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May 14, 2005

SALTY TRIP WITH PEPPER 5

 刑務所にぶちこまれる以前、ぼくは《涙目のショーティー》を《ダイアモンド歯のジミーじいさん》の小屋で目撃したことがあった。おっかなく見えたものだけれど、一年半近く経った今、生きる屍みたいになっていた。

 金曜日の真夜中ごろ、彼を見つけた。ぼくを見ると、舌で口の中を叩いて音を立てるんだ。ほら、イタズラ好きの子どもが耳にピンを入れるときにさせるような、ヘンな音。そして、こう言った、

「よーし、おれの死んだお袋の、尻にキスしてこい、おまえのピンピンが上手くいってないならよー。ビッチのペットになってんじゃねーよ、ピンプのフレット(いらつかせるタネ)にもなってんじゃねーよ・・」

 この糞ったれのジャンキーは、さっそく、ぼくを馬鹿にしてきた、屈辱的な言葉を投げて凹ませようとしてきた。ぼくみたいな、ピンプになりたがってる若いチンピラたちは、ピンピンのアドバイスが欲しくてうずうずしてるってことを、彼みたいな古いピンプはよくご存知なんだ。

 ピンプはね、ピンプになりたてのころから、何万回も失敗を繰り返して学んできた、《ビッチってどういうものか》を全部覚えてるんだ。その答えは、最低な試練とエラーのなかから、ゆっくり見えてくる。さもなければ、すでにピンピンの謎を解いて、自分なりのピンピンのレッスン本をもっている、数少ないピンプたちのお尻にキスして、貴重なピンピンを教えてもらうしかないんだ。

 勿論、もっとも賢いピンプでも、何千年もかかる道のりだよ? それに全ての答えは絶対にわからないよ? どんなピンプでもね。

 《涙目のショーティー》は、かなり年上だから、過去にたくさんの問題にぶち当たって、そのうちのほんの少しを、解決してきたんだ。そうはいっても、ぼくなんかより何千倍もピンピンの答えを知ってるんだ。だから、ぼくは自分をコントロールした。絶対に怒らなかった。そんなことをしたら、この人は簡単にぼくを追っ払うから。

 ぼくらは、空き家の前にしばらく突っ立っていた。やがて、彼は首をふって「来い」と命じた。こうして、ぼくらは彼のみすぼらしくなったビューイック(米の高級車)にむかって歩きだした。

投稿者 Dada : May 14, 2005 06:45 PM