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June 06, 2005

THE JUNGLE FAUNA 1

 黄色のフォードは脱獄囚のように走り続け、ぼくたちは2時間後にシカゴに到着した。29番街とステート・ストリートのスラムにあるホテルへチェック・イン。トランクからさっさと荷物を運び出した。

 夜の10時をまわっていた。ぼくは顔に水をかけた。チビのビッチにかけさせた。そして街をチェックしに外へ出た。

 ワイパーを作動させた。三月の下旬にもなって雪が降りはじめていた。ホテルから1マイルほどの場所で、通りに立っている娼婦どもを見つけた。

 車を停め、近くのバーへ入ってみた。そこは死ぬほど臭かった。ジャンキーの溜まり場だった。ぼくは、瓶から直接ビールを飲んだ。ここのグラスを使う気にはなれなかった。

 右隣の席に疲れ切った馬のような顔をした「スリ」が腰かけた。たぶんそいつの相棒の男が左に。「相棒」は黄色いキツネのようだった。横目でもそいつがぼくをじろじろ見ているのがわかった。やがて、彼は指を鳴らした。ぼくはそちらへ首をむけた。彼は言う、

「ブラザー、あんた、糞ダメのネズミみたいにラッキーだな。今、着てるスーツとコートのサイズ、わかる? おれは《仕立て屋レッド》。ちょっと立ってみなよ。見れば、すぐわかるから。うちの店には、まさかっていうくらい安いコートを沢山ストックしてるからさ、、」

 彼の顔を見つめながら立った。むこうは目を上下させている。ぼくのコートのボタンをはずしはじめた。スーツの襟を引っ張った。そして、「馬面」のほうへグッと押した。ぼくはよろけた。半分、体を寄せて「馬面」に謝った。そのとき背後でぼんやりと何かが動いた。だが、速すぎて何だかよくわからなかった。後になって、何をされたのか、理解できた。

 馬面の男は、歯を見せてスツールから下り、出口のほうへ歩いていく。ぼくは《仕立て屋レッド》に言った、「ジム、ぼくのサイズわかった? 黒のモヘアがあったら欲しいんだけど、、」

 彼は、おかしそうに笑っていた。ぼくのネクタイを締め直しながら、

「スリム。青と黒のモヘアがある。ロンドンのセヴィル・ロウみたいにバッチリ仕立ててやるよ。青も欲しいだろ? 両方で50ドルでどうだ?」

 ぼくは、「メーン、いいね、金ならあるし、、」

 すると、まるで彼の母親がぼくの帽子にウンコしてるところを、ぼくが覗いてしまったかのような表情になり、眉をひそめた。彼も、ドアの方へとにじり寄っていく、「まあ、でも、まだ、あんたのことよく知らないし。せっかくの在庫を盗まれたりしたら大変だからさ。あっさり倉庫に連れて行って、あんたにコップされたりしたら洒落にならないでしょ。だから、また、会ったときに声をかけてよ。そうしよう、、いや、ちょっと待って、こうしよう。20分後にもう一度、コートを持ってこの店へ来るよ。で、ここで試着とかして貰えれば、おれとしても安心だな。じゃ、一杯おごっておくよ、、」

 そこで、ぼくはもう一本、ビールを注文した。ちょうど20分くらい潰せるだろうと思い。やっぱり、新しいコートは必要だし。

 1時間たっても来なかった。ぼくは、《仕立て屋レッド》が、逮捕かなんかされたのかな〜、などと思っていた。

 バーテンのデブ女に、この辺りに流行のファッションを売ってる店はないか、聞いてみた。いくつか教えてくれた。場所もだいたいわかったから、こちらから出向くことにした。勘定は80セントだった。20セントのチップを置き、フォードへと歩いていった。

 舗道に面した窓がこじ開けられていた。完全にヤラレてた。窓から手を突っ込んでドアのロックをはずしたんだ。乗ってみた。ビッチのアクセサリーなんかがコンパートメントに入れてあったのを思い出した。みてみると、どっかのアホ野郎はきっちり底から盗んでいた。イヤリングの片方すら残ってない。

投稿者 Dada : June 6, 2005 05:00 AM