CREAM SODA 8

 山崎さん、この本作ってから、どんどん元気になったのね。Tシャツ作ってるんだよ。『宝はいつも足元に』Tシャツ。少年が円盤を見てる、大瀧詠一の『ナイアガラ・ムーン』のジャケットみたいなイラストで。『宝はいつも足元に』っていうタイトルは著者が考えたんですよ。山崎さん、あんまり家から出ないんですよ。一日二回、犬の散歩。あと夜中に、一人で渋谷の街へ行くんですよ。散歩してたら、近所の人に「あなた、クールスのメンバーでしょ」とか言われて。「は、はい」とか曖昧な感じで、やり過ごすみたい。犬の散歩のコミュニティに、身分を明かさないで、溶けこんでるみたい。クールスとピンクドラゴンはね、微妙に関係あると思う。矢沢永吉がいたキャロルとピンクドラゴンは関係があって。キャロルの親衛隊だからね、クールスって。クールスはね、<グラス>っていう洋服屋が原宿にあって、そこの店員だったんですよ。館ひろしさんとか。『原宿ブルースカイヘブン』って本がでてたけど、ぼくはいいと思わなかった。館ひろしさんはね、キングコング(70年代に原宿にあった山崎氏のロックショップ)に、客としてしょっちゅう来てたみたい。なんでかというと、原宿で当時、唯一、クーラーがあったから。涼みに来てたみたい。今回の本で、ピンクドラゴンの建物や、山崎さんを撮影したのは、天才・三浦憲司カメラマン。早いんだよ、撮るの。三浦さんは、ずっとブラックキャッツ(クリームソーダの店員で結成したロッカビリーバンド)を撮り続けてたんですよ。山崎さんとも『GORO』とかで仕事して、三十年来の知り合い。あの建物、すごいよね。マイアミ・デコみたいな。山崎さんが、あそこにある卵のオブジェを、表紙に使ってくださいって。青い色は、ちょっとコンピューターで加工したと思うけど。デザイナーは、日本版『エスクァイア』のADで、ADC賞を受賞した木村裕二さん。この人も、北海道の人ですよ。松山千春、水谷豊も北海道の人ですよ。開拓精神とか、あるのかな。

宝はいつも足元に

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