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March 30, 2005

FOREWORD 2

 ホテルの外のカーブに沿って、ホグはゆるゆると進んでいく。ここには新しく入った美しいホー、キムの部屋がある。あーあ!これで最後の女を送り届けたことになる。さっさと自分のホテルへ戻って、コカイン、キメて、独りっきりになれたら、どんなに嬉しいか。ピンプは独りがいちばん。ピンプの心は、女たちの裏をかく嘘と狡猾さで満たされているから。 

 キムを降ろすと、「おやすみ、ベイビー、今日は土曜日だから、全員、昼までにはストリートへ来いよ。夕方7時じゃない。正午だよ。5分遅れても2分遅れても駄目、正午きっかりに下りておいで。理解したかい? ベイビー」

 すると、彼女は答えない。その代わりにおかしなことをした。通りを横切って回りこみ、おれの窓の方へ寄ってきた。そのまま長いこと、曖昧に曇った朝焼けの中で、美しい顔をこわばらせて、こちらを見下ろしていた。

 やがて、クリスプなニューイングランド訛りでこう言った、「今日はあたしのベッドへ来ればいいのに。月に一晩も来てくれない。だから、たまには戻ってきてよ、だめ?」

 ……ピンプは、セックスで金を儲けたりしない。ピンプは、女に対して言うべきことを言ってやることで金を儲ける。それも、完璧な瞬間に、完璧なタイミングと速さで。こんな風に誘われて、この美しいビッチに何と答えるのか、残りの4人の女たちが耳を澄ましていることを、おれは知っている。チームの中に、際だって美しいビッチがいる場合、ピンプ・ゲームはさらにタイトになる。女たちはじくじくとピンプの弱みをついてくるから。

 恐ろしい表情を装って、死神みたいに低い声で、こう言ってやった、「ビッチ! 気でも狂ったかな? おれの家族のビッチには、絶対に指図したり命令したりさせない。さあ、臭くて黄色いお尻をさっさと上の階へもって行ってくれ、お風呂に入って眠ってくれ、言った通り、正午にストリートへ来るんだ」

 でも、ビッチはまだ立っている。怒りで目を細めている。この女は、おれの所へ来る前、ストリートで男を手玉に取るようなゲームをしていたはずだ。そう直感した。十年前の馬鹿さだったら、ホグから降りて此奴のあごを殴り、尻の穴に足を突っこんでやったことだろう、だが、刑務所はそのときのおれにとってまだまだフレッシュな存在だった。

投稿者 Dada : March 30, 2005 07:00 AM