちん・・・」

「ビッチ、頭ん中にはそれしかないんだな。わかったよ、豚小屋のメス豚よろしく縛ってやるよ。たっぷりと楽しんだあと、今夜から働いてもらうストリートについて説明するからね。さあ、仰向けになって。足を大きく広げて。手を上にあげるんだ。そう。それでいい。このフリーキー・ビャ〜ッチ!!」

 つづく

投稿者 Dada : June 20, 2005 02:30 PM