ニューウエーブとかパンクは過去にあったもので、発明されたものではない。インタビューしてるとき、こんな話がでたんですよ。つまり、山崎さんにとっては、エルヴィス・プレスリーがパンクなんだよ。だから、パンクが出てきたとき、まったく衝撃を受けなかったんだって。本の最後に「過去は前方にあり、未来は後方にある」っていう、南米の少数民族の考え方が出てくるでしょ。白人の宣教師の観念とまったく違うから、布教に失敗したっていう。あれが、山崎さんと森永さんの哲学になってるんじゃないですか。だから『宝はいつも足元に』の「足元」というのは「過去」なんだって、山崎さん、言ってたもんなー。この本をよんで、納得させられたら、シメたものなんですけどね。パリで『アメリカン・グラフィティ』を観てショック受けるんだけどさ、みんな否定的だったんだって。古いから。でも、オレだけはいいと思ったって。本当にフィフティーズが好きなんですよ。パンクの商品もあるけど、フィフティーズのフィルターを通してるでしょ。ブラックキャッツなんて、ドフィフティーズ。断言してたもん。「五十年代がいちばんいい時代だった」って。たしかに、五十年代の方が、クリエイティブなことやってる人の数が少ないんですよ、今より。本当に選ばれた人というか、優秀な人しか残らなかったのね。工芸製品とか絵画なんかにしても、多いですよ、いいものが。もちろん、山崎さんの青春だし。石原裕次郎にも憧れてたみたい。映画ばっかり観てたみたい。