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May 02, 2005

FIRST STEPS INTO THE JUNGLE 17

 夜の九時には消灯した。1時間おきくらいで看守が巡回してくるんだ。檻ごしに懐中電灯の光を差し入れて監房を覗き込んでくるんだ。ぼくは、ここに囚われている連中の中に、未成年の女とのピンピンで捕まったやつはどれくらいいるのだろう、なんて考えていた。

 すると、部屋の奥にいる白人の《リピーター》が小さな声で新入りと喋りはじめたので、聞き耳を立てた。ぼくの隣に座ったオスカーも、ぶつぶつと祈りの言葉を唱えるのを止め、同じように耳を澄ましている。

 こんな事を話している、「ロッキー、ところで、あの看守野郎にいったい何があったっていうんだ。なんであいつ声を出さないんだ。なんで何でもかんでもムチで命令するんだろう」

 すると《リピーター》は、「あの糞ったれは有名なキチガイなんだ。十年も前に、喉がスクリュード・アップして声が出なくなってるんだ。もう二十年くらいここにいる古株だよ。なんで喉がつぶれたか知ってるか」

 円形の懐中電灯の灯りが近づき、そいつが再びまわってきたから、彼らは黙りこんだ。通り過ぎると、こんな風に続けた、「あいつは、声を失う以前は《だみ声》って呼ばれてたんだ。あいつの怒鳴り声は刑務所のはしからはしまで届くって有名だったんだ。性格は最悪で、看守たちのキャプテンみたいなやつだった。この二十年で白人を二人、黒人を四人、あのムチで殺してるんだ。とにかくニガが大嫌いらしくて」

 オスカーは、また狂ったように早口で祈りはじめた。《リピーター》の話を聞いていて怖くなったのだろうか。新入りは、話の続きを聞きたがっている。

「なるほど、ロッキー。あいつがラフな奴だってのはわかったよ、それで、どうして喉がスクリュード・アップしたんだい」

「あのな、あいつは女房とガキを、囚人を扱う以上に酷く扱ってたんだよ。あまりの酷さに奥さん、発狂しちゃって。ガキを撃ち殺したあと自分も頭に穴をあけて死んじゃったんだ。女の子はたったの二才だったらしいぜ。遺書には《あんたの怒鳴り声は酷すぎて頭がおかしくなりました。サヨナラ》って書いてあったらしいんだ。この刑務所の精神科医によれば、女がくたばったせいで、あの《怒鳴り声ボックス》は声が出なくなったんだってさ」

投稿者 Dada : May 2, 2005 06:00 PM