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June 25, 2005

DRILLING FOR OIL 5

《悪魔のねぐら》へむかう路上で、フィリスに手をふった。若くて美しいビッチが、じぶんのために売春しているのを見るのは、ぞくぞくしたよ。

 通りを挟んで、《ねぐら》と反対に駐車する。グローヴ・コンパートメントに入っているフェイス・パウダーの箱にスポンジを入れ、いい感じの黄褐色になるまで顔をはたいた。通りを横切り、 《ねぐら》へと歩きだす。

 10時13分。大気は新鮮に光り輝くビッチだった。4月の最初の夜は完全にこの美しさに正気を失い、ゆらゆらと微光を放つダイアモンドの星でつくられた腕輪をプレゼントしたみたいだ。巨大な月が息を潜めて待ち伏せしている。悪魔の黄色い目玉のように、目を皿のようにして獲物を探すピンプ、ハスラー、ホーたちを、じっと見下ろしているのだった。

 白い鰐皮の帽子のふちへ浴びせられる4月の風に、ぼくは生々しい優しさを感じていた。ピンプらしい悪の中にだけある、生きている喜びが産声をあげるのを聴いた。ぼくは、力強さと美しさを感じていたんだ。

 こう思っていた、「ぼくは、この白人の世界のただ中で、いまも黒いままだ。これから勝ち取るすべてを、この黒く囲まれた場所にいながらにして味わうべきなんだ。単純なことさ。ひたすらピンプして金の山を築くことだ。白い世界だろうと、黒い世界だろうと、フラッシュして売れてるもののお尻にキスしたがる奴らばかりなのは、同じなんだから・・・!」

 クラブまで6軒ほどの場所まで来たとき、舗道の真ん中に、男が立っていた。ぼくは、目線を下げなくてはいけなかった。なにしろ、うちのビッチよりもさらに背が低いんだ。毒薬を飲んでしまった黒人の赤ん坊みたいに見える。頭だけがお化けカボチャみたいに大きい。声は、チンチンの先っちょに管を入れられたら出してしまうような、すっとんきょうな感じ。

 男は、キーキーと歌いはじめた、「ピカピカだ、ホイ、だんな、あんたの手のひらもらえたら、じぶんの手のひら捨てたいな、ぼくの汚い手のひらで、コイン1枚、ピカピカだ、ホイ、ゆっくりしてってくださ〜い♪」

 ぼくは、じぶんの靴を見た。ばっちり磨かれている。でも、小人が指さす磨き台のほうへ、ふらふらと歩んだ。ビルとビルのあいだにある、路地の入り口に置かれている。赤いキャンバス布はボロボロで、風に吹かれていた。

 腰かけると、小人はぼくの靴にポリッシュを擦りこみはじめた。その背中のむこうに、別の靴磨きの台が置かれていて、痩せた男が座っていた。500ドルはしそうなスーツを着ている。香水の匂いをぷんぷんさせている。

 やがて、まばゆいばかりの黒に塗りなおされたデュッセンベルグが、音もなく大通りへ入ってきたんだ。その車は、ぼくの目の前に駐車した。ほろは降ろされていた。あまりにも見事だったから、三度もじろじろと眺めてしまった。

投稿者 Dada : June 25, 2005 06:00 PM