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June 01, 2005

A DEGREE IN PIMPING 6

 ぼくらは、出口へ向かって歩き出した。背中をちらりと見た。象みたいな男がじっとこちらを見つめていた。舌でべろべろと歯を舐めていた。鼻がぱかぱかと息を吹き出していた。

 舗道を歩きながら、彼女は黄色い36年型フォードの鍵をぼくに手渡した。幸運なことに、ぼくは刑務所の洗濯トラックで運転には慣れていた。フォードのエンジン音はまるでいい感じの音楽みたいに響いた。ピンプっぽい車ではないけれど、都会へ繰り出していくにはこれで十分だった。

 部屋まで運転した。途中で女が悪戯してきた。ぼくを《ジョージア》する準備運動をはやくも開始してきた。耳が弱いと思ったのか、このトカゲ女は耳のおくのほうまで何度も何度もチロチロと舐めていた。平気だったけれど、この時点で彼女に体に触れさせるべきじゃなかっただろう。

 まさに、ダメな男どもがハメられる罠みたいな部屋だった。発光する白い星のシールが天井にぺたぺたと貼ってあった。青い照明がひとつだけあった。ロダンの彫刻《口づけ》のレプリカの背後からセクシーに灯りが差し込んでいた。ベッドの上には鏡がある。ベッドをはさむ壁にも鏡があった。青いソファの前には白く光沢のある北極熊のラグが敷いてあった。

 ぼくは、ソファに腰掛けた。女はポータブル・プレーヤーに針を落とした。デューク・エリントンの《ムード・インディゴ》だった。

 そのあと、ちょうどひとり分くらいのスペースの小さなバスルームへ入ってしまった。ドアは半分、開いたまま。タオルで脇の下や股間をごしごしと洗っている。裸だった。ぼくの若さを今から美味しく味わおう、という感じ。ぼくは、彼女が金をどこへしまっているのかが気になっていた。

 やがて《インディゴ》に合わせてベリー・ダンスしながらベッドへと近寄ってきた。まるでワトゥシ族の王女のようだ。なまめかしくカーヴした体、黒く輝いている肌。こんな種類の状況のときすべき会話を、ぼくは糞ったれな頭の中からサーチしているところだった。

 刑務所のピンプたちが言っていたこと:「あのな、最高のプッシーが目の前にあるとき、そういう時こそ、一歩下がるんだよ。『おれにはチンコはついてませんよ?』っていう風に振る舞うんだ。そして金のことだけを考える」

投稿者 Dada : June 1, 2005 06:25 PM