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June 21, 2005

DRILLING FOR OIL 1

 高架を走る電車のせいで、夜中に部屋は半ダースほども揺れた。やがて、べとついた空は白んできた。ぼろぼろのカーテンから青灰色の光が射しこんだ。

 彼女は、ぼくの腕に抱かれていた。あごの下に茶色くなった血の粉がこびりついている。肌から伝わってくる鼓動は、まるで猟犬に囲まれたヤマネコみたいに波打っていた。ストリートから氷売りの馬の蹄のポクポクという音が聞こえる。ワゴンのキーキーと鳴る音にもリズムがあった。

「アイスマン☆彡 アイス☆彡 100ポンドで20セント☆彡 50ポンドは10セント☆彡 スイカを冷やそう☆彡 お肉を冷やそう☆彡 お好きなときにチッタリングが食べれるよ☆彡 アイスマン☆彡 アイス☆彡」

 ぼくは思った、「アイスマン、がんばってるな。ぼくもこのストリートでがんばろう。プレストンの親父が言ってたとおり、かなり酷い目に遭いそうな気がするけど、ここに決めたんだ。このストリートには金があるから。

 彼女に仕事の話をするときは、クールに、自信たっぷりにやろう。口ごもったり、まだピンピンの勉強中だってことがバレないようにしなくちゃ。刑務所のピンプたちからハッスルした言葉を、完璧に思い出さないと・・」

 そして、言った、「フィリス、きのうの夜、ダディはストリートを調査していたんだ。まるで詐欺師だらけの川を泳いでいる感じだった。おまえ以外のビッチだったら、外で金を稼いでこいなんて言わないと思う。ベイビー、それだけ信頼してるってことさ。

 どんなピンプやビッチにも、騙されないよな。じっさいの話、おまえならイカサマにあってる暇がないほど金を稼ぐことができる。これは議会で証言してもいいくらいだ。ちがうかい? ちょっと言いすぎ?」

 彼女は言った、「ダディ、あたしはもう大人なの。どんなピンプもあなたからあたしを奪うことなんてできない。あたしはダディのものなの。これからもずっとそう。ハニィ、あなたの小さな犬になって、何百万ドルも稼ぎたいよ。

 もし、あたしたちがリッチになったら、あたしの娘のゲイも一緒に暮らしてもいいでしょ? まだ2才なの。可愛くて、人なつっこいの。ダディも好きになるよ。セント・ルイスの叔母さんが育ててくれてるの・・」

 そのとき、ぼくは思った、「うわ・・おれは、完全なる、まぬけピンプだな。一週間も一緒にいたのに、いきなりここまでビビらされるとは。ガキがいんのかよ。聞いてないって。最悪なことに、この女がどういう人間か、まったく聞いてないからな。ほとんど何も知らないかも。最初に会ったバーでオカマに聞いたことがすべてだ。それで満足してた・・。

 ヤバイな。そういえば、刑務所のピンプたちが言ってた・・・

『もっとも重要なことは、新しいビッチが、何に対して怒っているのか、これを知ることなんだ。彼女のあたまの中を覗いてみるんだ。最初にセックスしたのは誰なのか? 父親か? 他の人間か? どんな人生を歩んできたのか?

 彼女自身の言葉で話してもらうんだ。もし、生まれたころまで想い出せたら、バッチリだ。すべてのピースを組み立てていく。すると、その女とは2日しか続かないのか、2年くらい付き合うのか、だんだん見えてくるはずなんだ。

 何も聞かなかったら、暗闇にいるようなものさ。必要なら、泣かせてもいい。とにかく話を聞くんだ。深い眠りから呼び覚ましてあげるんだ。そして、最後にじぶんの経験と照らし合わせて、チェックしろ』 

投稿者 Dada : June 21, 2005 06:00 PM