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June 04, 2005

A DEGREE IN PIMPING 9

 ぼくは、もし刑務所で身の回りのピンプたちの言葉に耳を傾けてなかったら、と思うとぞっとした。たぶん靴磨きのニガか、荷物運びとして、白人の世界の高い壁に阻まれながら残りの人生を過ごすことになっただろう。娼婦こそが、禁じられた白人の世界から金を巻き上げる唯一の手段なのだ。

 ママは若いお客の髪にアイロンをかけていた。彼女はぼくが店の前で見知らぬフォードから降りてくるのを見た。小刻みに手を動かしてコームをかけながら、ぼくを呼び止めた、「ちょっと、心配させないでよ、どこに行ってたの? あのかわいらしい車は何処で手に入れたの? 仕事はみつかった?」

 ぼくは答えた、「友だちが貸してくれたんだよ。たぶん、このまま売ってくれると思う。そいつと一緒にいたんだよ。熱が出たみたいでさ。仕事は明日、必ずみつけるよ、、」

 ママは、「オーヴンにローストがあるから。ひとまずそれでも食べなさいよ。本当に友だちと居たの、まだペッパーと付き合ってないか、心配なのよ」

 ぼくは、「ペッパー? あんなのオバサンだよ。ぼくは若くて褐色の肌の女の子が好きなんだよ。ペッパーは黄色だよ」

 若い女の子の客は、目をキラキラさせてぼくを見た。にっこりと笑っている。ぼくもウインクして舌をぺろっと出してみせた。それが伝わったみたいだった。顔を赤らめている。ぼくはそのコを頭の片隅にファイルした。

 そして再び舗道へ出て、階段を駆け上がり、ローストをたいらげた。

 それからぐっすり眠った。夕方の5時半に目が覚めた。下へ降り、フォードへ乗り込んだ。そして七番街とアップル街へ向かい、駐車した。5分か6分もすると、フィリスがこちらへ歩いてきた。1ブロックほど向こうにいる。ぼくはエンジンをかけ、走り去った。

 娼婦をコップしたのは間違いない感じだった。真夜中に戻ってみると、彼女はへとへとに疲れていた。車に乗ってきた。

 ぼくは言った、「・・で、どうだった?」

 彼女はおっぱいの谷間に手を突っ込み、汗で湿った札束を取り出した。55ドルあった。「もうへとへと、体も汚いし。肩とお尻が痛いよ。このへんで今日は止めていい、ダディ。パストラミを食べてコーヒーを飲んで、お風呂に入りたいよ。昨夜、どれだけ蹴っ飛ばしたかわかってるでしょ、、」

 ぼくは言った、「ビッチ、この通りは二時まで車が通るんだよ。サンドイッチとコーヒーは買ってきてあげるから。風呂は二時まで待ちな。また蹴るよ」

 彼女はため息をつきながら言った、「わかりました、言う通りにする、、」

 ぼくはユダヤ人のやってるコーヒーの屋台へ連れて行ってやった。彼女は木のベンチの上でずっと体をよじっている。尻がかなり痛いのだろう。黙ったままサンドイッチとコーヒーを食べ終えた。

 そして言った、「ダディ、誤解しないでね。Hのときに軽くぶたれたりするのはちょっと好きだケド。酷いのはお願いだから止めて。死んじゃう、、」

 ぼくは、「ベイビィ、とにかく金を全部出してりゃいいんだよ。あと、ぼくを騙そうとしないこと。昨夜は金を隠そうとしただろ。ぼくの決めたルールを破らなければ、心配することないよ。気持ちよくさせてあげるよ」

 こう言って、また大通りへ連れて行った。彼女は車から降りた。舗道へ歩き出すやいなや、白人のカモが二人、車を寄せてきてぶつかりそうになった。まさに彼女はまっ黒な「金のなる木」に違いなかったよ。

 次の日、ぼくは彼女を連れて役場へ行った。ものの10分で用事は済んだ。フォードの代金として役人の前で渡した300ドルを、彼女はすぐに返した。これで法的にもオーケー。彼女は文句を一言も言わなかった。尻のあざも消えてきて、縛られるセックスの新しい味も発見していた。こうして、その週はバッチリ稼いでくれた。ぼくの手元には700ドルの札束が残った。

 日曜日の夕方、ぼくは彼女の部屋の北極熊のラグその他の荷物をフォードのトランクに詰めこんだ。

 ママの店がよく見える角に車を停めた。そして自分の荷物も取りに行った。荷造りしているところを、ママに見つかった。すぐに彼女の目に涙が溢れだした。ぼくを掴み、強く抱き締めた。涙はさめざめと流れていた。

 泣きじゃくった、「あんた、ママのことをもう愛していないの? どこへ行こうっていうの? あんたのためを思って素敵な部屋も用意してやってるのに、なんで行くのよ? いよいよ、もう会えない気がするんだよ。置いてかないでおくれ。おにいちゃん、ママを悲しませないで、、」

 ぼくは彼女の言葉を聞いていた。でも、その悲しみも聞こえないほどに遠くへ来てしまっていた。そんなことより、フォードの中で待っている淫乱で黒い金のなるビッチのことを思い浮かべていた。今夜、街の大通りへ最初に到着するピンプになりたくて仕方がなかった。

「ママ、愛してるよ。知ってるでしょ。街に住んでいる金持ちのクラークの仕事を見つけたんだよ。このへんの連中は、ぼくが前科者だってみんな知ってるよ。だから行かないと。素敵な家と部屋を用意してくれて、ありがとう。刑務所にぶちこまれてるときは、ママのことを天使みたいに思ってたよ。また会えるよ。約束するよ、必ずここへ戻ってくるから。本当だよ、ママ」

 そして彼女の腕をどけた。バッグを持ち、階段を駆け下りた。舗道へ出ると、窓を見上げた。ママは握りしめたこぶしを噛み、張り裂けそうに泣いていた。ぼくのシャツは、彼女の涙で濡れていた。
 
 つづく

投稿者 Dada : June 4, 2005 06:25 PM