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May 27, 2005

A DEGREE IN PIMPING 2

 それから二、三日後、悪夢は白昼夢となってふたたび現れるのだった。突然、心の傷口に失望と後悔の鋭い矢が突き刺さるのだ。だから、ハイになってごまかした。麻薬は、見えない場所から襲ってくるその矢を防いでくれる、鋼鉄の鎧のような気がしていた。

 何週間か休息をとり、ママの手料理で、ぼくは癒され、肌の色もよくなり強さが回復してきた。そして或る土曜日、ダランスキーに逮捕される前に買ったスーツとスプリング・コートでキメ、街へ出た。

 刑務所のピンプたちから教わったことをしっかりと覚えていた。曰く、最初のステップは速攻でキメること。都会のシーンを攻めるためには何はともあれ娼婦が必要だった。ピンピン事始めってところだった。

 二十になって何ヶ月か過ぎたくらいだった。もう子供みたいな顔つきではなくなっていた。188センチ。凄まじい減量をしたグレイ・ハウンドみたいに痩せ細っていた。《711クラブ》というアンダーグラウンド・バーへ行った。そこはピンプ、娼婦、泥棒たちで溢れかえっていた。

 ぼくはコカ・コーラを飲みながらバーの端っこにもたれかかっていた。隣に見覚えのある、ゾウみたいな男がいたので向き直って声をかけた。ぼくは《涙目のショーティー》と《パーティー・タイム》の消息について質問した。

 彼は頭をこちらへ向け、大きな目玉でぼくの頭のてっぺんから爪先まで見回すと、びっくりした様子だった。ぼくを覚えていたみたいだった。

 彼は言った、「一ヶ月くらい前かな、おまえのお友達の《パーティー》は州刑務所に六十日間の禁固刑になったよ。タイトなプッシーの女があいつを怒らせたんだ。怒りすぎて、電車が通れるくらい鼻の穴が広がってた。女の尻を思い切り蹴っ飛ばしたんだ。その蹴りが完全に入っちゃって、お尻の穴から靴をはずすために女は病院に行ったみたいだね」

 親指の爪で鼻くそをほじくるのをやめ、続けた、「老いぼれのショーティーはセイント・ポールのヤク中の溜まり場で死んだよ。相当ピュアなやつ、イッったみたいで。息を引き取る前に、『これマジでヤバイ、これがおれが今までキメたヘロインの中でいちばんヤバイって信じない奴はおれの死んだお袋の尻にキスしてこいや』と宣言したのを、聞いた奴がいるんだ」

 そして、また鼻くそをほじくりだした。すると、なよっとしたバーテンダーが寄ってきて、ぼくの前に新しいコーラの瓶を置いた。ぼくは眉毛を曲げてクエスチョンマークの形にしてやった。

 するとバーテンは言う、「真ん中の方にいるチビッこいまっ黒なビッチが、あんたに一杯おごってくれっていうんだよ」

投稿者 Dada : May 27, 2005 06:50 PM