May 26, 2005
A DEGREE IN PIMPING 1
出所してミルウォーキーへ帰り、ママとストリートと再会したものの、ぼくの心の中にはピンプになることしかなかった。刑務所では毎晩のように夢を見ていたんだ。非情な夢ばかりだった。
と同時にファンタスティックな夢だった。ぼくは自分が巨人になり、すべてを可能にする神になったように感じていた。服もデカくなり、下着は虹色に光り輝くシルクとなり肌を包み込んだ。
スーツは、宝石を散りばめた金色のスパン・コール。靴はきらきらした銀だった。短剣のように爪先がとがったやつ。足下には哀しい目をした娼婦たちが何人も跪いているのだった。
かすみの中から、巨大な杭が突き刺さっているのが何本も見える。化粧をした女たちの表情は恐怖でみるみる歪んでいった。泣き叫び、その鉄の杭でわたしたちを殺さないでと命乞いをするんだ。
まるで気が違ったみたいにぼくは大笑いする。ニヤニヤしながら槍のような爪先で彼女たちの股ぐらを思いっきり蹴っ飛ばすと、尻から鮮血がほとばしった。女どもは死にかけのニワトリみたいに地面にへたりこんでいる。
そして、最後には血の海の中に倒れこみまっぷたつになってしまう。
目が覚めると、心臓は地震のように震えているのだった。悲惨な光景を目にしてしまったスリルで汗が太ももにべっとりとついているのだった。
また別の悪夢も見た。自分がすごく小さくなっている。光の海の中に巨大なキリストがいて、ぼくの頭上で威圧しているんだ。怒りに染まった目玉は青い太陽のように発光している。プラチナの絹のような髪の毛は逆立っている。
と、ピュアな白い光が人差し指から発せられる。女を指差しているのだ。背中はこちらへ向けられたまま。神はぼくに荊のついたムチを手渡した。そして夏の稲妻のようにぼくに命令した、「あの罪深い女を罰するのだ、あの女の体の中にいる悪魔を討ち滅ぼせ、これは神の命令だ」
ぼくは意志をこめて両手でムチを握りしめる。力を振りしぼって女の背中へめがけて打ち下ろす。彼女はそこに立ったままだ。裂けた背中の肉から血が流れ出す。やがて女は血だまりに膝をつき崩れ落ちる。
そして苦痛に歪んだ表情でこちらを見る。ママだった。ぼくは汗びっしょりになり、震えだし、大声をあげる。怖くてしょうがなかった。永遠に続くような気がする悪夢だった。必ず最初から最後までストーリーを見なければ目が覚めないのだった。つまり、ママを殺してしまうまで続くのだ。
投稿者 Dada : 06:00 PM
May 27, 2005
A DEGREE IN PIMPING 2
それから二、三日後、悪夢は白昼夢となってふたたび現れるのだった。突然、心の傷口に失望と後悔の鋭い矢が突き刺さるのだ。だから、ハイになってごまかした。麻薬は、見えない場所から襲ってくるその矢を防いでくれる、鋼鉄の鎧のような気がしていた。
何週間か休息をとり、ママの手料理で、ぼくは癒され、肌の色もよくなり強さが回復してきた。そして或る土曜日、ダランスキーに逮捕される前に買ったスーツとスプリング・コートでキメ、街へ出た。
刑務所のピンプたちから教わったことをしっかりと覚えていた。曰く、最初のステップは速攻でキメること。都会のシーンを攻めるためには何はともあれ娼婦が必要だった。ピンピン事始めってところだった。
二十になって何ヶ月か過ぎたくらいだった。もう子供みたいな顔つきではなくなっていた。188センチ。凄まじい減量をしたグレイ・ハウンドみたいに痩せ細っていた。《711クラブ》というアンダーグラウンド・バーへ行った。そこはピンプ、娼婦、泥棒たちで溢れかえっていた。
ぼくはコカ・コーラを飲みながらバーの端っこにもたれかかっていた。隣に見覚えのある、ゾウみたいな男がいたので向き直って声をかけた。ぼくは《涙目のショーティー》と《パーティー・タイム》の消息について質問した。
彼は頭をこちらへ向け、大きな目玉でぼくの頭のてっぺんから爪先まで見回すと、びっくりした様子だった。ぼくを覚えていたみたいだった。
彼は言った、「一ヶ月くらい前かな、おまえのお友達の《パーティー》は州刑務所に六十日間の禁固刑になったよ。タイトなプッシーの女があいつを怒らせたんだ。怒りすぎて、電車が通れるくらい鼻の穴が広がってた。女の尻を思い切り蹴っ飛ばしたんだ。その蹴りが完全に入っちゃって、お尻の穴から靴をはずすために女は病院に行ったみたいだね」
親指の爪で鼻くそをほじくるのをやめ、続けた、「老いぼれのショーティーはセイント・ポールのヤク中の溜まり場で死んだよ。相当ピュアなやつ、イッったみたいで。息を引き取る前に、『これマジでヤバイ、これがおれが今までキメたヘロインの中でいちばんヤバイって信じない奴はおれの死んだお袋の尻にキスしてこいや』と宣言したのを、聞いた奴がいるんだ」
そして、また鼻くそをほじくりだした。すると、なよっとしたバーテンダーが寄ってきて、ぼくの前に新しいコーラの瓶を置いた。ぼくは眉毛を曲げてクエスチョンマークの形にしてやった。
するとバーテンは言う、「真ん中の方にいるチビッこいまっ黒なビッチが、あんたに一杯おごってくれっていうんだよ」
投稿者 Dada : 06:50 PM
May 28, 2005
A DEGREE IN PIMPING 3
バーテンの黄色い顔から目を離さずにこうたずねた、「シュガー、その女のことを教えてくれないか。もう誰かにクオリファイされてるのかい。つまり、すでに娼婦になってるのかい。男はいるのか?」
彼は口をもごもごさせた。カウンターに映ったぼくの顔のあたりを、湿ってぼろぼろになった雑巾で拭いた。そして、囁くように、「あのビッチはね、娼婦とはイエナイね。セント・ルイスから出てきたばっかりのお尻の臭いビッチ。なんていうの、まだお尻が臭くて、気持ちだけは娼婦になったつもりなんだけど、じっさいはお尻が臭いのよ。あのビッチだったら、まだアタシの方がまし。とにかく、セックスだけは大好物みたいだけど。なんでも、一ヶ月前、ヘタレのピンプを三人まとめて《ジョージア》したって。そうね、あんたのピンピンが強力なら、あのビッチのお尻でキャデラックを稼げるかも。18だってさ」
ぼくは、ポケットから金を取り出し、二本目のコーラの分を置いた。刑務所でピンプの先達たちに習ったことは、まだまだ生々しく覚えていた。
こう言った、「いらねーってそのビッチに伝えて。小さなことで世話になりたくないって。逆に、もしオマエがぼくにクオリファイされたら、大きなお金を世話してやるって。と、ぼくから一杯おごってやって」
ジューク・ボックスでは、エラ・フィッツジェラルドが《小さな黄色いバスケット》を甘く切なく、やるせなく歌っていた。
バーテンは、よたよたしながらドリンクと伝言を携えてビッチの方へ歩いていく。ぼくは青い鏡をとおしてターゲットの女の姿をじろっと見た。ケツがピリピリしてくるのを感じた。お尻の穴が引き締まった。彼女はペキンギーズ犬みたいに美しかった。ふたつの目は、ベルベットのなかで踊る踊り子のようだった。ひりひりと熱い《金の予感》が全身を駆けめぐった。あの女をコップしてピンピンできれば、白人のカモたちを刺す猛毒をもった蝶が誕生するだろう。
ピンピンの先達たちは基本的な戦術をよく心得ていた。そのとき、ぼくはあの人たちの言葉に聞き耳を立てて一言も漏らさず覚えていた自分に感謝した。
彼らよく、こう言っていたのだ。「追っかけまわしたらショボいビッチがやってくる。そっと忍び寄ればストロング・ビッチが手に入る」
投稿者 Dada : 06:20 PM
May 30, 2005
A DEGREE IN PIMPING 4
ビッチの最初のパスをぼくがあっさりスルーしたことで、むこうは逆に食いついてきた。ヘンな話だが、これがビッチをフックするための一番スマートなやり方なんだ。今や、女はジューシーな舌をアイヴォリー色の歯の上にだし赤いトカゲみたいに舌舐めずりしている。唇も舐めている。そして体をよじらせながらこちらへ歩いてきた。バーテンはぼくと象のような男のあいだに新しい緑色のドリンクをすべらせた。
そのとき象のような男の鼻の穴からトランペットのような感嘆の息が漏れるのを聞いた。早くも彼女の尻に完全にヤラレてしまっているんだ。そのお尻は、タイトな白いドレスのなかでローリングしていた。
彼女がスツールに腰をかけると、ぼくはなるべく気のない、無関心で、冷たい表情を装った。その時点で、この女のまっ黒なふたつのお尻のあいだにどれだけの札束が眠っているのか、ぼくは完全に理解していた。
ビッチは言った、「あんただれ? なんかバーテンを通して調子に乗った口きーてくれたみたいだけど?」
ぼくの目が氷点下のスポットライトを彼女の顔に照射した。
言ってやった、「ビッチ、おれの名前は《ブラッド》。別に調子に乗ってるわけじゃないんだって。本当のこと言ったまでなんだよ。ビッチ、どうせ汚らしくて最低な《仕事》やってんだろ。尻がふたつに割れちまうぞ」
小さな犬みたいな顔のてっぺんがみるみる怒りでゆがみだした。震える声でこう言った、「どこがビッチよ? あたしはレディよ。お母さんのマンコから出てきたくせに、女の尻を蹴っ飛ばそうっての〜? ふざけないでよ。フィリスって名前があんのよ。ちょっと、礼儀正しくして。リスペクトも。男ならあたしの前では紳士になってよ。いい? あたしはレディなんだから」
この冷たい反撃が、ぼくの言葉の温度計をぶっ壊した。そして、じぶんでも唇が冷たく感じるほどに冷酷な言葉を吐きだした、「おい、うんこ臭いお尻のくろぐろとしたビッチ、どこがレディだよ。ぼくたち人間の世界には、そんなレディはいねーよ、バカ。おまえなんかビッチかウジ虫のどっちかに決まってんだろ。さてビッチ、どっちなんだ、おまえは? ビッチ、おれは紳士じゃねーんだよ。ピンプなんだよ。臭いお尻を蹴っ飛ばしてやるよ。おまえからカラんできたんだからな。ビッチ、どうせ、ぼくのチンコが欲しいんだろ? アホか。こっちはおまえみたいにヒョイヒョイやんねーよ。金が先なんだよ」
投稿者 Dada : 06:15 PM
May 31, 2005
A DEGREE IN PIMPING 5
思いくそ馬鹿にしてやったことで、女は完全にヤラレていた。刑務所で学んだことがバッチリ機能していた。夜の闇に浮かびあがった彼女の瞳がメラメラと踊り子のように燃えさかるのがわかった。じぶんの中に潜んでいる虐められるのが大好きな淫乱ビャッチの素顔をぼくから隠そうと必死になっていることくらいこちらはとっくのとうにお見通しだった。
まるで地獄について説教する神父みたいに滑稽だった。目の前でメンコをまるだしにしているビャッチに対してチンコがギンギンになってしまっているにもかかわらず、「地獄に堕ちますよ?」と言ってるようなものだった。
そして、ついに女は言葉に詰まった。まあ、こんなものですよ。そこで、ウンコしにトイレへ行くことにした。
行くときに忘れずにこう言ってやった、「ビッチ、ウンコしたら帰るからな。おまえのメンコがおれが欲しくてぴょんぴょんしてることなんて知ってるんだ。彼女にして欲しいんだろ? どんなラッキーなビッチがこの男をゲットすんのかしら、なんつって思ってるんだろ? そんな妄想、捨てなさいよ。まっすぐ向かって来なさいよ、ビッチ! 素直になりなさいよ? 今夜しかチャンスはないんだから。今夜を逃したらもう、会うこともないんだから〜」
ウンコをしながら、紙をちぎりとった。10ドル札1枚と1ドル札4枚でそれをくるんだ。あとで何が起きたとしても、札束を見せる必要が出てくるだろうから。そして、しばらく突っ立っていた。あの女の体に熱がじっとりと浸透していくのを待っていた。最初の娼婦をコップできるかな? そう思うと、みるみるうちに固くなに勃起してきた。
そしてトイレから出た。彼女はドアの側で待っていた。完全に無視し、足を踏んづけそうな勢いで歩き去った。バー・カウンターへ寄り、勘定を支払った。女が肩ごしに見ているのがわかった。10ドル札を取りだした。
「お釣りはとっといて。キャデラックでもコップしてよ 笑」
バーテンの灰色の目が光った。繊細な小指で札を突き返してきた。
「店のおごりでいーよ。二時くらいに戻ってきて、いい女つかまえてよ」
そして行こうとすると、彼女が、ぼくのシャツの袖をつかんだ。こちらを見上げている。その瞳は、とろっとろのトロ甘に溶けていた。
思いくそ見下しながらこう言った、「さて、ビッチ、どうすんの。これっきりサヨナラしますか?」
すると彼女はぼくの肩を掴みぼくの体を引き寄せた。腕に女の熱い吐息が吹きかかった。トカゲのような舌をチロチロと耳のあたりへ這わせて今にもチロリチロリと舐めてきそうだった。さすがに震えた。けれども、クールに振る舞った。頭を傾け、彼女の首筋をナイフのような歯で噛んでやった。血がでなかったのが不思議なくらい。ビッチはうめいた。
やがて、こう囁いてきた、「この血も涙もない冷たいマザファカ。いっしょにいて。あたしの部屋に来て、お話しよ、、」
投稿者 Dada : 06:25 PM
June 01, 2005
A DEGREE IN PIMPING 6
ぼくらは、出口へ向かって歩き出した。背中をちらりと見た。象みたいな男がじっとこちらを見つめていた。舌でべろべろと歯を舐めていた。鼻がぱかぱかと息を吹き出していた。
舗道を歩きながら、彼女は黄色い36年型フォードの鍵をぼくに手渡した。幸運なことに、ぼくは刑務所の洗濯トラックで運転には慣れていた。フォードのエンジン音はまるでいい感じの音楽みたいに響いた。ピンプっぽい車ではないけれど、都会へ繰り出していくにはこれで十分だった。
部屋まで運転した。途中で女が悪戯してきた。ぼくを《ジョージア》する準備運動をはやくも開始してきた。耳が弱いと思ったのか、このトカゲ女は耳のおくのほうまで何度も何度もチロチロと舐めていた。平気だったけれど、この時点で彼女に体に触れさせるべきじゃなかっただろう。
まさに、ダメな男どもがハメられる罠みたいな部屋だった。発光する白い星のシールが天井にぺたぺたと貼ってあった。青い照明がひとつだけあった。ロダンの彫刻《口づけ》のレプリカの背後からセクシーに灯りが差し込んでいた。ベッドの上には鏡がある。ベッドをはさむ壁にも鏡があった。青いソファの前には白く光沢のある北極熊のラグが敷いてあった。
ぼくは、ソファに腰掛けた。女はポータブル・プレーヤーに針を落とした。デューク・エリントンの《ムード・インディゴ》だった。
そのあと、ちょうどひとり分くらいのスペースの小さなバスルームへ入ってしまった。ドアは半分、開いたまま。タオルで脇の下や股間をごしごしと洗っている。裸だった。ぼくの若さを今から美味しく味わおう、という感じ。ぼくは、彼女が金をどこへしまっているのかが気になっていた。
やがて《インディゴ》に合わせてベリー・ダンスしながらベッドへと近寄ってきた。まるでワトゥシ族の王女のようだ。なまめかしくカーヴした体、黒く輝いている肌。こんな種類の状況のときすべき会話を、ぼくは糞ったれな頭の中からサーチしているところだった。
刑務所のピンプたちが言っていたこと:「あのな、最高のプッシーが目の前にあるとき、そういう時こそ、一歩下がるんだよ。『おれにはチンコはついてませんよ?』っていう風に振る舞うんだ。そして金のことだけを考える」
投稿者 Dada : 06:25 PM
June 02, 2005
A DEGREE IN PIMPING 7
「女のコには冷たくすること。最初に金をもらうこと。絶対に《ジョージア》させないこと。笑われるから。カモにされるから。さんざんセックスしたあとで捨てられるような男になるな。だから、まず金を奪っておく。金を払わせることが女のコと付き合うための唯一の方法。それ以外は無い」
フィリスは、ダンスしながら、ベッドまで来た。前かがみになって赤い絨毯をめくりあげた。エリントンの《インディゴ》に合わせて小さいお尻がもちあがった。お尻はぼくに微笑んでいた。彼女は楽しそうに演じていた。
そして、こちらへ寄ってきた。手には細く巻いた二本のリーファーがあった。プレーヤーが終了し、再び《インディゴ》をリピートし始めた。彼女はぼくの足のあいだに立った。パンツの布の上からでも相手の太ももの肌の熱さが伝わってきて、膝のあたりがヒリヒリするほどだった。ぼくの鼻の先で、黒いサテンのような腹をゆっくりとまわしている。彼女は低く、しわがれた声で歌を口ずさんでいる。ピンプの敵。どれだけピンピンしてきたピンプでも注意しなければならない。その資格が彼女には十分にあった。21ヶ月のあいだ「童貞」だったぼくのティンティンはチャンク・アウトしたがってた。
彼女はテーブルからライターをとり、唇にリーファーをくわえ、何度もしごいて、均等になるようにしてから、二本とも火を点けた。そして一本をぼくに手渡した、「ダディ、これ、メキシコの軽いネタだよ。メロウにしてくれるよ、、。ね〜、なんで服を脱がないの・・?」
ぼくは思いきり吸った。もういい感じになって濡れている彼女の目を覗き込んだ。そして、頭の中で何度も復唱しておいた台詞を口にした、「ビッチ、くだらないこと言わせんなよ。まず、ビジネスの話。いつもそうしてるから。色んな意味でそっちが裸になってくんないと、脱がねーよ。悪いけど、《ジョージア》されるような間抜けじゃないから。金、金、あんでしょ、金」
刑務所で誰かが言ってた台詞を、そのまんま言ってみたんだ。でも、この台詞にはウソ発見器のようなエフェクトがあった。彼女の腹の中でモーターが回転し始めた。遠くを見るような目つきになっている。
たぶん、ごまかそうとして必死なんだ。やがて、北極熊の敷物にヨガみたいな姿勢でへたりこんだ。突きだしたお尻がぼくにウインクしている。その声は甘く切なく溶けていた、「も〜、はやくきてよ、、あんただけのビッチなのに、、アホな男がいて、、明日の夜になれば、、100ドル持ってくる、、それを渡すから、、今夜は待って、、はやくして、、おちんちん欲し、、」
何だか知らないが、ぼくのシステムは完璧に冴えていた。たぶんネタがいい感じにハマッてたんだ。すごく強いネタだったし。彼女は、ぼくがどれだけピンプになりたくてたまらないか、わかってなかった。勿論、自分が最初の娼婦だなんて知るよしもなかった。ぼくは、彼女を逃がす訳にはいかないんだ。
娼婦を手に入れなくてはいけないんだ。大麻のおかげで、《ムード・インディゴ》とともに怒りと憎しみが体に流れこんだ。この瞬間、勝たなくてはいけない敵が、白いラグの上にしゃがみこんでいた。こう考えた、「さっき、こいつ胸の谷間に金、挟んでた。それを出さなかったら、この女、殺すかも」
最後のチャンスを与える警官みたいに言った、「ビッチ、おっぱいにはさんでた金、だしな」
彼女は、驚きと怒りで目を見開いた。歯を剥きだして大声を出した、「ちょっと、そんなにいきなりハードにピンピンしないでよ、ケチくさいニガ、いいよ?もーいいよ、帽子とコートとってさっさと帰ってよ!」
エリントンは火がつくようなアップ・ビートに突入していた。ぼくは褐色の稲妻のようにソファから起きあがり、右足を大きく後ろへ引いた。股関節がピンとはるような感覚。目標をしっかり見定め、針のような爪先の十一号トリプルAサイズの靴をビッチ目がけて発射した、運のいいチビはコンマ数秒のところでよけやがった、でも左肩に思いっくそヒットした、ビッチはうずくまっている。腹を抱え、何だかよくわからない声でうめいている。
あとは、刑務所で何度も夢に見たように、彼女のお尻を足がつるまでひたすら蹴り続けた。泣き喚いたが、かまやしない。こっちは汗だくだった。だんだん疲れてきて、彼女の隣に倒れ込んだ。そして、耳元で氷のような声で「ビッチ! 殺すまで蹴らないと理解できないか? さっさと金とってこい」
すると、頭をこちらへ向け、ぼくの目を見た。もう怒りは消えていた。恐怖と奇妙な感情が入り混じっていた。何か喋ろうと口を開くのだけれど、しばらくのあいだ、声にならなかった。ようやく、ささやいた、「あんたの娼婦なのよ、ブラッド、もう蹴らないで、あんたの犬になるから。何でも言われた通りにするから、愛してるよ、ベイビー、、、」
そしてむしゃぶりついてきた。ぼくの舌を根元から吸いながら首のうしろに爪を突き立てた。涙のしょっぱい味がする、、^^
投稿者 Dada : 06:45 PM
June 03, 2005
A DEGREE IN PIMPING 8
フィリスはレコード・プレーヤーのほうへよろめくと、その角を持ち上げた。そして、下から札束を取り出した。エリントンの《ムード・インディゴ》をリジェクトし、また別のレコードをかけた。
《レディ・デイ》が、哀しい歌を奏ではじめた。《彼はわたしを愛していないのよ、酷い扱いをするのよ、こんなに残酷な仕打ちをする人、今までに見たことない、、》、、ぼくは、熊の敷物の上に立っていた。彼女は金を手にしたまま歩み寄り、ぼくの手のひらに置いた。ざっと数えると、なかなかの額だった。200ドルを越えていた。これでようやくセックスできる。
90ポンドのチビを両腕で抱き上げ、あごの先をきつく噛んでやった。ベッドの端へ運んでいった。そして放り投げた。彼女はバウンドして仰向きに寝転がった。激しく喘いでいる。大きく広げた足がピラミッドのようだった。
ぼくも大急ぎで服を脱いだ。シーツを剥がし、四つに細く引き裂いた。それで彼女の手首をベッドの足に縛り付けた。股を広げさせ、長く引き裂いたシーツで足首をベッドのスプリングにくくりつけた。これで完全に彼女は身動きが出来なくなった。そして、ペッパーから教わった神経の震えるようなフルコースを奉仕してあげた。彼女は四度も失神した。このスリルを味わったら、もう他の男ではまったく満足できない体になってしまうのだ。
こうして、ようやくぼくは本来のピンプの道へ入ることが出来たのだった。その途中で、何度も道をぶっ壊そうとしていた気がする。でも、ついに目的地がわかってきたのだった。そのとき、憎しみが体を駆けめぐり、何百万人ものビッチを妊娠させ、新しいピンプを出産させてしまいそうな気がした。
彼女をほどいてやり、ぼくらは青い暗闇のなかに横たわった。ニセモノの白い星が天井で瞬いていた。《レディ・デイ》はまだ哀しく歌っている。
ぼくは言った、「ビッチ、これから通りで地獄のように働いてもらうよ。いっしょに大都会をめざすんだ。そうだ、今週、きみのフォードの名義を変更するから。ビッチの車なんて誰も乗りたくないでしょ。おれの名前にして、おれの所有物ってことにするね。いい?」
彼女は、「うん、ダディ、好きにして。ダディ、怒らないでね、さっき、アホな男が100ドル持ってくるって言ったの、あれ、ウソなんだ、、」
ぼくは、「ビッチ、知ってるよ。もう二度とぼくを騙そうとすんなよ」
そして、起きあがり、服を着た。札束から5ドルを抜いて洋服ダンスの上に置いてやった、「今夜6時にはストリートへ来るんだ。バーには入るな。七番街とアップル通りの界隈で仕事をするからな。夜、適当な時間に迎えに来るから。ぼくが来たときには居ないとダメだよ。逮捕されたときは、メアリー・ジョーンズという名前にしといて。忘れたらすぐに出してやれないよ。ぼくが来るときは、いつも幾らかの現金を用意しておいてね」
こう言いつけて、通りへでた。ぼくのモノになったフォードに乗り込んだ。うれしそうなエンジン音だった。ママの待つ家へ向かった。気分が良かった。出所したばかりのブラック・ボーイにしては、上出来だったと思うな。
投稿者 Dada : 06:45 PM
June 04, 2005
A DEGREE IN PIMPING 9
ぼくは、もし刑務所で身の回りのピンプたちの言葉に耳を傾けてなかったら、と思うとぞっとした。たぶん靴磨きのニガか、荷物運びとして、白人の世界の高い壁に阻まれながら残りの人生を過ごすことになっただろう。娼婦こそが、禁じられた白人の世界から金を巻き上げる唯一の手段なのだ。
ママは若いお客の髪にアイロンをかけていた。彼女はぼくが店の前で見知らぬフォードから降りてくるのを見た。小刻みに手を動かしてコームをかけながら、ぼくを呼び止めた、「ちょっと、心配させないでよ、どこに行ってたの? あのかわいらしい車は何処で手に入れたの? 仕事はみつかった?」
ぼくは答えた、「友だちが貸してくれたんだよ。たぶん、このまま売ってくれると思う。そいつと一緒にいたんだよ。熱が出たみたいでさ。仕事は明日、必ずみつけるよ、、」
ママは、「オーヴンにローストがあるから。ひとまずそれでも食べなさいよ。本当に友だちと居たの、まだペッパーと付き合ってないか、心配なのよ」
ぼくは、「ペッパー? あんなのオバサンだよ。ぼくは若くて褐色の肌の女の子が好きなんだよ。ペッパーは黄色だよ」
若い女の子の客は、目をキラキラさせてぼくを見た。にっこりと笑っている。ぼくもウインクして舌をぺろっと出してみせた。それが伝わったみたいだった。顔を赤らめている。ぼくはそのコを頭の片隅にファイルした。
そして再び舗道へ出て、階段を駆け上がり、ローストをたいらげた。
それからぐっすり眠った。夕方の5時半に目が覚めた。下へ降り、フォードへ乗り込んだ。そして七番街とアップル街へ向かい、駐車した。5分か6分もすると、フィリスがこちらへ歩いてきた。1ブロックほど向こうにいる。ぼくはエンジンをかけ、走り去った。
娼婦をコップしたのは間違いない感じだった。真夜中に戻ってみると、彼女はへとへとに疲れていた。車に乗ってきた。
ぼくは言った、「・・で、どうだった?」
彼女はおっぱいの谷間に手を突っ込み、汗で湿った札束を取り出した。55ドルあった。「もうへとへと、体も汚いし。肩とお尻が痛いよ。このへんで今日は止めていい、ダディ。パストラミを食べてコーヒーを飲んで、お風呂に入りたいよ。昨夜、どれだけ蹴っ飛ばしたかわかってるでしょ、、」
ぼくは言った、「ビッチ、この通りは二時まで車が通るんだよ。サンドイッチとコーヒーは買ってきてあげるから。風呂は二時まで待ちな。また蹴るよ」
彼女はため息をつきながら言った、「わかりました、言う通りにする、、」
ぼくはユダヤ人のやってるコーヒーの屋台へ連れて行ってやった。彼女は木のベンチの上でずっと体をよじっている。尻がかなり痛いのだろう。黙ったままサンドイッチとコーヒーを食べ終えた。
そして言った、「ダディ、誤解しないでね。Hのときに軽くぶたれたりするのはちょっと好きだケド。酷いのはお願いだから止めて。死んじゃう、、」
ぼくは、「ベイビィ、とにかく金を全部出してりゃいいんだよ。あと、ぼくを騙そうとしないこと。昨夜は金を隠そうとしただろ。ぼくの決めたルールを破らなければ、心配することないよ。気持ちよくさせてあげるよ」
こう言って、また大通りへ連れて行った。彼女は車から降りた。舗道へ歩き出すやいなや、白人のカモが二人、車を寄せてきてぶつかりそうになった。まさに彼女はまっ黒な「金のなる木」に違いなかったよ。
次の日、ぼくは彼女を連れて役場へ行った。ものの10分で用事は済んだ。フォードの代金として役人の前で渡した300ドルを、彼女はすぐに返した。これで法的にもオーケー。彼女は文句を一言も言わなかった。尻のあざも消えてきて、縛られるセックスの新しい味も発見していた。こうして、その週はバッチリ稼いでくれた。ぼくの手元には700ドルの札束が残った。
日曜日の夕方、ぼくは彼女の部屋の北極熊のラグその他の荷物をフォードのトランクに詰めこんだ。
ママの店がよく見える角に車を停めた。そして自分の荷物も取りに行った。荷造りしているところを、ママに見つかった。すぐに彼女の目に涙が溢れだした。ぼくを掴み、強く抱き締めた。涙はさめざめと流れていた。
泣きじゃくった、「あんた、ママのことをもう愛していないの? どこへ行こうっていうの? あんたのためを思って素敵な部屋も用意してやってるのに、なんで行くのよ? いよいよ、もう会えない気がするんだよ。置いてかないでおくれ。おにいちゃん、ママを悲しませないで、、」
ぼくは彼女の言葉を聞いていた。でも、その悲しみも聞こえないほどに遠くへ来てしまっていた。そんなことより、フォードの中で待っている淫乱で黒い金のなるビッチのことを思い浮かべていた。今夜、街の大通りへ最初に到着するピンプになりたくて仕方がなかった。
「ママ、愛してるよ。知ってるでしょ。街に住んでいる金持ちのクラークの仕事を見つけたんだよ。このへんの連中は、ぼくが前科者だってみんな知ってるよ。だから行かないと。素敵な家と部屋を用意してくれて、ありがとう。刑務所にぶちこまれてるときは、ママのことを天使みたいに思ってたよ。また会えるよ。約束するよ、必ずここへ戻ってくるから。本当だよ、ママ」
そして彼女の腕をどけた。バッグを持ち、階段を駆け下りた。舗道へ出ると、窓を見上げた。ママは握りしめたこぶしを噛み、張り裂けそうに泣いていた。ぼくのシャツは、彼女の涙で濡れていた。
つづく
投稿者 Dada : 06:25 PM