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May 21, 2005

SALTY TRIP WITH PEPPER 11

 お金が欲しくてしょうがなかった。ペッパーがぼくやぼくのチンコを利用した仕返しに痛い目に遭わせてやりたかった。ショーティーはトラップがセットされたことを告げた。ペッパーがまた痺れを切らしてぼくに電話してくるまで、待っていればよいということだった。ぼくが呼び出してはいけないのだ。電話がきたら、アーケードのはずれの荒廃した地区にある、古いけれどエレガントなホテルのバーへ連れ出すよういわれた。

 そのあと彼に電話をかける。彼女の電話から二時間以上経ってからフロントへ行き214号室の鍵をもらう。バークスデールという名前を使う。この名前は、ぼくが百才まで生きたとしても忘れることはないだろう。

 計画を説明されてからちょうど三日後、ペッパーから店に電話が入った。8時55分、閉店の5分前だった。ぼくが電話にでた。体が火照ってしょうがないみたいだった。いつものように部屋へおいでという。店を掃除しなくてはいけないし、ボスのためにダウンタウンの郵便局に小包を持って行かなくてはいけない、と答えた。そして、もし外出できるなら、お洒落をしてホテルのバーで10時半に落ちあおうよ、と誘ってみた。彼女は賛成した。

 すぐにショーティーへ電話。彼は、セックスが始まったらペッパーの顔がベッドの頭の方へ向くよう仕向けろという。バーへ行きラム・コークを飲みながら彼女を待った。ドアからペッパーが入ってきたとき、何だか彼女にすまないような気持ちがした。すごく清潔で無垢な女の子のように見えたから。何人もの男に乗られている汚い牝犬のイメージなんてまったく浮かんでこなかった。

 個室をしてもらい時計がよく見えるようにした。あらためてペッパーの美しい顔を眺めた。彼女の体はまるで《切り裂きジャック》みたいだったけれど、心の中にはすごく優しいものを秘めていた。わかる人はわかると思うんだけれど。彼女は食事をする場所にはうるさかった。だから、中へ案内されるとき、ぼくの手際の良さをちゃんとチェックしていた。

 23時、《バークスデール夫妻》は部屋の鍵を手にとった。

 ワイアット・アープだってあの部屋を見たらぶっ飛んだろうな。

 やたらと家具を詰め込んである部屋だった。ぴかぴかした真鍮のベッド、巨大な天使ケルビムが壁に描かれ、ギデオン聖書がベッドルームの大理石の卓の上に置かれていた。小型に作られたキッチンが、どの部屋にもいちいち装備されている。料理をしに来たわけじゃないから、別に何でもよかったけど。ベッドから見上げた壁には2人の天使が大きく描かれていた。目ん玉は穴になっていて、左右にポップした口の中に間接照明が取り付けられていた。

 そして、ベッド・インした。ショーの始まりだった。ハァハァと股間を熱くしたジョーカーが、壁に開けた覗き穴(たぶん、天使の目玉かそこらだろう)からこのお祭り騒ぎを鑑賞しているんだろうな、なんて思っていた。

 ペッパーは、午前1時半にぼくを車から降ろした。ショーティーがピンピンしている場所から2ブロックほどのところだった。何だか、気分がよかった。今夜の楽しい仕事の報酬五枚をさっそく貰いに行くつもりだった。何でも好きなモノを盗んでいいというライセンスを手にしたような気分だった。

 ビューイックの側まで来ると、ショーティーのとんがり頭が見えた。歩きながら、話にでてきた東海岸のブラックメール専門ハスラーのことが浮かんできた。ペッパーが賭けの当たり券をすり替えることで雨のように降ってくるであろう、札束のことも。どうやってそれを手のひらに受け止めようか、なんつって。

投稿者 Dada : May 21, 2005 06:10 PM