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May 26, 2005

A DEGREE IN PIMPING 1

 出所してミルウォーキーへ帰り、ママとストリートと再会したものの、ぼくの心の中にはピンプになることしかなかった。刑務所では毎晩のように夢を見ていたんだ。非情な夢ばかりだった。

 と同時にファンタスティックな夢だった。ぼくは自分が巨人になり、すべてを可能にする神になったように感じていた。服もデカくなり、下着は虹色に光り輝くシルクとなり肌を包み込んだ。

 スーツは、宝石を散りばめた金色のスパン・コール。靴はきらきらした銀だった。短剣のように爪先がとがったやつ。足下には哀しい目をした娼婦たちが何人も跪いているのだった。

 かすみの中から、巨大な杭が突き刺さっているのが何本も見える。化粧をした女たちの表情は恐怖でみるみる歪んでいった。泣き叫び、その鉄の杭でわたしたちを殺さないでと命乞いをするんだ。

 まるで気が違ったみたいにぼくは大笑いする。ニヤニヤしながら槍のような爪先で彼女たちの股ぐらを思いっきり蹴っ飛ばすと、尻から鮮血がほとばしった。女どもは死にかけのニワトリみたいに地面にへたりこんでいる。

 そして、最後には血の海の中に倒れこみまっぷたつになってしまう。

 目が覚めると、心臓は地震のように震えているのだった。悲惨な光景を目にしてしまったスリルで汗が太ももにべっとりとついているのだった。

 また別の悪夢も見た。自分がすごく小さくなっている。光の海の中に巨大なキリストがいて、ぼくの頭上で威圧しているんだ。怒りに染まった目玉は青い太陽のように発光している。プラチナの絹のような髪の毛は逆立っている。

 と、ピュアな白い光が人差し指から発せられる。女を指差しているのだ。背中はこちらへ向けられたまま。神はぼくに荊のついたムチを手渡した。そして夏の稲妻のようにぼくに命令した、「あの罪深い女を罰するのだ、あの女の体の中にいる悪魔を討ち滅ぼせ、これは神の命令だ」

 ぼくは意志をこめて両手でムチを握りしめる。力を振りしぼって女の背中へめがけて打ち下ろす。彼女はそこに立ったままだ。裂けた背中の肉から血が流れ出す。やがて女は血だまりに膝をつき崩れ落ちる。

 そして苦痛に歪んだ表情でこちらを見る。ママだった。ぼくは汗びっしょりになり、震えだし、大声をあげる。怖くてしょうがなかった。永遠に続くような気がする悪夢だった。必ず最初から最後までストーリーを見なければ目が覚めないのだった。つまり、ママを殺してしまうまで続くのだ。

投稿者 Dada : May 26, 2005 06:00 PM