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April 18, 2005

FIRST STEPS INTO THE JUNGLE 5

 息をはずませながら逃げているとき、胸がどきどきして破裂しそうだった。数ブロック離れたところで待っていると、数分後にパーティーもやって来た。辺りを見回すと、人差し指と親指で《問題なし》のOを作ってみせた。

 それから何人か引っ掛けた。強盗をしなきゃならないほど金のある奴は一人もいなかった。シンデレラじゃないけど、0時半くらいまで働いたあと、ドレスを脱いで隠し、その日の取り分の七十ドルを受け取ると、家へとダッシュした。ママはおれが帰った三十分後くらいに戻ってきた。

 さて、他のすべての物事と同じように、《マーフィー》にも、色々な種類がある。だが、もっともリアルな《マーフィー》は、金そのものから価値を引き剥がしてしまう。《マーフィー》に熟練した者は、カモ自身に金の価値を決めさせるのだ。カモ自身に女と金の関係を測らせ、決めさせ、最終的に金はどんどんと価値を失くしてしまい、有り金全部は勿論、身につけた宝石までも向こうから差し出させるのが、本当の《マーフィー》になる。

 獲物が寄ってきて、どこへ行ったら女が居るか訊かれたら、マーフィー野郎ならこう答える、「旦那、見てよ、2ブロックも離れてないすぐそばに立派な屋敷があるから。ねえ、そこに見たこともないような可愛くてフリーキーな女どもが居るからさ、中でも、いちばんヤバイやつは、猿にバナナを渡したときみたいにしゃぶりついてくる女なんだから、ゴムみたいなマンコでね、百種類くらいの体位でハメたりハメこんだりできるから」

 この時点で獲物はその屋敷へ行ってヤリたくてタマらなくなり、プレーヤーに対し教えてくれるだけじゃなくてそこへ連れて行ってくれと言い出す。

 マーフィー・プレーヤーは、その欲望をさらに駆り立てるべく《前戯》をしてやるのが仕事だと言っていい。こう言うんだ、「旦那、そんなに焦らないでくださいよ。ただね、屋敷を仕切ってるケイト夫人は、上流階級の白人しか中に入れなくて、ニガや貧乏人は無理なんすよ。ほら、医者とか弁護士とか政治家とかさあ。旦那は見たところ儲かってそうだけど、そこまでじゃないでしょ?」

 こんな風に挑発してやることで、獲物のほうはフックされる準備が整う。他の糞ったれでも辿り着いてる女の所まで自分も行くために、自分を自分以上のものに見せようとする。二十ドルじゃとても足りないだろうなと自分で勝手に思いはじめる。数あるでたらめな話の中でも「限定」ってものほど魅力的に映るものはないんだよ。

 さらに完璧にしておくために、プレーヤーはやつに語りかける、「旦那、旦那のことも旦那が仰ってることもぜんぶ信用してますって。じっさい、旦那のことが気に入ってるからさ。でもちっとは俺の立場にもなって考えてみてくださいよ。まず俺が旦那を信用したんです。それで秘密の屋敷のことを話したんです。そうでしょ? じつは、もう何年もケイト夫人のところで働いていて、今は外で本当にいい客だけをフックアップする、役回りをやってるんです。ケイト夫人とおれで中の質をタイトに保つシステムを回してるわけです。てことで、まあ、いいや。あなたならケイト夫人のルールを守ってくれそうだ。じゃ行きましょ。スリル満点くんのセックスへお連れしますよ」

 そうして、屋敷で待ち受けている卑猥なことのデティールをあの手この手で巧みに語り、信じ込ませながら、マーフィー・プレーヤーは予め用意してあったいかにも妖しいアパートメントへ獲物を誘導する。玄関で、それとなくだがはっきりとした口調でルールを説明し、納得させる。つまり、ケイト夫人と会う前に、どれだけイチモツがギンギンでもとりあえず金目の物は全部ここへ預けていって欲しいと言う。これは夫人が決めた掟なのだと。

 ケイト夫人は、娼婦など雇わないし、絶対に信用しない。娼婦などと遊ぶのはバカだけなのだ。そして、獲物はバカじゃない。本当に?

 そういう訳で、プレーヤーが茶色い封筒を差し出すと、獲物は尻のポケットに突っ込んである金をきれいに数えて全額そこへ入れ、自称「ケイト夫人の外回りのマネージャー」に渡す。プレーヤーは落ち着きを払ってそれに糊をしてシールでふさぎ、スリル満点くんのセックスが行われているあいだに、万が一窃盗が起きないともかぎらないから、私が安全にキープしておきますよといった表情を浮かべながら内ポケットにしまう。

 間抜けな野郎はバブリーな雰囲気でひょいひょい階段を駆け上がっていく、今や下で「お金を守ってくれている」ニガのことが大好きだ。光輝く金メッキのプレートを渡しながら、彼は何と言っていたっけ、「さあ、ハリィの旦那、これが合図のプレートですよ。何かもバッチリすすんでますよ。もしよかったら、下に戻ってきたら一杯奢ってくださいよ!」

 獲物はこの時点で2ストライク取られている。完全に「殺される」まであと一つといったところだろう。最初のストライクは何だったか。溜まりに溜まった性欲を黒人の肉体で解消しようとしたことだ。そして次は、その肉体を手に入れる前にマーフィー・ダイアローグをかましてくる黒人のインテリジェンスが、自分を余裕で上回っていることを理解する能力が根本的に欠けていたことだ。

投稿者 Dada : April 18, 2005 07:35 AM