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June 30, 2005

DRILLING FOR OIL 9

 ぼくはこう言った、「もちろん、知ってますよ、ジョーンズさん。世界に誇る黒人の神様じゃないですか。よっぽどの馬鹿か、耳の不自由な人でないかぎり、あなたのお名前と名声を知らない人なんて、いませんよ。ぼくが、あなたの目を見なかったのは、聖書にのってるマヌケのことを思い出したからなんですよ。ほら、のぞいたばっかりに殺されたっていう、、アレなんすよ」

 ホーたちは、どっと笑った。ミス・ピーチは、レディじゃなかった。屁をこいて、歯を剥きだしにした。針のように尖った、パテント・レザーの靴の動きが止まった。どうだろ、うまく作用したんだろうか?

《スウィート》は、身を乗り出して、ぼくのあごを掴んだ。顔を上に向けさせ、巨大な手のひらをあたまの上に置いた。ぼくは、お尻の穴が緩まないようお腹をきゅっと締めた。灰色の指のせいで、あの世へ逝ってしまいそうだった。彼が口をひらくと、唇のあいだに涎でできた蜘蛛の巣の橋がみえた。

「小僧のニガ、誰だ? どこから来た? 何となく俺に似てるじゃねえか。おまえのママとセックスしたのかな? ハ?」

 ぼくは、もう少しで、そのトラップを踏むところだった。

 こう返した、「ジョーンズさん、あなたの前では、誰が誰とか関係なくなりますって。この町で生まれたんですよ。うちのお袋もあなたの追っかけだったかもしれない。ビッチなら、それが自然ですよね? ぼくも、もしビッチに生まれてたら、絶対、あなたにお金を納めてますもん、、」

「フン。なあ、ニガ。白人のいい女は好きか? 俺のホーのひとりが、おまえとヤりたいそうなんだ。俺は、ホーが欲しいというものは手に入れてやる。20ドルで、この女とセックスしてくれないか?」

 頭蓋骨が注意報を発令した。「馬鹿! 尻の穴、引き締めろ!」

「ジョーンズさん、ぼくは、じぶんの女じゃないとセックスしないですよ。すみませんけれど、ぼく、じつはピンプです。あなたと同じ稼業やらせてもらってます。だから、ピンプから金は受け取れないんです。じぶんの決めた原則が、『リバース・トリックはなし』と言ってます。

 ジョーンズさん、ぼくは、パーティー野郎じゃありません。あなたと同じくらい、偉大なピンプになりたいんです。もし、今、ピンプ・ゲームの原則を破ってしまったら、もう何者にもなれないと思ってます。あなたは、地球上で最高のピンプです。それは、わかってます。あなたも、ピンプの原則に従って、偉大なピンピンをされているはずです。どうですか? こんなヘナチョコ・ピンプに、スタートからいきなり原則を破らせて、楽しいですか?」

 白人のホーが《スウィート》に寄りかかってきた。皇帝ネロに判決を下すよう催促しているんだ、

「ジョーンズさん、この可愛らしいおにーさんと、たっぷり楽しませてよ、誰もあなたにノーと言えないはずでしょ。この子、じぶんがピンプだなんて夢を見てるのね、おねーさんがお仕置きしなくちゃ。ダディ、さあ、命令して。誰がボスなのか、わからせてあげて」

 彼は、女をどかした。ぼくの胸を締めあげていた大ヘビが力を緩めた。彼の目のなかにある髑髏が、軽蔑の色に変わっていく。ぼくは深く息をした。

「おしっこ野郎! 緑の尻のニガ、おまえのどこがピンプなんだよ? ピンプと書くこともできないだろ? ピンプのお尻のピンプル(*訳者註 ニキビ)にもなれねーよ。ニガ、天井にあたま突っ込んでやってもいーんだぜ? インチキな奴の口からピンプって言葉が出てくるだけでイラつくよ。さっさと失せろ、マンコ。俺のチンコしゃぶらせるぞ」

 オセロットが、スツールの下から這いだしてきた。お腹を揺すって、眠たそうに、ぼくのことを睨んでいる。

 ぼくは、ダビデじゃなかった。運がいいことに違った。このキチガイのおっさんに腹の底が煮えくり返るほどキレていたことは確かだ。でも、笑って5ドル札を取りだした。カウンターへ投げると、すごすごとドアを抜け、ストリートへ出た。ベルトに38口径マグナムをはさんだゴリアテと、ポケットの中の投石器ひとつで戦うことにはならなかったんだから、よかった。

投稿者 Dada : June 30, 2005 06:45 PM