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April 29, 2005

FIRST STEPS INTO THE JUNGLE 15

 輸送車が刑務所へと続く一本道へ入ったとき、お腹の底から恐怖がこみあげてきた。それまで、車内は、ぼくの隣に腰掛けている太った黒人以外、二十人ほどの囚人たちが大声で喋る冗談や笑い声で、溢れかえっていたのだ。

 ところが、そびえたつ灰色の塀を通過すると、胸ぐらを巨人に殴られたみたいに、みんなが黙り込んでしまった。《リピーター》たちですら静かになった。彼らが話していた恐怖の体験談は、本当なのかもしれないと、ぼくはその時になって信じはじめた。

 スコープの付いた強力なライフルで武装した監視員たちがいるゲートを三つくぐると、三つの囚人棟が、まるで太陽の日差しの届かない世界でおこなわれる葬式の参列者みたいに建ち並んでいた。産まれて初めて《ロウ》な恐怖がじぶんの中に生じたのを感じた。

 そのとき隣に座っていた太ったニガは、高校のときの同級生だったんだ。彼は熱心に教会へ通っている男だった。

 そいつの興味は教会と神と聖書のことだけだったから、なかよくした記憶は一切ない。煙草も吸わなかったし、女も博打もまったくだった。あり得ないくらい堅物な男だったんだ。

 オスカーって名前で。今も目を閉じてぶつぶつとひたすら祈りの言葉を唱えているところを見ると、堅物っぷりは変わっていないみたいだった。

 だが、その祈りも、バンが刑務所の入所管理棟に到着して乱暴にストップしたことで断ち切られた。ぼくらは追い出されるように下車し、手錠をはずすために一列に整列させられた。二人の看守が両側から一人ずつの手錠をはずしていく。列の真ん中にむかって進みながら、一人一人の囚人の耳元に囁いている、「大人しくしてろ!一言も話すな!」

 蛍光灯のやたらと明るい部屋へ移動していくとき、オスカーはぼくの前でがたがたと震えていた。ラフな椰子の木のカウンターが12ヤードくらい続いていて、緑と灰色の格子模様の床は皿のようにぴかぴかだった。勿論、これはリンゴでいえばつるつるした皮の部分みたいなもので、刑務所の中身は腐り切っていて食えたものじゃ無いんだけどね。

 カウンターの向こうには、生っ白い肌をした受刑者たちが並んでいて、ぼくたちが通り過ぎるたびに、体の大きさをざっくり測って、キャップから革靴にいたる囚人服を手渡してきた。

投稿者 Dada : April 29, 2005 05:30 PM