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May 03, 2005

FIRST STEPS INTO THE JUNGLE 18

 ぼくは、彼らの話していたことについて考えながら、横になって天井を見ていた。そして、オスカーは無事に刑期を終えることができるだろうか、と考えた。あいつは、あのボロ家の両親のもとへ帰れるだろうか。もしかしたら、頭がおかしくなって、病院へ送られるかもしれない。

 オスカーは、ぼくと同じく懲役1年を言い渡されていた。この哀れなキリスト教信者は、体の不自由なアイリッシュの女の子と付き合うようになったのだという。彼女は、まだ十七才だった。ダウンタウンの劇場にあるバルコニーの暗がりでいちゃついているところを、その女の子の知り合いの子供に見られてしまったそうだ。そいつが家族に報告すると、すぐに両親にバレた。かんしゃく持ちで、偏見のかたまりのような両親だった。

 女の子は折檻され、黒人のオスカーがすでに彼女の禁断の谷間をトレスパスしてしまっていることをしゃべってしまった。ただちに強姦罪の容疑が生じて、このニガはいま、ぼくの隣にぶち込まれてるってわけなんだ。

 ぴしゃりっと、ぼくは太ももをはたいた。虫に刺された感じがしたから。毛布をめくってみた。神様、勘弁してくれよ、虫、キライなんだから。南京虫を潰してしまった。でも、そいつはただの偵察隊にすぎなかった。その1時間後、また看守がまわってくるころには、次の部隊が壁伝いにパレードしていやがったよ。

 ぼくは、目をぱちくりさせたまま朝までじっとしていた。ぴかぴかに見えたリンゴの中身は、こんなだったわけだよ。

 さて、十日目には、いろいろと審査を終えて、ぼくたち新入りはこの房から出て、刑務所長の事務所へ面談に行くことになった。ぼくの番はすぐにまわってきた。所長の部屋の外にある長いベンチから立ち上がり、そそくさと扉から入っていった。机の前に立つときには、ひざがものすごくがくがく震えていたよ。

 所長はもう白髪のほうが多かったが、口汚くて、体が大きい、ブルドッグのような男だった。深く沈んだ眼孔の奥に、小さな黒い炎がめらめらと揺れていた。

投稿者 Dada : May 3, 2005 06:10 PM